インタビュー #食事・栄養

子どもの食物アレルギーの付き合い方は?【モデル&アレルギーナビゲーターが解説!】

2022年12月19日 13:35

現在、食物アレルギーを持つ人は増加傾向にあります。お子さんが急に食物アレルギーを発症するということも少なくありません。

食物アレルギーとはどのように付き合っていけばよいのでしょうか。ご自身も重度のアレルギー体質で、その経験をアレルギーに悩む人たちに役立てようと活躍されている「アレルギーナビゲーター®」の細川真奈さんにお話を伺いました。

そもそも食物アレルギーとは?

食物アレルギーの原因は、実はまだはっきりとわかっておらず、いろいろな仮説が提唱されています。たとえば、子どもの頃に清潔にしすぎたことが原因だとする「衛生仮説」や、遺伝が原因だとする説、食べ物に含まれる添加物や遺伝子組み換え食品が原因だとする説などです。最近では「皮膚感作(ひふかんさ)」といって、赤ちゃんの時に肌の荒れた部分に付着したアレルゲンが食物アレルギーを引き起こすという説が学会で発表されています。

ではアレルギーはなぜ起きるのでしょうか。私たちの体には、有害な細菌やウイルスなどの病原体から体を守るための免疫システムが備わっています。その免疫システムが、本来無害なはずの食べ物に対して過敏に反応してしまう状態がアレルギーです。

免疫システムが過剰反応を起こした結果、目のかゆみ、鼻水、喉のイガイガや皮膚のかゆみなどの症状が出ます。重篤な場合には、血圧の急激な低下など命の危険が生じるアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。

「家の中」で気をつけること~皮膚への付着にも注意

アレルギーが重度な場合は、調理のときに出る湯気だけでも症状が出てしまいます。また、アレルギー体質でない兄弟がいる場合は、兄弟のよだれがついても症状が出ることがあります。アレルギー食品が口に入らないようにするだけでなく、皮膚への付着も気をつける必要があります。

「家の外」で気をつけること~はっきり伝えることが大切

家の外での活動で大切なことは、一緒に過ごす相手に、食物アレルギーであることをはっきり伝えることです。食物アレルギーは見た目で分からないことがほとんどなので、言葉で伝えて相手に知ってもらいましょう。

また、お出かけの際には、アレルギーのお子さん用のおやつを持参しておくのがおすすめです。幼稚園の帰りに急にお友達のおうちへ行くことになったといったような場合に対応することができます。

外食のときは、メニューにアレルギーの食物が使用されていないことだけではなく、アレルギーの食物を使ったほかのメニューと調理器具が分けられているかどうか、同じ揚げ油を使っていないかどうかなども、症状のレベルによっては店員さんに確認しましょう。

病院と二人三脚でアレルゲンに慣らす

以前は食物アレルギーがある場合には、原因となる食物を完全に除いた除去食や代替食を用いて、アレルギーの食べ物は摂らないようにするのが一般的でした。でも現在は、病院で指導してもらいながら少しでも食べられる量を摂取して慣らす免疫療法が主流になっています。

病院では血液検査をしたあと、「食物経口負荷試験」といってアレルギーとなる食べ物を少しずつ摂取し、食べても症状が出ない量を調べます。病院での検査に基づいた分量を自宅で毎日摂取して慣らし、一定期間ののちにまた病院で調べてもらって、食べる分量を増やしていく、ということを繰り返します。これを「経口免疫療法」と言います。

アレルギーの原因食品を除去するポイント

アレルギーの原因となる食物と、似ていてもアレルギー症状が出ない食べ物をきちんと把握することが大切です。

たとえば鶏卵アレルギーだと、鶏肉は食べることができます。また、お菓子などに入っている「卵殻カルシウム」は卵の殻から作られていますが、ほぼ問題ありません。

一方で、鶏卵にアレルギーがあり、かつ魚卵も食べられない場合があります。魚は春に子持ちになることが多いので、気をつけましょう。

牛乳アレルギーも同じで、乳化剤や乳酸菌、乳酸カルシウムなどは乳成分が入っていないので食べることができます。しかし乳糖は牛乳が原材料であるため、アレルギーの重さによっては症状が出ることがあります。乳糖は市販の風邪薬にも入っているので、使うときには薬剤師さんに確認しましょう。

小麦は多くの食品に使われているので、悩まれる方も多いと思いますが、醤油やみそなど調味料に使われている小麦は症状が出ない人がほとんどです。これは、醸造など醤油やみそを作る過程でアレルゲンが壊れてしまうためです。小麦アレルギーでも醤油やみそは食べられるとわかれば、外食などがずっと楽になります。

クリスマスにおすすめのアレルギー専用メニュー

最近は各企業さんが努力して、アレルギー専用メニューも美味しさが追求されるようになりました。ぜひご家族皆さんで一緒に召しあがってください。

・チキン
モスバーガーでは、卵、乳製品が不使用のモスチキン(調理過程でのコンタミネーションあり)が販売されています。

・クリスマスケーキ
アレルギーっ子でも食べられるクリスマスケーキは、チェーン店ではシャトレーゼやコージーコーナーなどで、また、セブンイレブンやローソンなどのコンビニでも予約することができます(特定原材料7品目不使用)。

食物アレルギーのお子さんを持つ親御さんへ

ご自分がアレルギーではないのに突然お子さんがアレルギーになられると、最初は不安に感じることも多いでしょう。自分のせいじゃないかと自分を責めてしまったりするかもしれません。でも、アレルギーはそんなに神経質になったり悲観的になったりするものではなく、ましてやかわいそうなことでもありません。子どものひとつの個性だと捉えていただけたらと思います。アレルギーがあるからこそ、食べ物についてこれまで以上によく考えたりと、プラスなこともたくさんあります。

もし悩みがあれば、ご家庭で抱え込まずに、地域のアレルギーの会などに参加してみてください。私のほうでも毎月2回座談会を開催していますので、ぜひお気軽にご参加ください。

細川真奈

hosokawa mana

アレルギーナビゲーター®/モデル

ファッション誌やアパレルのモデルなどインフルエンサーとして活躍するかたわら、自身の重度なアレルギーの経験を役立てるため、「アレルギーナビゲーター®」として活動。株式会社イートイズ(https://eatis.jp/)代表取締役。

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