子育てコラム #言語

【うちの子、滑舌怪しい?】「さかな」が「たかな」に…。舌足らず・言葉がはっきりしないのはいつまで?【言語聴覚士が解説】

2022年7月12日 10:00

成長の中で子どもの言葉が増えていくのはうれしいことですよね。

たくさん言葉が増えていくなかで可愛らしい言い間違いや子ども特有の舌足らずな話し方がよく聞かれます。

子どもらしくて可愛いと思う反面、成長していくにつれて滑舌が悪いのかなと心配になったり、特に就学が近くなると、学校でからかわれたりしないかなと不安になったりする方もいるでしょう。

そこで今回は子どもの言い間違いの理由や心配な時の対処法を言語聴覚士の視点から紹介いたします。

子どもの言葉の発達過程

子どもの言葉の発達に関して生後すぐは整った音声はなく、泣き声を上げるだけですが、生後2ヵ月くらいが経つと、「あーあー」「うー」など泣き声とは異なる「クーイング」という穏やかな音声が聴かれます。

生後6ヵ月前後になると、少数の音を「だだだ」や「ままま」などを使用する「喃語(なんご)」を発語します。そして1歳前後には、初めて意味のある言葉が話せるようになります。

今回は、言葉の発達の中でも、発音について焦点を当ててみましょう。

子どもの発音に関しては「アイウエオ」の母音が上手く言えるようになるが3歳前後で、子音が5〜7歳と言われています。子音の中でも獲得しやすい子音としては、唇を使う音があり、「ママ」「パパ」などは比較的言いやすく、早く身につけることができます。

お子さんのいい間違いはどのようなものがあるのか?

子どもの可愛らしい言い間違いを例に挙げてみます。

・エレベーターを「エベレーター」
・とうもろこしを「とうもころし」
・セロハンテープを「テロハンテープ」
・お寿司を「おちゅし」
3歳を「たんたい」

「エベレーター」や「とうもころし」のような単語の中の音の入れ替わりは音韻認識という音の配列の誤りであり、言葉の発達とともになくなっていくとされています。

「テロハンテープ」、「おちゅし」、「たんたい」なども「た」より「さ」の方が発音できるようになるのが遅いのでそこまで心配する必要はありません。

・日本語において比較的早く(4歳前後)に獲得する音
母音、や行、ま行、わ行、な行、は・ば・ぱ行、た・だ、ち・ぢ、て・で、と・ど、か・が行

・後半(4歳以降)に獲得する音
さ・ざ行、つ・づ、ら行

このように後半に獲得する音は難しい音になるため、3歳が「たんたい」となることは大いにあります。お子さんの発音は気になるかと思いますが、家庭で無理に正しい発音になるように指摘するのはおすすめではありません。

5歳くらいになっても上手く発語ができなかったら?

しかし、5、6歳になっても誤りが残存し、お子さん本人に自覚が見られ幼稚園や学校などで指摘されるような場合は言語聴覚士が介入し、正しい発音を身につける必要があります。

・言葉全体がなんとなく不明瞭
・同じ音がいつも違う音になる
・はっきりした言葉にならない

このような、子どもの言葉の発達に遅れや発音をする器官や形態に問題がない場合は誤った発音の仕方を学習したことが原因となると考えられています。これを「機能性構音障害」といいます。

「機能性構音障害」は、構音点という発音をするために唇や舌が当たる場所が違う場所に学習してしまう場合にみられます。

たとえば
・「ぱ」は上唇と下唇を合わせて息を吐き出す
・「た」や「さ」は舌の先が前歯の裏に当てて声を出す
・「か」は奥の舌を上げるようにして発音する

お子さん本人の言いたいことを言葉だけでなく、表情や体の動きに注目して、「伝わっていること」の楽しさや安心感を与えるようにしてください。コミュニケーションが楽しくなるような関わり方をしてみましょう。

家庭でできる口の動きを促すには

それでも心配な場合はしっかり口を使うことが重要です。発音に関わる動きは食事で使う動きを同じであり、基本的には食事の際によく噛んで食べることが大切です。

それ以外に、家庭でできる口を鍛える動作を紹介しましょう。

・風船を膨らます
・うどんやラーメンなどの麺をする
・ストローを使って飲む
・あっかんべーやにらめっこなど顔を動かす
・シャボン玉を吹く

これらの動作は発音に関わる舌や頬や唇を使う動きです。風船やシャボン玉は呼吸の調整にも関わります。

まとめ

一般的に子どもの発音の誤りは改善することが多いといわれています。

しかし、発音の誤りを治すためには適切なトレーニングを適切な時期に行う必要があります。

必要に応じて、自治体の保健師や心理士、言語聴覚士、もしくは発達支援センター等の専門家の相談も検討してください。

奈良 佳奈

nara kana

言語聴覚士

国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科卒業後、東京湾岸リハビリテーション病院にて勤務。働きながら、より高度な知識を身につけるため、上智大学大学院博士前期課程言語科学研究科言語学専攻修士課程を修了。現在は、ULU訪問看護ステーションに所属し、言語聴覚士として横浜市近辺の子どもから高齢者までコミュニケーション障害、摂食嚥下障害、高次脳機能障害の方への臨床に従事している。