インタビュー #食事・栄養
【偏食アドバイザー監修】子どもの偏食の原因は?年齢ごとの対策ポイント&ママパパが楽になる方法
2023年5月12日 10:33
お子さん好き嫌いや偏食を心配されているお母さんお父さんは多いのではないでしょうか。今回は、離乳食・幼児食専門のフードコーディネーター/偏食アドバイザーののまみかさんに、子どもの偏食についてその原因や対策方法をお伺いしました。
~目次~
子どもの偏食とその原因
食べられるものがたくさんあるけれど、その中で嫌いなものがあるのが「好き嫌い」です。それに対して「偏食」は、食べられるものが限られていて、数えるほどしかない状態をいいます。
子どもの偏食の原因は大きく4つあります。
子どもの偏食の原因①:口腔機能の問題
食べ物をうまく噛んだり飲み込んだりすることに課題があって、食べられるものが限られてしまう場合です。
子どもの偏食の原因②:感覚の特性
温度や味の濃さ、歯ざわりなどに敏感で、感覚的においしいと思える範囲が極端に狭い場合です。
子どもの偏食の原因③:小食である
代謝の違いで必要なカロリーが少なく小食な子どもの場合、好きな食べ物だけで必要カロリーが満たされてしまい、偏食になることがあります。
子どもの偏食の原因④:心理的な原因
感覚が敏感なだけでなく、精神的にもデリケートな子どもの場合、心理的な原因で食事が喉を通らなくなったり食欲がなくなったりして、その結果苦手な食べ物に挑戦する意欲が下がり、偏食になることがあります。
子どもの偏食の原因は、この4つのどれかにそのまま当てはまるとは限らず、①から④の原因が重複していることもあります。原因が何かを知ることが、偏食の改善へとつながります。
偏食が子どもの生活に影響すること
子どもが偏食だというと、栄養面での影響が気になられるかもしれませんが、栄養の摂取はいろいろな方法でカバーすることができます。たとえば、野菜が嫌いで便秘気味なのであれば、食物繊維が豊富な寒天をご飯に混ぜて炊けば解決できます。また、鉄分が不足気味であれば、お米にアマランサスという雑穀を混ぜたり、なべでの調理に鉄卵を入れたりすることで補えます。
それよりも懸念されるのは、子どもが食べられないことで、食卓の雰囲気が悪くなってしまうことです。親子の食卓はコミュニケーションを学ぶ場であり、味覚以外にも美味しいにおいをかいだり盛り付けを見て楽しんだりと五感をフル活用できる場でもあります。楽しい食卓になるように、偏食の改善を目指していただければと思います。
偏食を改善するための対策
好き嫌いであれば成長とともに治ることが多いですが、偏食は時が経っても治るとは限らないので、適切な対応が必要です。
子どもの偏食対策①:口腔機能を高めるトレーニング
口腔機能が原因である場合は、専門の歯科医院などを受診し、口腔機能を高めるトレーニングを受けるとよいでしょう。
子どもの偏食対策②:ストレスの緩和
ストレスが原因であれば、そのストレスを取り除いてあげる必要があります。ストレスのひとつが、食べなければならないというプレッシャーです。
保育園での生活や学校での給食を見据えて、子どもの好き嫌いをなくしてあげたいと考える親御さんは多いでしょう。しかし食べさせたいという親の気持ちが裏目に出て、とくにデリケートな子どもの場合は、それがプレッシャーになって食べられなくなることがあります。
子どもの偏食対策③:「吐き出しても良い」と声掛け&準備
プレッシャーをなくす一つの方法は、「吐き出してもいいよ」と声掛けしてあげることです。そのための器などを用意してあげるとよいでしょう。行儀が悪いように思われるかもしれませんが、機能の面などから飲み込むのが難しい場合もあり、また偏食の子どもにとっては、口に入れるだけでも大きな進歩です。
子どもも、飲み込まなくてもいいのであれば、次も挑戦してみようという気持ちになれます。飲み込まなくても味わうことはできるので、苦手克服への一歩となるでしょう。
子どもの偏食対策④:好きなものを増やす
偏食への対応で大事なのは、苦手なものを克服しようとしないということです。子どもをよく観察して、今食べられているものから少しずつ好きなものを増やしていけるようにしましょう。残念ながら苦手をなくす魔法のレシピはありません。お子さんに寄り添いながら、ゆっくりと苦手をなくす工夫をしていきましょう。
偏食対策具体例:「ナスが苦手な子どもが食べられるように!」どうやって対策したの?
子どもによって対策はいろいろだと思いますが、我が家の例を参考にご紹介します。
娘はナスが苦手だったので、まずなぜ苦手なのかを聞いてみました。すると、紫の皮の色と柔らかい食感が嫌いだとわかったので、皮をむき、みじん切りにして娘の好きな麻婆豆腐に入れました。
このとき、ナスを入れたことを子どもに伝えることが大事です。親子の信頼関係を築き、苦手なものが入っているとわかったうえで食べてみることが解決につながるからです。結果、ナス入りの麻婆豆腐を食べることができたので、その次は皮つきにしたり、みじん切りを大きくしたりと、食べられる範囲を広げていきました。
子どもの偏食 年齢ごとの対策ポイント
①離乳食期
離乳食期は、食の経験値を積んで味覚の幅を広げる時期です。いろいろな味覚を経験させれば、好き嫌いの予防につながるでしょう。この時期の赤ちゃんは、初めての食べ物を口にすると原始反射的に嫌そうな顔をするものなので、気にせずにいろいろな食材を食べさせてあげましょう。味覚が記憶に残るためには8回から12回の食経験が必要だといわれているので、1回ではなく繰り返し食べさせてあげてください。
②幼児期
この時期は、親子のコミュニケーションを大切にして、子どもの感覚に寄り添った対応が望まれます。社会性が育ってくる頃なので、保育園などでは頑張って食べる子どももいます。そのぶん、家ではリラックスできるようにしてあげるとよいでしょう。
③学童期
この年齢になると、子どもは背が高くなりたい、スポーツがうまくなりたいなど自分の目標が持てるようになります。また、学習意欲も高まってくるので、自分の目標のためにどのような食べ物が必要かなどを学べるようになります。このとき、楽しく学べるように、体の絵本などを活用するのがおすすめです。
子どもの偏食への対応での留意点は?
偏食は好き嫌いと違って、頑張って努力してもどうにもならない場合があります。偏食の原因をよく見極めることができれば、親御さんも好き嫌いなく食べさせなければならないというプレッシャーから解放されて、楽になれるでしょう。
お子さんにはそれぞれ個性があるので、ほかの子どもとは比べず、時間をかけて子どもに寄り添い改善を目指してほしいと思います。
また、子どもの偏食は親のしつけなどとは関係ないので、子どもの偏食について自分を責めないようにしてください。
ひとりで悩まず仲間を見つけよう
私も娘が偏食で、うつになりそうなくらい悩んだ時期もありました。しかしいまは、偏食改善のためにいろいろな方法に取り組んだ結果、娘の人間力を育てることができ、親子関係もよくなったと考えています。
また、私の周囲はよく食べるお子さんばかりだったので、偏食の娘を抱えてひとり不安だったのですが、同じような悩みを抱えている人はたくさんいます。いまではオンラインで全国どこでもつながることができるので、ひとりで悩まず、ぜひ同じ偏食の子どもを持つ親御さんたちと交流してみてください。私もそんな親御さんのための食育コミュニティを運営していますので、いつでものぞいてみてください。