インタビュー #マネー・就労

パパFPが解説!子どものお金の勉強はいつから?どうやって教える?

2022年11月14日 15:07

大人の社会ではお金に関するトラブルが少なくありません。そんなお金のトラブルに巻き込まれないよう、子どもの頃からお金について正しい認識を持つことは大切です。

子どもへのお金の教育はいつからはじめればいいのか、またどんなことを教えればいいのか、ファイナンシャルプランナーでご自身も2児の父親である大橋宏樹さんにお話を伺いました。

お金を肯定的に捉える

お金や経済に関する知識や考え方は、少し前まで大人の世界でもあまり浸透していませんでした。それがようやく最近になって、大人の世界でやっと成熟してきたと感じます。

そういった背景のもとで、今後はもっと経済について知ることが大事になってくると考えられます。そして経済の根底にあるのはお金の存在です。経済について正しい認識を持つためには、子どもの頃からお金について肯定的な考えができることが大切です。

親の世代には、あまりお金に執着するのはみっともないとか、極端に言えばお金は汚いというイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。そういう場合は、まず親の意識から変えていきましょう。子どもの幼少期にお金に対するネガティブな先入観を持ってしまうと、いざ経済について学ぶときに、素直な気持ちでお金の大切さを受け入れるのが難しくなってしまう可能性があるからです。

お金は労働の対価であること、お金を稼ぐのは、人に喜ばれることや価値のあることを提供する正しい行為であるという考え方を、子どもが自然に身につけることができればベストです。

お金に対する肯定的な考え方が身につく環境づくり

では、子どもがお金を肯定的に捉えられるように、どのような教育をしたらよいでしょうか。これに関しては、なにか特別な「お金の勉強」をする必要はないと私は考えます。とくに未就学児のあいだは、学ぶよりも真似ることに重きを置くのがよいでしょう。

つまり、子どもがお金に対する肯定的なイメージを真似できるように、親が見本を見せてあげるのです。親同士など大人の自然な会話の中で、普段通りお金の話をしてみてください。子どもが隣にいるからお金の話はちょっと、と隠す必要はありません。大人が考えている以上に、子どもは大人の話をよく聞いています。

子どもの前でお金の話しを隠すことは逆にお金の話はしてはいけないと思わせてしまう可能性があります。貯金の話でも投資の話でも、大人同士がお金についての建設的な意見を交わすのを聞いて、子どもがお金を必要以上に怖がったり、悪いイメージを持ったりすることはなくなるでしょう。

また、子どもに対してもお金の話を避ける必要はありません。たとえば、もっと親と遊びたい子どもが、親が仕事に行くのを嫌がったときなどは、お金の話をするチャンスです。「仕事に行かなければならないからダメ」で終わらせるのではなく、お父さんやお母さんが仕事をするからお金がもらえて、そのお金で生活ができるということ、子どものおもちゃやお菓子も買えるのだということを説明してあげるとよいでしょう。

大人がまず「お金を運用すること」に挑戦

もっとも、大人自身が経済について苦手意識を持っていることもあるでしょう。そんな場合は、大人がまず投資などにトライしてみることがおすすめです。本やインターネットなどから得られる知識だけではなく、経験して初めてわかることもたくさんあります。お金に対する親の価値観も変わってくるでしょう。

そうした経験をまた大人同士の会話に乗せることで、子どもにもお金の話を伝えることができます。もし子どもが興味を持って質問してきたら答えてあげましょう。子どもに説明することで、親も子どもも経済に対する理解を深めることができます。

体験施設を利用してみる

未就学児にお金の勉強はとくに必要ないと言いましたが、社会のお金の仕組みを実際に体験できる”お仕事体験”施設の利用はおすすめです。自分が仕事をすることで相手が喜び、その対価としてお金がもらえて買い物ができるという実体験は、お金を稼ぐのは正しい行いであるという考えを育むのに役立ちます。

また、最近はお金や経済の仕組みについて学ぶスクールや塾も増えています。その道のプロが教えてくれるので、小学校に入ってお金のことがわかるようになってきたら、スクールなどを利用してみるのもひとつの手です。

キャッシュレス化に伴うお金の教育は?

世の中ではキャッシュレス化が進んでいますが、キャッシュレス化に伴う心配事のひとつに、残高が見えない分、子どもがお金を使いすぎてしまわないかということがあげられます。

キャッシュレス、現金に関わらず、お金の使い過ぎに注意しなければならないのは大前提です。しかし、子どものうちに使いすぎて失敗する経験をしてしまうのは、一概に悪いこととはいえません。貴重な学習の機会になるためです。子どもの場合、使いすぎといってもせいぜいお小遣いやお年玉の範囲なので、子どものときに小さく失敗しておけば、大人になってから取り返しがつかないようなお金の失敗をする可能性を低くすることができるでしょう。

まとめ

親の背を見て子は育つというように、子どもは親のことをよく見ています。親自身が率先してお金のことを学んだり実践したりすることが、結果的には子どもに対するお金の教育になります。その結果、家計もプラスになれば、子どものお金に対する肯定感も上がってよい循環が生まれるので、まず大人が挑戦してみるのも一つの手でしょう。

大橋宏樹

ohashi hiroki

ファイナンシャルプランナー

繊維系商社から保険会社へ転職したのち、保険代理店として独立。投資も教える保険屋としてSNSなどで活躍中。おもに30代子育て夫婦への情報を発信している。2児の父で、主夫業もこなしている。