子育てコラム

静かにして!うちの子、声が大きい‥言語聴覚士が教える、子どもの声が大きい原因と声の調整法

2022年8月3日 16:39

目次

    幼稚園やスーパー、電車のなかで声が大きくて困ってしまうことはありませんか。「子どもの声が大きくてうるさい」「静かにして欲しい場所で騒いでしまう」などの相談が寄せられることがあります。電車や病院では周りの目も気になりますよね。

    今回は、子どもの声が大きくなってしまう原因や大きさを調整する方法、遊びを言語聴覚士の視点から紹介します。

    子どもの声が大きくなってしまう原因

    声が大きくなってしまう原因はいくつか考えられます。どれもコミュニケーションに影響が出てしまう場合があり、その際は言語聴覚士の出番となります。

    考えられる4つの原因

    1.耳が聴こえにくく、難聴の可能性がある
    2.その場の状況の理解が苦手
    3.感情や自分の気持ちが抑えられない
    4.声の大きさの調整ができない

    1.耳が聴こえにくく、難聴の可能性がある

    自分の耳に自分の音声が届きにくく、自然と声が大きくなってしまいます。名前を呼んでもなかなか気が付かなかったり、周りの子どもの行動を見てから動き出したりする(指示が聴こえない)なども難聴が疑われることがあります。当てはまる場合は健診や耳鼻科で確認が必要です。

    2.その場の状況の理解が苦手

    その場の状況の理解が苦手な子は周囲の状況がどのようなものなのかしっかり認識できなく声が大きくなってしまうことがあります。

    たとえば、病院や電車などの周りが静かにしている場合は、自分の声も小さくする必要があります。なぜ声を小さくしなければならないのか、をわかっていない場合があります。

    そのような状況理解が苦手な子は周りを見てもらうことが重要です。「具合が悪い人がいるから小さい声でお話ししようね」「みんな静かにしているね」など周囲の状況や他の人がどのように過ごしているかを注目させ、具体的に伝えましょう。

    また、ついつい「静かに!」と注意してしまうことがありますが、静かにできた時に「静かにできてえらいね」「小さい声のお話が上手だね」と褒めた方が定着しやすいと言われています。できたことにも目を向け、それが上手くできたことであるというフィードバックをすることが大切です。

    3.感情や自分の気持ちが抑えられない

    感情や気持ちが抑えられない場合に、「わあああっ」とか「きゃあああ」など大きな声で話してしまう場合があります。これは、その時の感情のコントロールが難しい場合に見られることがあります。

    そのような時は子どもが自分の感情に気づく必要があります。子どもの頃はなんとなくの不快感がどのような感情なのか表現できず、大声となってしまいます。

    毎日の生活や遊びの中で場面に合わせて「楽しいね」「悲しかったね」「美味しいね」など大人が声をかけます。感情も周りの声かけによって「楽しい」「痛い」「腹が立つ」を学んでいき、「お腹が空いたからおやつちょうだい」など表現できるようになっていきます。

    一朝一夕では大人も難しいことですが、その時の子どもの発達に合わせて声をかけてみてください。

    4.声の大きさを調整ができない

    声の大きさの調節が可能な幼児の割合は3歳で35%4歳で61.9%5歳で77.3%6歳で94.4%と言われています。

    このように2歳、3歳くらいではなかなかな大きさの調整は難しいですが、普段から大きい声と小さい声の調整の練習をしておくことで調整が可能になっていくとも言われています。

    家庭でできる声の練習方法

    声の大きい・小さいの概念は人それぞれです。ましてや、子どもはどのくらいの声が大きいのか、小さいのか学習段階です。声の大きい・小さいの概念を理解するためには、その子どもが知っていることを用いて理解を促していきましょう。

    まず、すぐにできることは身振りで表すことです。子どもが大きい声を出してしまったら「今こんなに大きな声だったよ」と手を大きく広げて表してください。逆に小さい声では指同士を合わせて表現するなど、視覚的に大きさを見せてあげましょう。

    その時に例えとして、大きい音を「たいこ」、小さい音を「鈴」で表したり、動物が好きな子には「ゾウさん」と「アリさん」と表現したり、数字がわかるようになってきた子どもには1つ分、5つ分などと、違いがわかるように説明してあげましょう。

    絵本の読み聞かせで学ぶことも楽しくできる方法のひとつです。

    登場人物の気持ちや場面によって読み聞かせをする側の大人が声の調整を行います。絵本の中で小さい声で話すシーンだったら、実際にその場面で「くまさんがかくれんぼしているときのおしゃべりをしようね」と伝えることができます。

    遊びのなかで調整する方法としては伝言ゲームも練習として有効です。「内緒のお話」「こそこそ話」で伝えるようにすることで遊びながら調整の練習ができます。

    大きな声を出せる場所・場面も必要

    子どもが成長していくなかで感情や気持ちを我慢すること、抑制することは学ぶべきことです。しかし、それがストレスにならないようにするには周囲の大人の関わり方次第です。

    お子さんが大きい声を出してもいい場面や場所も作りつつ、焦らず楽しく成長していけるような関わりを心がけてください。

    奈良 佳奈

    nara kana

    言語聴覚士

    国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科卒業後、東京湾岸リハビリテーション病院にて勤務。働きながら、より高度な知識を身につけるため、上智大学大学院博士前期課程言語科学研究科言語学専攻修士課程を修了。現在は、ULU訪問看護ステーションに所属し、言語聴覚士として横浜市近辺の子どもから高齢者までコミュニケーション障害、摂食嚥下障害、高次脳機能障害の方への臨床に従事している。