子育てコラム #教育

子どもに想いが伝わる・行動が変わる3つのコツ

2022年4月21日 11:58

子どもの行動や発言が気になるとき、ただ叱るだけでは、子どもの行動は変わらないことが多いもの。どのように伝えれば、親の想いを届けられるでしょうか? 今回は、子どもの行動が自然と変わり、気持ちも伝わる接し方についてお話しします。

【相談事例】10歳、7歳の女児の母です。最近、下の子が食事中ひじをつくようになりました。

上の子がひじをついていたときは、何度か「お行儀が悪いよ」と注意したらすぐに直ったのですが、下の子は「なんで?」と聞き返してくる上に、その場でやめてもすぐにまた肘をついています。毎回注意すると「なんで?」「こっちのほうが食べやすいもん」と言い返されるので、イライラしてしまって、怒鳴ったり、叱りつけたりしてしまいそうになります。どうしたら良いのでしょうか。

子どもに想いが伝わる・行動が変わるコツ①「なぜ、その行動をとるのか考える。

何度も繰り返し伝えているのに、言うことをきかない子どもに対してイライラすることはよくあります。子どものためを思って言っているのに、「なんで聞いてくれないの?」「どうしたら聞いてくれるの?」と段々腹が立ってくるかもしれません。

まず、子どもが食事中に肘をつくという行動について考えてみましょう。子どもはどのようなとき、大人が不適切だと思う行動をするのでしょうか? 次の3つの場合が考えられます。

  1. その行動が不適切であることを知らないとき
  2. その行動が不適切であることは知っているが、どうすれば適切な行動ができるのかを知らないとき
  3. その行動が不適切であることは知っており、適切な行動も知っているが、適切な行動をしても望む結果が得られないと信じているとき

お子さんの言葉を思い出してみると、「なんで?」「こっちのほうが食べやすいもん。」と言っていましたね。お子さんは、なぜ肘をつく行動が不適切なのか知らないのではないでしょうか? 肘をつかないほうが食べやすいのに、なぜ肘をつくなと言われるのかわからないのかもしれません。

子どもに想いが伝わる・行動が変わるコツ②「私(親)メッセージで理由を伝える。

では、親御さんの想いをしっかりと私メッセージで伝えてみましょう。

例えば、肘をついて背中を丸くして食べている姿を見ると、行儀の悪い子に育っている気がして悲しくなるというのが、お母さんの気持ちだとします。これを肯定的に伝えると、「お母さんは、きれいな姿勢で食べていると嬉しいな〜。」と言い換えられます。

このように伝えると、子どもの自尊感情を傷つけずに親の価値観を伝えることができます。

人の行動は、理屈では動かず、感情で動きます。親の感情を素直に伝えることが、子どもの自尊感情を傷つけずに行動を変えることができる唯一の方法です

そして、親が手本を見せてください。親御さんがお手本を示すと、自然に子どもは習得していきますので、いつかできるようになると信じて気長に待ちましょう。

子どもに想いが伝わる・行動が変わるコツ③「できたことを褒め、比較しない。

少しでもできたことを褒めましょう。肘をついたときに注意をするのではなく、肘をつかないで食べているときをみつけてほめましょう。「肘をつかないようにがんばっているね。」「きれいな姿勢になってきたね。」など、できている点を伝えましょう。

「お姉ちゃんのときはできていたのに、なぜ妹は?」と、心配に思われるとおもいますが、長所と短所は裏返しです。素直に注意を聞くということはお姉ちゃんの長所ですが、妹さんの「なんで? こっちのほうが食べやすいもん」と、自分の意見をはっきりといえるところも、素晴らしい長所です。ある意味、自分を受け入れてもらえるという安心感があるからの発言でもあります。そんな安心できる家庭環境があることは、親御さんの力だと思います。

自立した子どもは親の言うことをよく聞く子ではなく、自分で考えて行動できる人間です。

子どもが適切でないと感じる行動をするとき、「どうしてこの行動をしているのかな?」と、考えてみてください。

大坪可奈

幼児教室コペル代表講師・ペアレントセラピスト主宰

幼児教室コペルの代表講師として、30年間で10,000人以上の子どもたちとお父様・お母様を指導。近年は、日本全国や中国での『幼児教育の重要性』を伝えるセミナーが人気を集めている。 「子どもが自立するまでは親からのサポートが必要であるように、親が子育てを学び実践するまでは専門家からのサポートが必要だ」という信念に基づき、日常で実践できるようなほめ方・しかり方や、ケースバイケースの指導を大切にした母親勉強会も評判。 現在も、新宿ミライナタワー教室で、胎教・ベビーコースを行い、幼児教育を通じて、幸せな親子が増えて世の中がよくなることを願っている。 著書「自己肯定感を高める最強の子育て」(PHP出版)