インタビュー #授乳・断乳

保育園に預けるなら「断乳」が必要?母乳育児を続ける場合と見極めのポイントを助産師が解説!

2022年10月10日 10:00

保育園に入園しても母乳育児を続けたいというとき、それは可能なのでしょうか。そして、その場合はどんな点に気をつけたらいいでしょうか? 母乳育児を続ける方法やポイントなどについて、助産師さきさんに伺いました。

母乳育児のメリットを継続したい

母乳育児を長く続けたいと思うお母さんは多いことでしょう。育児のあり方は人それぞれですが、母乳の中には免疫成分が含まれていて、母乳を飲んでいると感染症にかかりにくく、かかったとしても重症化しにくいといわれています。

また、お母さんのほうも子どもの病気によって仕事を欠勤するリスクを減らすことができ、それは勤め先にとってもプラスになるといえるでしょう。とはいえ、入園にあたっては「卒乳をしなければいけないの?」と不安に感じているお母さんも多いかもしれません。決してそうではありませんが、入園後も母乳育児を続けるにはいろいろな要因が関わってきます。

母乳育児を続ける3つのケース

保育園に通いながら、母乳育児を続ける状況は大きく3つのパターンに分かれます。

1つ目は、職場や自宅などで搾乳し、それを保育園にもっていき、子どもに飲ませてもらうというものです。

2つ目は、搾乳した母乳を預かる対応はしていない保育園の場合で、日中はミルクを飲ませてもらい、家にいるときだけ授乳を続けるというものです。実際のところ3つのうちこのパターンが多いのが現状です。

3つ目はあまり多くはないですが、職場と保育園が近かったり、企業内に保育所がある場合などで子どもを預かる施設側の了承が得られれば、お母さんの昼休みに出向いて授乳ができる場合があります。

一口に母乳育児の継続といっても、保育園側の受け入れ体勢や子どもの月齢(年齢)、母乳の状態や勤務先の状況など、さまざまな要素を踏まえた上で判断することになります。

搾乳した母乳の衛生面と温度管理が重要

職場で搾乳した母乳を持ち帰って飲ませる場合には、保管状況については注意点をしっかりおさえておきましょう。大切なのは、搾乳する環境をなるべく清潔にして行うことです。

そして、搾乳をした母乳は職場でどのように管理をするのか、冷蔵をしなくてはいけないのか、持ち運び可能な時間はどうなっているかは季節や気温によって変わってきます。この点は団体によって基準が異なりますので、保育園側によく確認しましょう。

お母さんによっては、搾乳した母乳をミニサイズの冷蔵庫や保冷剤を入れた小さなクーラーボックスに入れ、職場のデスク下や更衣室などに保管している人もいます。その場合、職場の了承も得ておく必要があります。

張りを抑えるために搾乳が必要な場合

では実際にどんな形で行っていくのかというと、子どもとお母さん双方の状況によって千差万別です。たとえば、母乳育児のみでまだ離乳食が始まっていない、もしくは離乳食がまだ初期1回食か2回食で食べる量も少ない段階であれば、栄養の大半を母乳からとっている状況です。

そうなると、お母さんの母乳の分泌量が多いので、必要に応じて職場でも可能な場所で搾乳を行って乳房の張りを抑える必要がある場合があります。

一方、入園前の段階でかなり離乳食が進んでいて、母乳を飲む量はそんなに多くない場合は全く搾乳をしないですむ場合もあります。

母乳は、飲ませないでいると分泌そのものが減っていくため、個人差はありますが最初は不快感があり張りを抑えるために職場で搾乳が必要な場合でも、だんだんと搾乳しなくても済むようになったりします。

また、お母さんの思いとは裏腹に、子どもの側から授乳への執着がなくなり、だんだん卒乳に向かっていくこともあるようです。

必ず哺乳瓶で飲めないといけない?

また、これまで母乳のみだったり、離乳食が進んでいない場合、子どもが哺乳瓶で飲めるように慣れさせておくべきか心配されるお母さんがいますが、この点も保育園によって方針が異なります。

「必ず哺乳瓶に慣れさせてから入園してください」というところもありますし、離乳食が始まっているなら、コップやストローマグなど哺乳瓶以外のもので飲めればよい場合もあります。他の手段で飲めるなら必ず哺乳瓶で飲めなくてもいいという保育園もありますから、子どもの状況に応じてよく相談しましょう。 

働くお母さん、「ワーママ」の思いもいろいろ

実際に母乳育児を続けたお母さんたちのとらえ方もさまざまです。ワーキング・マザーのことをワーママと呼びますが、保育園に入園することは、ワーママにとっては育休を終えて職場復帰をするタイミングでもあります。

働きながら授乳を続けてよかった!癒しの時間!と、生活の中でのポジティブな時間になる人もいれば、中には、「働くことで母乳を諦めたくない」と頑張りすぎたり、子どもを預けて働くことに罪悪感を覚え、「せめて母乳だけは・・・」と、母乳育児にこだわることで、仕事との両立に疲れてしまう人もいます。

働きながら育児をするということは、育休期間と同じようにはいかないものです。それまでの育休期間の延長として、「子どもとの生活プラス仕事」と考えるのではなく、「新しい生活の始まり」だと考えるほうがよいでしょう。 

働きながら2才や3才以上まで長く授乳を続けるお母さんもいれば、途中で断乳を選ぶお母さんもいて、ワーママとして母乳育児を続ける道のりは人それぞれです。

子どもの求めに応じて授乳しながら、「遅刻するから早く飲み終わって」などとイライラしたり、ストレスを感じたりしているなら本末転倒です。それならば思い切って、「母乳育児を幸せな思い出として残しておこう」と前向きに断乳を選択するのも1つであり、もしそのように途中で断乳を選んでも罪悪感を持たないで欲しいのです。 

大切なのは笑顔でいられること

大切なのはお母さんが無理しないことです。日本では3歳神話の考えも根強くあり、子どもと一緒にいる時間が長いほど良いというイメージがまだまだ定着しています。

働くことで子どもに対して罪悪感をもつ必要はなく、子どもとの時間で大事なのは時間の長さだけではないのです。せっかく子どもと一緒にいたとしても、育児と仕事を両立しようといっぱいいっぱいになっていたら、決してハッピーな状況とはいえません。

どうしたら子どもも親も笑顔でいられるか、快適な毎日が送れるかを大切にした上で、母乳育児をどうするかを考えていきましょう。

助産師さき

jyosanshi saki

助産師

助産院Hug代表。看護師・助産師。離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザー、CISA認定小児スリープコンサルタント、IPHI米国認定妊婦と子どもの睡眠コンサルタント。各種SNS等で発信を続け、フォロワー数7万人の「インスタ子育て相談室」では出産準備、授乳、離乳食、寝かしつけなど、さまざまな育児の悩み相談に答えている。自身も2児の母でもある。