子育てコラム

【小児科医に聞く】梅雨明けに急増 三大夏風邪「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」の原因・症状と予防法

2022年7月5日 10:00

目次

    夏から秋には、例年、手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱(アデノウイルス感染症による咽頭結膜熱)が流行します。これらの病気の名前を聞いたことはあるかと思います。

    今回は、特に子どもに流行するこの3つの疾患について、症状・治療法・ホームケアなどの予防法をご紹介します。

    2歳未満に多い「ヘルパンギーナ」と「手足口病」

    まずは、ヘルパンギーナと手足口病の2つについて解説します。

    手足口病とは、名前の通りに手・足・口の中に水疱が生じる、夏かぜ(ウイルス感染)の1つです。その多くは5歳くらいまでの子どもがかかり、感染者の約半数は2歳以下です。数年前の大流行時には学童から若い世代の成人にまで流行したことがありました。

    一方でヘルパンギーナは、より年齢が低いお子さんに、急激な発熱により発症します。また、口の中に水疱が生じるため、食事をすることにより痛みが生じるため、食事や水分の摂取が困難になることがあります。

    症状の観点として、ヘルパンギーナと手足口病の共通している点としては2歳未満が多いこと、潜伏期としては23日程度であること、年齢が低い子どもの場合では発熱を生じることが多いことが特徴です。

    両者の違いとしては、ヘルパンギーナでは低年齢のお子さんで突然高熱を出す傾向が多いこと、手足口病では口の症状のみではなく、手・足にも水疱が生じることがあります。

    「ヘルパンギーナ」と「手足口病」の原因と注意点

    ヘルパンギーナも手足口病も、原因となるウイルスはコクサッキーウイルスA6A16、エンテロウイルス71などのエンテロウイルス属です。感染力はどちらも比較的強いため、咳やくしゃみ、また便など存在するウイルスから感染します。

    このため、集団生活を行う保育園・幼稚園などで流行する傾向があります。感染力が強い時期は発熱時から解熱して24時間までとされております。成人への感染はほぼないとされておりますが、体調不良や寝不足などで免疫低下時には感染して症状が出る場合がありますので、お子さんのケアをするときには注意が必要です。

    また、エンテロウイルスは便を介しても感染するため、子どものおむつを交換するときにも、手袋などをした感染対策が必要です。 ヘルパンギーナ・手足口病には、予防するワクチンがありませんし特効薬もありません。

    近年では、新型コロナウイルス感染症対策として、マスク、手洗い・うがいなどの感染対策を行う傾向がありますが、標準的な予防対策がこの疾患に対しても重要です。

    ヘルパンギーナ・手足口病の登園停止の期間は定められておりませんが、解熱して少なくとも24時間を経過し、食事がとれて元気になるまでは自宅での安静が推奨されます。

    78月をピークに流行する「プール熱」

    プール熱とは、アデノウイルス感染症の1つの病型です。アデノウイルス感染症の型には約50種類がありますが、プール熱とは、主にアデノウイルスの3型による感染です。

    「咽頭結膜熱」とも呼ばれ、プールにおける感染が推定されたことから、日本では「プール熱」という名前で呼ばれています。感染流行時期は、6月の梅雨時期から感染が増え始め、7月~8月をピークに流行する傾向があります。

    症状としては、発熱の他、咽頭炎によるのどの痛みと食欲低下、結膜炎による白目の充血、目の痛み、目やになどの症状がでます。これらの症状は比較的長く生じて35日間ほど続くことも多いです。診断は、前述の症状にあわせて、アデノウイルスの存在の有無を評価するために喉の粘膜・結膜のぬぐい液や糞便を用いて検査を行い、保険診療の対象となります。

    「プール熱」の予防と対処法

    予防は、マスク・手洗いうがいが基本となりますが、プールを通じた感染例もあるため、プールに入ったあとは、目・体をしっかりとシャワーで洗うようにすることが重要です。

    プール熱に対して、根本的な治療薬はありませんので、自分の免疫力により回復する必要があります。発熱は長く続く傾向があるため、経口補水液などでの水分補給や解熱剤を使用していきます。

    プール熱は、学校保健安全法における「学校感染症」に相当します。このため、発熱などの症状が改善して2日後まで自宅待機が必要となります。

    いずれのウイルスも、適切な手洗いうがい・マスク、便の衛生的な処理などが重要となってきます。

    武井智昭

    TOMOAKI TAKEI

    高座渋谷つばさクリニック 院長

    小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。