子育てコラム #病気

暑さでぐったり…。子どもを熱中症から守る、子どもの熱中症対策と予防法

2022年6月1日 10:00

爽やかな気候の5月から、次第に湿気を帯びた過ごしづらい気候に変わりつつあり、熱中症も気になる季節になってきました。6月以降のじめじめした梅雨の合間の、急激に気温が上昇した日などは、特に熱中症の危険が高まります。体温調節機能が十分に発達していない子どもは、大人に比べ熱中症にかかりやすいとも言われています。庭や公園で遊ぶ際、熱中症にならないためにはどうすれば良いか、本記事では、熱中症の症状や子どもを熱中症から守るためのポイントを紹介します。

熱中症のリスクは?

子どもはまだ体温調節機構が未熟なことから、熱中症を起こしやすいと言われています。熱中症といえば、例年7月から8月に集中しますが、実は4月・5月でも、急激に気温が上昇し24度以上となるような日には熱中症の危険性が上がります。

通常は春から夏にかけて、少しずつ気温が上がっていく環境で活動することにより、体が徐々に暑さに慣れる、暑熱順化が起こります。暑熱順化することにより、暑さに対して楽に過ごせるようになり、夏バテや、体のダルさを防ぐことができます。

暑熱順化するためには「少し暑いな」と思うくらいの環境で、30分程度、少し息があがる程度の運動を2週間程度の期間行う必要があります。これをしないうちからいきなり暑くなると熱中症リスクが上がります。

また、時間帯も重要で、晴れた日には午前中でも早いうちから一気に気温が上がります。病院への受診が多いのは昼前後ですが、午前中から発症している可能性は大きいです。湿度も重要で、湿度が高くなればなるほど、気温が低くても、熱中症が発症しやすくなることも知られています。

乳幼児は地面からの輻射熱の影響を受けやすく、屋外でベビーカーに乗っているだけでも熱中症のリスクになります。

熱中症の症状は?

熱中症は、その重症度によって段階的に分けられます。

最も重症なのが「熱射病」と呼ばれる状態で、汗を大量にかき水分が補充されなかったことで重度の脱水状態となります。そして、体温が急上昇し、体温を調節する脳の中枢が正常に作動しなくなります。そして、異常な高体温により体中の細胞が障害をおこし、全身の臓器が働かなくなってしまいます。

多くは意識障害があり、けいれん症状などが見られることもあります。特に体表面でなく深部の体温(直腸の温度を測定する)が41℃を超えた状態は非常に危険で、ただちに冷却したり適切な処置を行わなければ後遺症が残ったり死に至ることもある怖い状態です。

多くは熱射病よりも軽い「熱疲労」に分類されます。大量の汗をかいて脱水はありますが、体温はそれほど上がっていません。だるい感じや、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などは主な症状です。

その他、一時的に意識が遠のいたり、意識を失ったりする「熱失神」や、発汗により塩分バランスが崩れることによってこむらがえりが起きる「熱けいれん」などの症状があります。

どんなときに熱中症を疑う?

上記のような熱中症リスクが高まる条件下で、それまで元気だった子どもが、めまいや立ちくらみ、さらには吐き気を訴えたり吐いてしまったりする場合には熱中症を疑います。

軽症の熱中症は胃腸炎の初期症状との見分けが非常に付けにくいです。熱中症かもしれないと思って受診しても、適切な情報がなければ胃腸炎として対処されてしまうことも多いので、それまでに屋外で遊んでいた、汗をたくさんかいていた、など、熱中症を疑う状況であることを医師にしっかり伝えるようにしてください。

熱中症を予防するには?

熱中症の予防は、なんといってもリスクを避けることです。急激に暑くなりそうな時には長時間の外遊びや屋内であっても暑い場所での活動を避けることが何より重要です。

小さな子どもは夢中になって遊んでいると、暑くてしんどくなっていることになかなか気づけなかったり、言葉に出せなかったりするので、子どもがたくさん汗をかいて真っ赤な顔をしているときには、遊びを中断し、涼しいところで休憩を取らせ、たっぷり水分を与えましょう。汗で大量の塩分を失っているはずなので、与える水分は、お茶よりは経口補水液など塩分を含んだものにしましょう。

また、小さい子どもは暑くてもなかなか服を脱いだり調節するといったことができないので、大人の判断で状況に合わせて適切に着替えたり、上着を脱がせるなどこまめに服装を管理してあげることも大切です。

この時期から増えてくる「車中置き去り」にも注意が必要です。「短時間だから」「寝ているから」とエンジンを消した車中に子どもを置いておくと、炎天下では30分で50℃にも達することがあるとも言われているので、面倒でも必ず車から降ろして連れていきましょう。

また、リスクを避けるといっても、暑さに慣れていくことも熱中症予防につながるので、適切な条件を選んで、徐々に暑熱順化を促していきましょう。

学童期以降は、スポーツ関連での発症が多くなります。屋内スポーツでも注意が必要ですし、スポーツではありませんが、吹奏楽など文化系の活動でも発症することがあります。こまめな水分(塩分を含んだもの)摂取や早めの休憩、体調不良時には無理をしないなどの配慮が大切です。

米田 真紀子

MAKIKO YONEDA

医療法人 啓信会きづ川クリニック 小児科医

1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。

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