インタビュー #教育

【子ども英語講師に聞く】親子で始める「おうち英語」3つのポイント

2022年11月10日 10:00

学習指導要領により、2020年から小学校での英語教育が必修化されました。これによって「子どもの英語教育は家でもやった方がいいの?」「いつから始めるのがいいの?」など疑問に思っているパパママが多いかもしれません。

そこで今回は、子ども向け英語イベントやコミュニティなども運営する英語講師のMarinaさんに、おうちで始める英語学習のポイントについてお話を伺いました。

英語学習のスタートが早いほどいい理由

英語を始めるのは早ければ早いほどいいと思います。それには理由が2つあって、ひとつは子どもが持つ音を聞き分ける力を生かすためです。子どもが語学習得の天才と言われるのは、この耳の力が大人に比べ長けているからです。

英語には日本語にない音もあります。英語の発音を正しく身につける、という意味でも日本語の習得が確立する前の幼児期に英語学習をスタートさせることがおすすめです。

また語学習得には、圧倒的な時間量が必要です。言葉を聞いて話せるようになるまでには、一般的に23,000時間必要と言われます。早く始めるほど、それがアドバンテージになるのです。

もちろん小学校入学の時に初めても、遅すぎるということはありません。「始めよう」と思ったときが一番早い「始めどき」です

語学習得のための黄金ルール

英語の学習を始めるときに絶対に守った方がいい学習の順番があります。それは「聞く」「話す」「読む」「書く」の順番で進めることです。

人が言葉を習得していく流れをイメージしてみてください。赤ちゃんの頃はただひたすら周囲からの言葉をシャワーのように浴び続け、その後少しずつ発語が始まり、幼児期にはかなり話せるようになります。

小学校に入学し、国語の授業では読み書きから始めますが、それは「聞く」「話す」の基礎はできているという前提だからです。

親御さんの中には、中学校で初めて英語を習い、読み書きから始めたという方も多いかと思います。ところがどれだけ勉強しても「英語が聞こえない・話せない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?それは肝心な「聞く」「話す」の基礎がないままスタートしたからなのです。

小学校入学前に英語を始めるなら、この「聞く」「話す」の土台部分を固める英語の取り組みを必ず意識していきましょう。「読む」「書く」はずっと後でも大丈夫です。

親は「英語力」より「環境整備力」

おうちで英語の勉強と聞くと、どこか英語教室に入れた方がいいのかしらと考える親御さんも多いかと思います。特にご自身が英語が苦手な場合は、そう考えてしまいがちですが、おうちで簡単に英語を始める方法はいろいろとあります。

私の経験から言えば、子どもの英語の上達にあたり、両親がネイティブレベルの英語力を持っている必要はありません。それより大切なのは「環境整備力」。日常生活の中で、お子さんができるだけたくさんの英語に触れることができるよう環境づくりに徹することが大切です。

さらに、「この機会にお子さんと一緒に英語をやり直そう」という気持ちで、楽しみながらできるといいですね。

ここからは英語が苦手なパパママでも簡単にできる、おうち英語のポイントを3つご紹介します。

ポイント「見る」「聞く」ものを英語にスイッチ

最初に始めるものとしておすすめしたいのは英語の歌です。「大きな栗の木の下で」や「キラキラ星」のように日本語の歌詞がそのまま英語になっており、さらに耳馴染みのある童謡だとお子さんも興味を示してくれます。また普段見ているテレビや動画を英語にスイッチするのもいいでしょう。

歌やテレビよりもう少し親御さんが関わるものとしては、絵本があります。ごく簡単ものから取り入れて、絵本の時間に一緒に読んでみてください。パパママがどうしても英語が苦手な場合は、オーディオブックや音声タッチペン付きの本を利用するのもありです。

ポイントカンタン英語で声かけ

歌やテレビ、絵本などは、英語を始めた頃に取り入れる受け身のインプットとしておすすめです。それよりもう少しレベルアップする場合に取り入れてほしいのが、パパママからの英語の声かけです。

「英語は話せません」とおっしゃる方も多いですが、「Good Morning!」などの簡単なものでいいのです。日常生活の中で両親が英語で声かけをすることは、子どもに英語を「お勉強としてではなく、コミュニケーションツール」として認識してもらうことに繋がります。同じ「Good Morning!」でもテレビから流れてくるものと、朝に実際かけられる挨拶では意味が違うからです。

ここで2覚えておいてほしいことがあります。一つはこちらの英語での声かけに、お子さんがすぐ英語で返してくれる、と期待しないこと。発語のタイミングはお子さんそれぞれです。待つ姿勢を忘れないようにしましょう。

もう一つは、ご自身の発音に自信がないからと言って声かけを諦めないこと。正しい発音は、音源教材などから子どもが自然に取り入れていきます。親御さんは、コミュニケーションツールとして英語を使うことを大切にしてください。

ポイント子どもの「好き」に寄せていく

お子さんがおうち英語を継続するために最も重要なのは、興味のあるテーマで取り組むことです。たとえば恐竜が好きな男の子には、恐竜のキャラクターで描かれた英語の本や動画を使ってみることで、英語がさらに楽しくワクワクするものになっていくことでしょう。

「恐竜の英語は実用的ではないかも」などと考える必要はありません。恐竜の名前ひとつとっても、日本語のカタカナと英語の発音がまったく異なることを知るのも大切ですし、子どもは興味のあることはどんどん吸収していきます。「恐竜」をきっかけにいくらでも学習を広げていくことは可能です。

おうち英語は感動体験がいっぱい!

いろいろなご家庭に英語学習を始める理由を伺うと、子どもが小学校の勉強で置いていかれないように、という焦りに似た気持ちをお持ちの方もいらっしゃいます。でも英語は勉強である前に言語です。りんごを指差して「アポ」と言った、「Clap!」の声かけに手をたたいて反応した。日本語の習得と同じように、そこには、初めてお子さんが言葉をしゃべったり、こちらの言葉が通じたりした時のような感動体験がたくさん詰まっています。

子どもの成長と言語の習得というダブルの喜びや感動を実感できるのが、幼児期から始めるおうち英語の醍醐味。始めないともったいないと思います。一人でも多くの方が、「今すぐうちでも始めてみよう」と考えてくださると嬉しいですね。

Marina

Marina

子ども英語講師

オンライン英語フェスタ主宰/子ども英語講師。英会話スクール、海外就職/VISA、子ども英語教材など英語業界で18年。現在は子ども向け英語イベントを企画、運営。語学が壁にならない世界で活躍する人材や社会を牽引する子どもたちの育成をミッションに、YouTubeやインスタグラムでも情報発信している。自身も英語育児を実践する2児のママ。TOEIC900点。