子育てコラム #食事・栄養

子どもの好き嫌い【離乳食編】〜離乳食を食べないのは嫌いだから? 栄養士が教える3つのポイント!〜

2022年5月10日 10:00

離乳食の悩みで一番多く寄せられる相談は、「離乳食を思うように食べてくれない」「最初は食べてくれたのに、月齢が進むと食べなくなった」と、「食べてくれない」という声をよく聞きます。

ママも子どものためにと、頑張って作った食事を食べてもらえなければ少しへこむ気持ちにもなりますよね。

ですが、「食べてくれない」という悩みは、子どもの単なる食の好みというよりも実はちょっとした変化や視点を変えてあげることで、解決できるケースがあることを今回はお話ししていきます。

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離乳食の「食べない」悩みには?

離乳食は一般的に生後5〜6ヶ月の時期にスタートします。食べることに慣れる、これからの成長に必要な栄養を口からも補うという目的があります。

そんな離乳食ですが、「離乳食本通りに行っているのに食べてくれない」と悩むママも多く、頑張って作ったのに「なぜ?」と思うことがあります。そのような時に確認すべき3つのポイントがあります。

  • 単調すぎる味が続いていないか
  • うす味ばかりを意識しすぎていないか
  • 自分で食べたい意欲を伸ばせているか

3つのポイント①「単調すぎる味が続いていないか」

離乳食といえば、トロトロのお粥やなめらかにすりつぶした野菜などからスタートしていきます。うまく食が進まない時、考えられる原因が「単調すぎる味や同じ食材が続いている時」です。

大人でも同じ味や食材が続くと嫌気がさす感覚があるかと思いますが、赤ちゃんも、同じように単調すぎる味が続くと食への楽しみや関心が薄れ、結果食べなくなるという流れを作り出している可能性があるのです。

アレルギーの心配がある卵や小麦製品は単品ずつ試す必要性はありますが、野菜や芋類、肉類、魚類でアレルギーが見受けられなかった場合は、一緒に食材を組み合わせて食べさせてみると食いつきが変わることが多いに見受けられます。

3つのポイント②「うす味ばかりを意識しすぎていないか」

離乳食の味付けといえば“うす味”という認識をよく持たれがちですが、味付けで気を付けて欲しいポイントは、複数の調味料を多く組み合わせることです。

赤ちゃんの食事で、醤油やみりん、砂糖、塩と同時に多用することは確かに味が濃くなり、味覚発達の面からみてもおすすめはできません。では、どの程度の味付けを行えば良いかというと、本来のミネラルバランスが取れた魚の出し汁やアミノ酸などの旨味成分を含む肉汁スープを食材と一緒に組み合わせることで本来の食材の旨味を引き出し、天然のおいしい旨味のある味付けが完成していきます。

本来の旨味を最初に赤ちゃんが味わう事ができると次の食事も楽しみになり、色々な食材に対しての食いつきが変わってきます。

ですが食事に対しておいしくないと赤ちゃんが最初で判断してしまうと、次の食事もまた同じ?と赤ちゃんが食べる前から拒否するという流れが出来上がってしまいます。

赤ちゃんは、まだ言葉を喋らずとも一つひとつの経験から自分の意思を示し出していくため、最初でおいしいと感じることができた赤ちゃんはどんな食材も食いつきがよく、モリモリ食べるようになるケースが多いのです。

なんだか食いつきが悪くなってきたかな?と感じた場合は、食べなかった食材に、出し汁を混ぜて味付けをしてみることをおすすめします。自分で出し汁を取るのが難しいな。と思った方は、ネットで赤ちゃん用の出し汁は多く売られているため活用すると良いですね。

3つのポイント③「自分で食べたい意欲を伸ばせているか」

ある程度月齢が進むと、食への関心が高まり自分の手で食べ物を掴んだり、ママやパパの食事に手を伸ばしてきたりすることも増えます。そのような時、まだ早いと思うのではなく、手であえて食材を掴ませてあげてください。最初は上手く口に入れられず、口からポロポロ落とすこともあるかもしれません。

ですが、赤ちゃん自身が自分の手で食べ物を運ぶ(手づかみ食べ)という動作自体がとても重要で、食べることに対しての意欲増加や、話すために必要な口周りの筋肉の発達にも繋がっていきます。「手づかみ食べ」の練習を行うことは、のちのスプーンやフォークを使って自分で食事ができるようになる練習の第一歩です。

食べ物に手を伸ばしてきたときやスプーンで食べるのを嫌がったときは、普段の食事に少し変化をもたらし、手に食材を持たせてママとパパは隣で見守ってあげてみてください。きっと、赤ちゃんが自ら食べる様子が見受けられます。

「食べない=嫌い」ではない、100人いたら100通りの食事の進み方がある

子どもの発達や食べる量・食の好みは本当にそれぞれで、100人子どもがいたら100通りの食事の進み方があります。大切なことは、我が子の様子を観察する事です。「食べない=嫌い」ではなく、まずは上記に挙げた3つの視点を持って今一度、チャレンジしてみましょう。

少しくらい食べなくても、気にしすぎないことも大切です。ママが神経質になって笑顔がなくなると、赤ちゃんも食事の時間が楽しくなくなってしまいます。ママと赤ちゃんが素敵な食の時間を楽しめるように、笑顔でまずは食を楽しむ気持ちで取り組んでみてください。

林美穂

hayashi miho

管理栄養士

病院給食を作る委託会社、福岡糖質制限クリニック、宗田マタニティクリニックに勤務後、独立。各院に勤務中2,000人以上の糖尿病や鬱、高度肥満、妊産婦へ栄養指導を行う。宗田哲男氏の「赤ちゃんのための妊婦食本」を始め、「体、知能が育つ離乳食本」のレシピ考案・栄養監修として制作に参加。現在はフリーランスとしてセミナー講師・本の執筆協力・新栄養学講座開設など幅広く活動を行っている。