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【幼児教室コペル代表講師 大坪可奈氏インタビュー】 ほんとうに頭のいい子を育てる家庭教育論 胎教で生まれてくる赤ちゃんの能力がアップする⁉

2022年4月24日 10:00

お腹に赤ちゃんが宿ったことを知ったときから、両親は「幸せに育ってほしい」と願うでしょう。そして、我が子にはできるだけのことをしてあげたいと思うのではないでしょうか。

赤ちゃんのより良い成長のためには胎教から頑張りたいと思うのも当然のこと。そこで、幼児教室「コペル」で、胎教セミナーの講師をつとめる大坪可奈さんに、子どもの脳の成長に結びつく胎教について伺いました。

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ママが良いと思うこと。それが胎教の基本

胎教と聞くと、クラシック音楽を聴いたり話しかけたりすることをイメージされると思います。その発想は間違っていません。ママが良いと思うことをたくさんしてあげればよいのであって、これが正しいという決まりはありません。

とはいえ、「何をすればよいのかわからない」「どんな方法が効果的なのか教えてほしい」という質問を多くの妊婦さんから質問を受けます。みなさん、できるだけ効果のある方法でご自身の赤ちゃんに働きかけたいと思うのは当然です。今回は、セミナーでもお話している方法の一部を紹介させていただきます。

ママのイメージしたことが赤ちゃんの右脳を育てます

お腹の赤ちゃんは左脳を使わず、右脳を働かせています。右脳はイメージの脳。ですからママはイメージを赤ちゃんに向けて送ってあげましょう。それが胎教のいちばんの目的になります。

たとえば、公園を散歩しながら「あれが木よ、大きいね」「鳥さんがいるね。きれいな声で鳴いているよ」「風が吹いてほっぺたに触れて気持ちいいよ」「赤い花が咲いてるね。甘い香りがするよ」というように、目に見えたものを具体的にイメージしながらお腹の赤ちゃんに話しかけてください。そのイメージが赤ちゃんの脳に刻まれ、生まれてきたあと、実際に物を見たり、音を聞いたり、何かに触れたとき、現実として捉える速度が圧倒的に早くなるのです。

読み聞かせはお腹の中にいるときからスタート

絵本を読むのもおすすめです。生まれる前から一冊の絵本の読み聞かせをしていると、生まれてきた赤ちゃんのお気に入りの一冊になることは、ママたちからたくさん報告を受けています。もちろんいろんな絵本を読み聞かせてもかまいませんが、実際に赤ちゃんがそこにいるように、正しい日本語で、物語をイメージしながら読んであげましょう。

お腹の赤ちゃんは羊膜に包まれているので音が明確に聞こえるわけではありませんが、ママの声のイントネーションは聞き取っています。実際、海外で生後すぐの赤ちゃんを集めて行われた実験があります。ドイツ人の赤ちゃん、フランス人の赤ちゃんを計60人集めて泣き声を分析したところ、生後2日には母国語のアクセントに即した泣き声を発していることがわかったそうです。正しい日本語を話し理解するための最初のステップが、お腹の中で聞くママの声なのですから、正しい言葉を聞かせる大切さがわかりますね。

お腹の赤ちゃんとコミュニケーションをとるキックゲーム

赤ちゃんとのコミュニケーションをとるためには、キックゲームがおすすめです。お腹の中ら赤ちゃんがキックをしてきたら、ママもその場所を「トン」と軽くたたきます。赤ちゃんが2度キックしてきたら「トントン」と2回たたきましょう。これを繰り返していると、妊娠後期にはママが「トン」とすると、赤ちゃんが反応してキックしてくるようになります。

こうしたコミュニケーションが成立するようになると、ママと赤ちゃんのイメージもつながりやすくなってきます。冗談のような話ですが、逆子の赤ちゃんに「くるんと回ってね」と話しかけ続けたら逆子が治った、「〇月△日に生まれてきてね」と話しかけていたら本当にその日に生まれてきたといった事例は、私の知るだけでも驚くほどたくさんあります。

夜泣き、イヤイヤ期、なぜなぜ期…事前知識が大切

私が行っている胎教セミナーでは、赤ちゃんが生まれたあとの成長についてもお話しています。たとえば、寝返りやハイハイ、つかまり立ちといった成長の過程を説明すると同時に、その時期は子どもによって異なるのがふつうであることもお話しして、近い未来に起こる不安を取り除きます。

成長の段階でママを困らせる時期と特徴についてもお話します。夜泣き、イヤイヤ期、なぜなぜ期などは、突然その時期が来るとママたちは困り果ててしまうものです。ですから不安をあおるのではなく、理由を説明して、成長の自然な過程であると理解してもらうようにしています。

実際その時期がきたときに「胎教で教えてもらっていたイヤイヤ期が始まりました」と、笑いながら報告してくれるママたちがたくさんいます。どう対処していくかは、そのときに一緒に考えれば十分間に合います。ママたちが追い詰められないためにも事前知識が大切だと考えています。

ホルモンバランスの急激な変化から、ママは孤独を感じてしまう

胎教セミナーでは、出産後のママ自身に起きる変化についてもお話します。妊娠中はオキシトシンという幸せホルモンで満たされているので、妊婦さんはパステルカラーのようなふわふわした幸せを感じられます。

ところが出産をした途端、強い孤独を感じるようになります。ママ友がほしくなるのはそのせいです。それから赤ちゃんを危険から守らなければならないという母性が強くなり、赤ちゃんの動きや声に敏感になります。同じ部屋に寝ていても、赤ちゃんの夜泣きにパパが気づけないというのは、ママが敏感すぎるからなのです。

また、ホルモンバランスが変わることで精神状態が不安定になります。ちょっとしたことでイライラしたり、誰にも赤ちゃんに触ってほしくないと思ったりして、パパにつらく当たってしまうこともあるでしょう。「ガルガル期」なんていう言い方をするので、ちょっと怖い感じがしますが、出産後1か月くらいでおさまります。

ママもパパもガルガル期を理解していれば、いざそうなったときにはパパがママの話を聞いてあげるなど、息抜きできる時間をつくれるようにするといった対応ができます。最近は胎教セミナーにパパが参加されるケースがとても多いので、ママにとって力強い味方になってくれるだろうなと頼もしく思います。

出産後の赤ちゃんの学習効果を高めるため、そしてママの心の健康を保つためにも、妊婦さんにはぜひ胎教セミナーに足を運んでもらえたらと願っています。

大坪可奈

幼児教室コペル代表講師・ペアレントセラピスト主宰

幼児教室コペルの代表講師として、30年間で10,000人以上の子どもたちとお父様・お母様を指導。近年は、日本全国や中国での『幼児教育の重要性』を伝えるセミナーが人気を集めている。 「子どもが自立するまでは親からのサポートが必要であるように、親が子育てを学び実践するまでは専門家からのサポートが必要だ」という信念に基づき、日常で実践できるようなほめ方・しかり方や、ケースバイケースの指導を大切にした母親勉強会も評判。 現在も、新宿ミライナタワー教室で、胎教・ベビーコースを行い、幼児教育を通じて、幸せな親子が増えて世の中がよくなることを願っている。 著書「自己肯定感を高める最強の子育て」(PHP出版)