子育てコラム #病気

食事のあと、子どもの様子がおかしい…保護者が取るべき対応は?

2022年2月25日 5:00

食事をしている最中は機嫌がよかった子どもが、食べ終わってからぐずりだして、困ってしまうことがあります。4〜5歳以降になると、なんとなくどこが痛いとか言葉で伝えられるようになりますが、小さい子どもは自分で症状等を伝えることができず、ただ泣くばかりになってしまうことが多いのです。保護者はどのように対応すべきなのでしょうか? 日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医の米田真紀子氏が解説します。

確認する順番は「呼吸」「ケガ等の大きな変化」

最初に確認してほしいのは、きちんと呼吸ができているかどうかです。食事を飲みこみ損なっていたり、どこかで詰まっていたりする場合や、アレルギー症状で呼吸がしにくい症状が出ている場合があります。

大きな声で泣いているなら、呼吸に関してはあまり心配はいりませんが、明らかに呼吸がしづらそうにしていたり、顔色・唇の色が悪いと感じられたりする場合には、迷うことなく救急車を呼びましょう。

次に、体の表面や口のなかなど、観察できる範囲で大きな変化がないかどうかチェックしてみましょう。口のなかをケガしている、または喉が腫れていて痛いという場合もありますし、体に発疹が出ている場合があります。

その他、おなかが張っている・痛いという場合や、便意をもよおして泣いているという場合も考えられます。

どんなときに「小児科」を受診すべきなのか?

では、どのようなときに小児科を受診すればよいのでしょうか?

小児科外来をしていると、「赤ちゃんが〜〜を初めて食べた直後から様子がおかしい」と受診されるケースがたくさんあります。この場合、一番疑われるのは食物アレルギーです。

アレルギーが出やすい食材は、鶏卵、乳製品、小麦の順に多く、0歳から1歳までに症状が見られる割合が、食物アレルギー患者全体の5割を占めます。

はじめて食べる食材は、アレルギー症状が出るかもしれないため、通常は少量から与えること、と育児書にも書かれています。保護者の方も、はじめての食材を与えるときには、アレルギー症状が出ないかどうかドキドキしながら食べさせている方も多いと思います。

食物アレルギーはその食材を初めて与えたときに症状が出る場合が多いですが、少量からある程度増やしていくなかで症状が現れることもあります。

また、食材によっては加熱・加工具合など、調理法を変えたときに症状がはじめて出てくる場合もありますし、同じものをずっと食べていたにも関わらず、子ども自身の体調によって症状が出る場合もあるので注意が必要です。

食物アレルギーの診断は、これらの情報を丁寧に聞き取り総合的に判断する必要があります。

子どもの様子が落ち着いていれば、アレルギー症状がでたかもしれないといって、すぐに小児科に走る必要はありません。

食後「食物アレルギー」を発症するタイミング

食物に対するアレルギー症状は多彩ですが、多くは摂取直後から30分、遅くとも2時間以内に出ることがほとんどです。

出やすい症状としては、まず皮膚の症状で、口周りから場合によっては全身に広がる少し盛り上がった発疹、いわゆるじんましんが出ます。

じんましんはかゆみを伴い非常に不快なため、多くの子どもは不機嫌になります。数個ポツポツ出た程度で、子どもが機嫌よく過ごしているなら、急ぎでの受診は必要ありませんが、急速に広がっている場合や、子どもが不快がって泣き止まない場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。

「じんましん」への応急処置

じんましんのかゆみは塗り薬ではなかなか取れませんが、応急処置として布でくるんだアイスノンを当てて冷やしてあげると多少はおさまります。

また、皮膚の症状と同時に、口のなかの違和感や、目などにかゆみの症状が出ることがあります。

じんましんは大抵30分程度で自然に引いてくるので、時間が経ってから小児科に受診したときにはきれいに消えている場合がほとんどです。数時間で消失した、という情報があればじんましんの診断は容易ですが、すぐに受診しなくてもいい場合も、念のため発疹の写真を残しておくとよいかもしれません。

呼吸が苦しそう、もしくは咳が出てきた場合の対処法

次に出やすいのが咳などの呼吸器症状です。特に喘息を持っているお子さんではゼイゼイという喘息時の症状が出ることもあります。前述した通り、咳が出てきた場合には、その後急激に悪化することもあり得るため、呼吸が苦しそうであれば救急要請を検討し、そうでなくても早めに医療機関を受診するのがよいでしょう。

強い腹痛、気分不良や嘔吐、下痢の症状が現れることも 忘れてはいけないのが消化器症状で、強い腹痛が出たり、気分不良や嘔吐、下痢の症状が現れたりすることもあります。特に腹痛や下痢は他の症状よりも摂取から出現までの時間が長くかかる傾向があるので、見逃さないようチェックしておくことが重要です。

1~2回嘔吐や下痢をしたとしても、その後ケロリとしている場合には受診の必要はありませんが、いつまでもおなかを痛がっている様子があったり、嘔吐を繰り返したりする場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

心配であれば、迷わず小児科医に相談を その他、血圧が下がって意識が朦朧としたり、ぐったりしてしまったり、といった重症のアレルギー症状が現れることもあり、この場合は、ただちに救急車で病院に運んで処置をしてもらわなければいけません。

それぞれの症状について、なかなか保護者では判断がつかないという場合には、心配であれば迷わずかかりつけあるいは救急対応をしている小児科医に相談しましょう。

米田 真紀子

MAKIKO YONEDA

医療法人 啓信会きづ川クリニック 小児科医

1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。

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