子育てコラム #病気

つらい目のかゆみやくしゃみ…これって猫アレルギー? 猫アレルギーの原因と対処法

2022年4月10日 10:00

猫を飼い始めたら、子どもが突然、花粉症に似た症状である目のかゆみ、鼻水・くしゃみ、咳が出現して、検査を行って「猫アレルギー」と診断されることもあります。

この猫アレルギーの症状は、猫を飼っている場合のみならず、猫を飼っているお友達や知り合いの家に行った後、公園や遊び場などでの猫と触れ合った後にも症状が出る場合もあります。本記事では、猫アレルギーが疑われた場合の症状、原因、検査、治療や対処法を紹介します。

10人に1人が発症すると言われる猫アレルギー

アレルギーの原因は猫を含むペットであることが10%程度という調査結果があります。スギ・ヒノキなどの花粉が70%程度、ハウスダストが35%程度、ダニが15%と推定されております。猫アレルギーの発症頻度は、12割程度であるため、珍しい疾患・原因ではありません。

猫アレルギーとは

猫アレルギーは、猫に含まれている唾液・皮脂腺・体毛・ふけ・分泌液に含まれる抗原が、皮膚を介してヒトの体内入り込んで生じます。

その抗原は、猫の体表面や唾液中に含まれる「Fel d 1」(フェルディーワン)と言われ、非常に小さな粒子であるため、壁・床・カーテン・天井に付着し、体内に取り込まれて発症します。

今まで症状がなくても、ペットショップや猫カフェに行ったり、猫を飼い始めてから症状が出る場合があります。猫アレルギーの症状は、くしゃみや鼻水、かゆみを伴う眼球結膜充血、皮膚発赤、重症の場合には気管支喘息に類似した呼吸困難に発展します。

猫アレルギーの治療

猫アレルギーの診断・検査・治療は、小児科・内科・アレルギー科へ受診してみてください。可能であればアレルギーを専門あるいは知識が詳しい医師への相談をおすすめします。

受診後の流れは、症状経過を問診で確認した後、他のアレルギーとなる原因(ダニ、ハウスダストなどを含めて)血液検査やパッチテストを実施します。

猫アレルギーの検査は多くの場合、保険適応となります。猫の他にもスギ・ヒノキなどの花粉、ハウスダスト・ダニなどを含めた項目など、10以上の項目をまとめて検査ができる『RAST検査』で実施します。

アレルゲンを個別で確認することも13項目までは保険適応となります。検査費用としては保険適応でおおよそ5,000円ですが、検査内容・費用は医療機関によって変わりますので、事前に問い合わせをされることをおすすめします。

軽い症状なら猫アレルギーでも猫と一緒に暮らせる

猫を飼い始めてから、症状経過や検査結果で猫アレルギーと診断された、あるいは疑われる場合でも、気管支喘息様などの重症な症状がなければ、猫を飼い続けることも検討できます。

猫アレルギーを引き起こすアレルゲンは極めて小さく、空気中に舞い散ると長い時間、部屋の中にとどまることも珍しくありません。猫アレルギーとわかっている方は、できるだけ猫や猫に接触した物に触れないように注意が必要です。

猫アレルギーの3つの対象法

・部屋のこまめな掃除と隔離

猫アレルギーが疑われる場合には、自宅での環境対策が最も重要です。猫アレルギーの原因の抗原は小さいために部屋の多くの部分に付着しています。掃除はできればこまめに、毎日行うことがおすすめです。

ホコリがたまりやすい部分に、猫アレルギーを生じるアレルゲンが付着する傾向があるので、家具の定期的な移動と掃除、ぬいぐるみは別の部屋に置く、空気清浄器を部屋に最低でも1台の設置を推奨します。猫が入らないスペースも確保されたほうが、アレルギー症状悪化時に移動できます。

・医療機関で処方されたアレルギー薬を飲む

アトピー性皮膚炎や花粉症と同じメカニズムで猫アレルギーは発症します。このために、あらかじめ抗ヒスタミン薬などの処方薬の内服アレルギー薬の定期的な内服、呼吸困難となる場合には吸入薬や副腎皮質ステロイド内服などを悪化時に対して準備してもよいでしょう。

・飼い猫を定期的に洗う(シャワーをする)

猫アレルギーがない家族が、定期的に猫をキレイにすることも症状悪化には重要です。猫の抜け毛やフケが目立つ場合には、定期的に洗う事によりアレルゲン発生による症状悪化のリスクを減らすことが可能であります。シャンプー用のウェットシートも有効です。

猫を含めたペットを飼う時には、自分や家族などのアレルギーが生じるかどうかは、慎重に検討する余地があります。まずはペットショップや猫を飼っている方の自宅に30分程度足を運んで、事前に確認してみることをおすすめします。

武井智昭

TOMOAKI TAKEI

高座渋谷つばさクリニック 院長

小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。