インタビュー #発達障害

ギフテッドとは?特徴や種類・判断基準・支援、発達障害との違い【精神科医解説】

2023年6月18日 9:53

子どもの頃から周囲より飛び抜けて高い知性や能力を持つ「ギフテッド」をご存知でしょうか?その能力の高さゆえに周囲から浮いてしまったり、学習面で物足りなさを感じることがあると言われています。

これまで日本ではギフテッドに対する特別な支援が行われてきませんでしたが、2022年4月に初めてギフテッドの子どもに対する学校指導や支援のあり方を話し合う有識者会議が設けられました。これによってギフテッドへの注目度も高まりつつあります。

そこで今回は精神科医しょう先生にギフテッドの子どもについて特徴や接し方など幅広くお話を伺いました。

ギフテッドとは?

ギフテッドの特徴

ギフテッドとは一般的には知的能力や創造性が高く、特別な才能を持っている人のことを指します。その知的能力の高さから独自の思考プロセスを持っている人も多いと言われ、学習や知識の習得が非常に早いという特徴を持ちます。能力の高さは学習面だけではなく、芸術やスポーツ、科学などの分野でも発揮されることがあります。

ギフテッドの原因

ギフテッドの原因は、遺伝や環境など複数の要因が関係していると考えられています。遺伝的要素はギフテッドの能力に大きな影響を与えるとされており、一部の研究では親子間や兄弟間での知能の相関が示されています。しかし、遺伝だけでは説明できない要素も存在し、家庭環境、教育、栄養、精神的健康などの環境要因も大きく関与しています。

そのため、ギフテッドの子どもたちが持つ特別な能力は、遺伝的要素と環境要素が相互作用することで形成されると考えられています。

ちなみに、ギフテッドの人口は国や評価基準によって異なりますが、一般的には全人口の2〜5%ほどいると言われています。

ギフテッドには2つのタイプがある

すべてにおいて高い能力を持つ「英才型」

「英才型」とは、あらゆる面において学習能力が高く、また創造性や問題解決能力も優れていて、独自の発想やアプローチで新しい知識や技術などを習得していく力を持っています。

知的能力が高すぎることで、学校などの一般的な学習環境では退屈してしまい不満やストレスを感じやすかったり、自分自身に過度なプレッシャーを与えてしまう場合もあるようです。また周囲との能力の違いを感じて、友達作りなどに影響が出てくることも考えられます。

得意と苦手に凸凹がある「2E型」

「2E型」というのはtwice-exception(2重に例外的)の略で、英才型のように高い能力や才能を持ちながら、発達において極端に苦手な部分も持っているタイプです。いわゆる発達障害が合併していると考えられ、例えばASD(自閉スペクトラム症)を持っている場合は強いこだわりを持っていたり、コミュニケーション面に問題を抱えています。高い知的能力を持ちながらとても生きづらさを抱えてしまうというのが「2E型」の特徴です。

ギフテッドの判定方法や相談先について

ギフテッドの判定方法は?

ギフテッドかどうかについては、一般的には周囲の目が増えてくる小学校以降に気づかれることが多いと思います。あるいは未就学児でも親御さんが気づくケースもあります。ギフテッドかどうかは知能指数(IQ)を調べる検査を含む心理検査を受けることで判定することができます。その他にも、高い創造性、好奇心、独自の思考やアプローチなどの特性を持っています。子どもの行動や興味、成長のペースを観察し、ギフテッドの特性があるかどうか確認しましょう。

ただしギフテッドは医学的な診断名ではありませんので、発達障害のように医師によって診断されるものではありません。

検査を受けたり相談できる場所は?

IQ検査は心理検査を行なっている心療内科や精神科などのクリニックで実施していることが多いので、問い合わせをしてみてください。またお住まいの地方自治体でも行なっているところもあります。IQ検査に関わらず、お子さんの特性について気になることがあれば、かかりつけの小児科や学校の教育カウンセラーなどの専門家にお話ししてみてアドバイスを受けることをお勧めします。

ギフテッドの子への接し方3つのポイント

ギフテッドと言ってもお子さんによってそれぞれ特性も異なります。その子が何が必要なのかを

しっかりと見極めて個別に判断しながら接することが何より大切です。

①知的好奇心を満たしてあげる

ギフテッドの子は好奇心の強いタイプが多いので、興味を持ったことに対していろいろな学習材料を与えてあげましょう。その際「子どもだからこのくらいでいいだろう」とは考えずに、よりハイレベルのトピックに触れさせてあげて、知的好奇心を満たしてあげられるといいですね。

②より高いレベルに挑戦させる

高い能力を持っているため簡単な課題に退屈しがちなので、適切な難易度を設定することもポイントです。次々と難易度を上げてより高いレベルに挑戦させることで、能力をさらに伸ばしてあげましょう。

③困っている部分をサポートする

特に2E型のタイプは社会的スキルにおいて困りごとを抱えている場合もあります。友達作りやチームワークなどのコミュニケーション面やメンタルヘルス面の支援が受けられる環境づくりをしてあげてください。

日本のギフテッド支援について

ギフテッド支援と教育環境への課題

残念ながら日本ではギフテッドへの認識も支援もまだまだ足りていない状態です。高い能力を持ちながらも社会で見過ごされてしまって、適切な支援を受けられずに生活の困難に直面している子も多いと思います。この認識されていないということが、ギフテッドが困りごとを抱える一因でもあります。

私が聞いた話によれば、イギリスではギフテッドを含むクラスに馴染めない子に対しクラスの先生の他に専門のサポーターがついて得意を伸ばす学習環境が整っているそうです。

日本の小学校の場合は、2、30人程度のクラスで平均的なIQを持つ子に向けて一律の授業をするのが一般的。この環境ではギフテッドの子は退屈してしまうでしょうし、その能力もなかなか活かせません。

日本でも支援への話し合いがスタート

そのようななか、2022年に有識者による話し合いの場が持たれました。あくまで議論のキックオフかもしれませんが、ギフテッドではないかと気づいても相談場所がなかったり、対処方法が分からなかった方々にとっても明るいニュースだと思います。

具体的な支援についてはこれから話が進んでいくものと思われますが、ギフテッドのお子さんやその親御さんにとって最適な支援体制が整っていくことを願います。

味方であることを伝えてあげて

ギフテッドであっても、発達障害であっても、お子さんが困難を感じる場面は必ずあると思います。その時に親御さんや周囲の人たちが共感や理解を示してあげて「私たちがついているよ」と味方であることを伝えてあげてください。それによってお子さんが安心感を得られたり、自己肯定感を伸ばすことで、困難へ立ち向かう力につながると思います。

まずはゆっくりと時間をかけてお子さんを観察し、必要に応じて専門家に相談しながら、お子さんが安心して自分のペースで成長できるようサポートしていってあげられるといいですね。

精神科医しょう

seishinkaisho

精神科医

大学病院や精神科クリニックなどで研究や診療を行いながら、大学講師や産業医を務めた経験も持つ。現在は大学病院で精神科医として勤務しながら、インスタグラムやメルマガ、音声配信などで情報発信にも力を入れている。(ブログ:https://drshrinksho.com/

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