インタビュー #マネー・就労

【キャリアコーチが解説】ワーママを楽にする職場復帰のタイミングと準備とは?

2022年12月15日 11:06

育休中のママの中には、職場復帰のことを考えて「何から準備したらいいか分からない」と不安になっている方も多いのではないでしょうか?

今回は、キャリアコーチであり1児のママでもある田代悠佳さんにインタビューしました。たくさんのクライアント様の経験談とご自身の過去の反省点を踏まえて、職場復帰に向けてやるべき準備について解説していただきました。

負担を軽くする「職場復帰日」の考え方

育児休業は、原則として子どもが産まれてから1歳になる誕生日の前日まで、と法律で定められていますが、それに対して職場復帰日はご自身で調整して決めることができます。

職場復帰をするにあたって何よりまず必要なのが、お子さんの預け先の確保です。保育園が決まった場合は、入園日がいつになるのか、慣らし保育は何日あるのかを確認しましょう。お子さんの慣れ具合もそれぞれなので、自分にもお子さんにも負担にならないよう、入園から職場復帰日まではある程度余裕を持てるといいかもしれません。

入園が決まったタイミングで一度、勤務先に報告を入れて、復帰する意思を伝えておくことをおすすめします。会社の方にも受け入れ体制や準備が必要なので、会社側の都合も聞いておけるといいですね。

具体的な復帰日を決める際は、社会保険料が発生するタイミングも考慮するといいでしょう。育休中に免除されていた社会保険料は、月末時点で復職していた月から再び発生します。例えば430日に復職する場合、29日までは育休中であったにも関わらず、丸々1ヶ月分の社会保険料を支払うことに。1日ずらして51日の復帰にすれば、社会保険料は5月分からの発生になります。

最後にチェックしたいのがお住まいの自治体のルールです。それぞれの自治体で保育園の入園から復職証明書を提出するまでの期限を設けているので必ず確認しましょう。

心の安定につながる準備をリストアップ

私自身がそうであったように、職場復帰に向けて不安でいっぱいになっている方も多いかもしれません。その理由は、自分で「やるべきこと」「やっておくといいこと」「やりたいこと」が分からない状態だからではないでしょうか。そのためにまずは、自分にとって必要な準備を細かく書き出してみることをおすすめします。何を準備しておけば心の安定につながるか、という観点から考えてみてください。

次にそれらを2つに分類してみましょう。1つは「自分のペースでできる準備」、もう1つは「人との関わりが必要な準備」です。ここからは、それぞれについて具体的な内容を解説します。

「自分のペースでできる準備」とは

ここに分類されるのは、隙間時間などを使って自分のペースで行うことができる作業などです。書類作成や手続き関係、ファミリーサポート登録、入園に向けて必要なグッズの準備、家事の効率化をアップするためのアイテム入手などが含まれます。もちろん自分一人で抱えずに、パートナーと作業をシェアしてもいいかもしれませんね。

他にも私のクライアント様のなかには、家事の見直しや断捨離をやっておいて良かったという声があげられました。「バタバタと帰宅した後に家が雑然としているとやる気が下がる」という意見もあったので、不要なものは今のうちに処分していく方がいいかもしれません。また、仕事と家事・育児の両立にはかなりの体力を必要とするので、体力づくりをしておいた方がいい、という意見も多かったです。

「人との関わりが必要な準備」とは

こちらに分類されるのは、家族や友達、保育園の関係者や職場の仲間など、自分以外の人にも関わってくる準備です。具体的には、家事や送り迎えの分担、子どもが病気の時の対応方法などの決め事をパートナーとしておくこと。そして祖父母などへのサポート依頼、職場へのリサーチや挨拶、悩みを相談できる場所や専門家の確保、保育園の先生や保護者とのコミュニケーションなどがあります。

なかでも私が一番重要だと思っているのが、あなたの支えになってくれる人、大事にしていきたい人を明確にして、その人との関係性を構築していくことです。職場復帰後、自分が心地よく働きながら、家事・育児を続けていくためには、周囲の人からの協力が絶対に欠かせません。そのためには日頃から丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。家族や友達、職場の仲間には頼りにさせてもらっていることや感謝をしっかりと伝え、これからお世話になる保育園の先生や他の保護者の方には、自分の人となりが分かるような会話をしてみてください。ちょっとした悩みや心配事をポロッと言うことでママ友との距離がグッと近くなることもありますよ。

自分で自分を認めてあげよう

私は元々、東京で職場復帰をする予定でした。ところが認可保育園の一次募集で全て落ち、その後の保活でようやく園が決まったタイミングで夫の転勤も決まり、退職をして秋田へ転居したという経緯があります。当時は何もかもが思うようにいかず、子どもに当たりそうになったことも。今、思えば自分のことも周りのことも大切にできていませんでした。今回、ご紹介した内容は、そんな私の反省も交えたものです。

もしも今、あなたが不安でいっぱいになっているとしたら、それは職場復帰へ向けて着実に行動している証拠だと思います。まずは復帰を決意したご自分を褒めてあげてください。それは大変な覚悟だし、誰もができることでも、当たり前のことでもありません。

復帰後のママは、頑張っていない時間が全くないというほど頑張ってしまうもの。そんな時もご自分への労いを忘れないでください。そして自分を支えてくれる人や大事にしたい人への感謝や丁寧なコミュニケーションを大切にしてほしいと思います。

田代 悠佳

tashiro yuuka

キャリアコーチ

田代悠佳 TCS認定コーチ/MCS認定シニアマザーズティーチャー/PAA認定パートナーシップコーチ。金融機関に就職後、結婚・出産。育休復帰の直前に夫の転勤が決定し、退職。東京から秋田へ転居。自身の子育てに危機感を感じたことから、マザーズコーチング講座を受講。その後、コーチ資格を取得し、育休中の方やキャリアに悩む女性を中心ににコーチング講座やセッションを提供している。