インタビュー #発達障害

これって「発達障害」? 子どもの発達障害を見分ける行動チェックリスト

2022年10月20日 9:25

最近、少しずつ知られるようになってきた子どもの発達障害。お子さんの行動に違和感を抱いたり、他の子との違いを目の当たりにしたりして、「もしかして……」と不安になる親御さんも多いようです。

発達障害とはどのような障害なのか、どんな行動が見られるのか、思い当たる節があった場合はどうしたらいいのか。こころのソムリエとして子育てママを応援する臨床心理士、しか先生にお話を伺いました。

発達障害は大きな個性

発達障害には「障害」という言葉がついているので、場合によっては「ドキッ」とされてしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、人によって得意・不得意があることと同じように、その子の生まれ持った大きな個性の一つと考えていただけると良いと思います。

原因についてはまだ研究されている途中ですが、脳の前頭前野の働きがほかの人とは少し違うのではないかと考えられています。つまり、コミュニケーションや行動などの機能にアンバランスさがあり、得意不得意の偏りがあるというイメージです。

発達障害は特性によって3種類に分けられる

発達障害は「注意欠如/多動性障害(ADHD)」「自閉スペクトラム症(ASD)」「学習障害(LD)」の3つに分類することができます。

ADHDの大きな特徴として、多動性、不注意、衝動性の3つがあげられます。じっとしていることが苦手だったり、考える前にサッと行動をしてしまうなど、行動面に特性が表れやすいのが特徴です。

それに対してASDは社会性の課題につながる特性が多く、人とうまくコミュニケーションが取れなかったり、一つの物事へのこだわりが強すぎたりする傾向があります。

LDは知的な遅れはないのに聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する力などの内、特定のものの習得が苦手な状態のことを言います。全般的な知能の発達に遅れはありませんが、一部の能力だけが他に比べて苦手でアンバランスさが特徴的です。

「注意欠如/多動性障害(ADHD)」の行動チェックリスト

注意欠如/多動性障害(ADHD)のお子さんによく見られる行動には次のようなものがあります。ADHDの特性は、保育園や幼稚園などの集団に入ってからよく目立つようになってきます。

1 座っていなくてはいけない時に席を離れてしまう。
2 じっとする場面で動き回ってしまう。
3 指示に従って何かを最後までやることが苦手。
4 駆り立てられるように行動してしまう。
5 過度に話し過ぎてしまう。
6 順番を待つことが苦手。
7 質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。

「自閉スペクトラム症(ASD)」の行動チェックリスト

自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんによく見られる行動には次のようなものがあります。

ASDの特性は、乳幼児期から現れることも多く、お住まいの地域で行なわれている健診などで指摘をされるケースもあります。

1 後追いをしない。
2 あやしても顔を見ない。目線が合いにくい。
3 ごっこ遊びをしない。
4 友達と遊ぶより一人遊びを好む。
5 1つのことに過度に集中したり、こだわったりする。
6 いつもと違うことが苦手。
7 興味関心の幅がせまい。

学齢期からは「学習障害(LD)」にも注意

学習障害(LD)は、本格的な学習が始まる小学校入学以降に特性が表れやすくなります。LDの中には、様々なタイプがあり、文字を読む力に課題がある「読字障害」、文字や文章を書くのが困難な「書字障害」、計算が苦手な「算数障害」があります。

小学校入学以降によく見られる例としては、マス目の中に文字を書くことができない、文章の途中でどこを読んでいるのか分からなくなる、先生が書いた黒板の文字を書き写すことができない、計算を身につけることができない、などがあげられます。

「もしかして」と思ったら専門家に相談を

これらの特徴があったからといって、必ず「発達障害」というわけではありません。特性や得意なこと、苦手なことは人それぞれグラデーションのように持っています。お子さんの行動に違和感を覚えたり、保育園や幼稚園の先生、あるいは健診などで指摘を受けたりした際は、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。

発達障害と診断された子のために必要なのは、その子の困り事に気づき、特性に合った環境を整えてあげることです。私はよく親御さんとの面談で「その子に合った取説(取扱い説明書)を作っていきましょう」とお話をしています。より良い取説を作ってあげるためにも、できるだけ早く専門家と繋がることが大事です。

一人で抱え込まないで

お子さんが発達障害と診断されると、「自分のしつけが悪かったのではないか」と自分自身を責めたり、周囲のちょっとした言葉に傷ついてしまったりする親御さんがたくさんらっしゃいます。でも、決してそんな必要はありません。発達障害の特性は、その子の生まれ持った個性なので、キラッと光る得意な部分の方を伸ばしてあげてほしいと思います。

お子さんとの関わり方で一つだけアドバイスするとしたら、できない時に叱るのではなく、できている時に褒めてあげてほしい、ということです。例えばじっと座っているのが苦手な子の場合は、立ち歩いてしまった時に注意するのではなく、きちんと座っていられた時にしっかりと褒めてあげてください。

まずは違和感に気づいたら一人で抱え込まず専門家に相談をして、お子さんに合った取扱説明書を作ってあげてください。

しか先生

shika sensei

臨床心理士 | 公認心理師

臨床心理士、公認心理師。スクールカウンセラー、小学校教諭1種免許状、保育士、ペアレントトレーナー。 子育て中のママ・パパに「1日1分共感をお届け」をテーマにInstagramを中心に情報を発信。そのフォロワー数は1.5万人以上。多くの支持を受けている中でもインプットを怠らず、日々最新、高品質な情報を届け、子育てに奮闘している親御さんに寄り添う。自身も男女2児の母でもある。女性が『自由な働き方を叶える』ためのInstagramやCanvaの悩み相談にも答えている。女性向けSNS発信のコンサルタント。