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少量の摂取で命の危険も…「そばアレルギー」の基礎知識【専門医が解説】
2022年2月27日 5:00
~目次~
そばは、微量な摂取でも重篤な症状を引き起こしやすい
日本でのそばの消費量は諸外国と比べて多く、幼児以降で食物アレルギーの原因として報告されることが多いものです。乳児期のアレルギーの原因食物として多い卵・牛乳・小麦と比べて、他の食品よりも微量な摂取であっても、アナフィラキシーを生じ意識を失うショックなど重篤な症状を引き起こしやすいため、注意が必要です。
そばは、ピーナッツなどのナッツ類と同様に、命にかかわる重篤なアレルギー症状を引き起こしやすい食物であることも有名です。このため、特に注意が必要な食品として、加工食品中においてもアレルギー表示が義務づけられています。
ほかに注意すべき点として、そばは「麺」として主食として利用されるほか、日本人にとってなじみが深い食品であることが挙げられるでしょう。そばの芽、そばボウロ、そばまんじゅう、そばかりんとう、そば茶、などにも微量ながらそばが含まれています。
外食時、そば以外のメニューでも注意が必要なワケ
また、そばと同じゆで汁でゆでたうどんを避けるなど、外食時にも注意が必要です。
そば屋で、うどんをオーダーしても、そのうどんが、そばと同じ釜でゆでられている場合に、微量ながらそばが混入して口から吸収されてしまったり、そばの粉末を口だけでなく鼻から吸い込むことによってアレルギー症状が出たりする、という報告もあります。
そばアレルギーは、乳幼児期にみられる卵、牛乳、小麦による食物アレルギーと異なり、自然治癒により食べられるようになることは原則としてありません。このため幼児期以降のすべての年齢層にそばアレルギーの患者がいるのです。
そばアレルギーかどうかを見極める手段
そばアレルギーかどうか見極める1つの手段として、そばの茹で汁で茹でたうどんを与えてみて、反応が出ないか試すことができます。少量で試してみて、症状が見られない場合は、徐々に与える量を増やし、最終的にそばを与えてみると良いでしょう。
万一、そばを食べて皮膚の発赤や呼吸困難がみられた場合、できる対応を上げてみます。手持ちとして抗ヒスタミン薬・ステロイド内服薬があればこれらを内服してください。
抗ヒスタミン薬の例としてはザイザル・アレロック・アレグラなどの処方箋薬、成人であれば薬局で販売されているアレジオンなどが該当します。また、ステロイドの内服としては、喘息など呼吸器疾患がある方ではリンデロン・デカドロン・プレドニンが該当します。
こうした内服薬で症状が安定していても、即時型アレルギーとしては2時間程度(ピークとしては30分程度)の経過観察が重要です。
保護者必見「皮膚の発赤」以外に注意すべき症状は?
また、皮膚の発赤のほか、顔色が悪くないか、呼吸が早くないか、息を吸うときに「ぜーぜー」していないかなど呼吸状態に注意してください。呼吸状態が悪い・顔色が悪いという場合、症状の進行が早いという場合には、速やかに救急車を呼んで手当をしてください。
もし子どもの体重が15kg以上であれば、エピネフリン筋肉注射製剤である「エピペン」を、用法容量に従って大腿の外側に筋肉注射を検討してもよいでしょう。エピペン使用後は症状が比較的早期に改善することが多いですが、10分程度に動悸などを認めることがあります。この場合も医療機関を受診してください。
そばアレルギーは、微量でも反応すること、症状の進行が早いこと、治りにくいという特性があることから、早めの対処が重要です。少しでも症状を疑ったら、早期対応すべきだといえるでしょう。
武井智昭
TOMOAKI TAKEI
高座渋谷つばさクリニック 院長
小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。