子育てコラム

リトルベビーとは?小さく産まれた赤ちゃんとその家族について知ってほしいこと

2023年9月11日 16:48

出産後、子どもの成長を記録するために使われる母子手帳。しかし、母子手帳が心理的な負担に感じている方がいます。2500g未満で産まれた低出生体重児、「リトルベビー」と呼ばれる赤ちゃんのご家族です。

今こうしたリトルベビーとその家族を支えていく動きが全国的に広がっています。 

本記事ではリトルベビーの支援活動を行う、特定非営利活動法人HANDSのテクニカルアドバイザーであり、国際母子手帳委員会事務局長の板東あけみさんにリトルベビーの現状や支援について聞きました。

リトルベビーとは?

日本の赤ちゃんの出生児の平均体重は約3kg、平均身長は約50cmです。*1。しかし、さまざまな原因により平均よりも小さく産まれる赤ちゃんもいます。2019年の統計によれば、全体の9.4%の赤ちゃんは2.5㎏未満、1.0㎏未満の赤ちゃんも0.3%(全国で2600人以上)いました*2。この2.5kg未満で生まれた赤ちゃんが、低出生体重児(以下リトルベビー)と呼ばれています。 

リトルベビーの家族の悩み

リトルベビーはさまざまな機能が発達しきらず産まれることで、産まれた直後から呼吸や体温の管理、疾患の治療が必要です。様子を見守るしかないご家族は他の赤ちゃんと比べ、自分の何が悪かったのかと深い自責の念に駆られます。その辛さは当事者のみにしか理解できず、育児への不安や辛さが増してしまいます。

そんなリトルベビー家族にとって心強い支えになってくれるのが、「リトルベビーハンドブック」と「リトルベビーサークル」です。

「リトルベビーハンドブック」とは?

リトルベビーハンドブックとは小さく生まれた赤ちゃんとその家族を対象に、2018年に静岡県で最初に作成された母子手帳と一緒に使う手帳です。その後、各自治体で作成されるようになり、20235月現在、37都道府県6市余りで運用されています。(HANDS調べ)

※現在運用されているリトルベビーハンドブックの一部

なぜ「リトルベビーハンドブック」が必要なのか

①既存の母子手帳が使いにくい

一般的な母子健康手帳の発育曲線グラフの体重は1kg、身長は40cmからしか記入できないため1kg未満で生まれた赤ちゃんの体重を記載ができません。しかしリトルベビーハンドブックでは体重は0kg、身長は20cmから記載ができます。 

②家族の強い精神的落ち込み

母子手帳の成長記録(寝返りをしますか?など)でリトルベビーは「いいえ」となることが多く、母子手帳と向き合うことが苦痛になり、そのたびに強い自責の念を抱いてしまいます。

「リトルベビーハンドブック」作成の目的

リトルべビーハンドブックには、リトルベビーの先輩家族からのメッセージやリトルベビーサークルの連絡先が書いてあり、同じような境遇の家族にとって「自分だけではない」と感じ、大きな励みになります。

また、新生児期からの標準と比べない成長、治療過程を保護者だけでなく医療者も記入でき、退院後の健診やケアに至るまで幅広く情報共有や相互連携に活用できます。それは、我が子が懸命に生きようとしていることと向き合い、理解することにもなります。

リトルベビーサークルの活動

各自治体の発行するリトルベビーハンドブック、その中に書かれているメッセージのほとんどが実際にその自治体でリトルベビーを育てている保護者や医療従事者からのものです。リトルベビーハンドブックが作成される際に、多くのリトルベビーサークルが自治体に連携し、協力しています。また各サークルの活動方法や規模はそれぞれですが、主に以下のような活動をしています。 

・交流会/勉強会

実際に会うだけでなく、オンライン(ズーム、インスタグラムなど)上でも連絡を取り合いながら交流を深めています。その地域のサークルだからこそ聞ける病院や療育の情報(一人ひとりの発達のスピードに合わせて支援する療育は、同じ症状があることが多い保護者同士の方が話しやすい。)、保育園や幼稚園(発達が心配な子供の入園に理解のある園はどこかなど)、進学に向けての情報、便利グッズ情報など話題は尽きないでしょう。 

・写真展などの啓発活動

1117日の世界早産児デーなどを中心に、全国各地でリトルベビーをテーマにした写真展などの啓発活動を行っています。リトルベビーが生まれた後の成長過程など、リトルベビーに関連した様々な展示がされており、先輩たちの成長の様子にふれることができます。 

・イベント/広報活動

お花見やお祭り、お遊び会などサークル毎にイベントを企画しています。またメディアやSNSなどを積極的に活用してサークルの活動を広報しています。

各地でリトルベビーサークルを運営している方のほとんどがリトルベビーの保護者である当事者であり、実際にその地域で当事者同士つながれることは、孤独や不安な気持ちを大いに和らげてくれます。「私が経験したあのようなどん底の辛い思いをこれから小さな赤ちゃんを産まれるご家族に経験させたくない」という強い思いからサークルを立ち上げています。

リトルベビーの課題とHANDSの活動

1)リトルベビーサークルへの資金サポート

多くのサークルが始まって間もないために活動費を十分に確保することが難しく代表者などが自己負担をせざるを得ない状況にありましたので、昨年からクラウドファンディングなどを実施し支援を行っています。 

2)リトルベビーへの支援制度拡充を目的とした広報・啓発活動

リトルベビーの課題を社会に広く認知してもらい、将来的には様々な支援制度拡充につなげるために広報および啓発活動を行っています。

HANDSホームページ:https://www.hands.or.jp/

*1 参照元:厚生労働省  子どもの成長(身長と体重)

*2 参照元:政府統計  人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生

坂東あけみ

bandou akemi

特定非営利活動法人HANDS テクニカルアドバイザー

特定非営利活動法人HANDS テクニカルアドバイザー/国際母子手帳委員会事務局長。51歳まで小学校教員。教員生活29年のうち26年は支援学級の教員。51歳から大阪大学大学院で国際協力学専攻。アジアやアフリカの国での母子手帳作成に技術協力の一方、日本での低出生体重のお子様と家族のためのサークルの立ち上げと母子手帳サブブックのリトルベビーハンドブックの作成に協力している。