子育てコラム #食事・栄養

【偏食・少食】給食が心配…。栄養士が教える小学校入学前に家庭でできる対策

2022年7月16日 10:00

子どもの偏食や少食に悩む家庭から「学校で給食をきちんと食べられるのだろうか……」などという悩みをよく聞きます。

今回は、小学校に入学する偏食や少食の子どもが給食で困らないために、家庭でできる対処法についてお話ししていきます。

家庭ですぐに実践できる3つの対策

家庭ですぐにでも実践できる3つの対策をお伝えします。

  • 集団で食事をすることに慣れること
  • 食べる時間は食事に集中すること
  • 学校給食が楽しみと思ってもらえるような心づくりを作ること

1つずつお話ししていきます。

集団で食事をすることに慣れること

集団で食事をすることに慣れることは、学校給食の基本となります。みんなで同じ時間に同じものを一緒に食べるという流れを家庭でもなるべく体感するようにしましょう。

家族全員揃って食べることは仕事の関係上難しいこともあるかもしれません。ですが、できる範囲で構いませんので全員で食卓を囲んでみましょう。時には祖父母や親戚の人、友人なども含め食事をすることも良いです。さまざまな人に触れ合う時間を多くすることで新しい環境に馴染んでいくことも早くなっていくことでしょう。

しかし最近ではコロナの影響によって黙食が徹底され、私たちが子どもの頃とは少し食育の環境も変わってきています。

一昔前までは食の時間とは、食を通して相手とのコミュニケーションを取るのも一つの大事なポイントだったのですが、黙食によってただ黙々と食べるだけの時間に変わってきているのも現状です。感染対策などは確かに大切ですが、家庭ではなるべく食事中の会話や子どもとのコミュニケーションをとる事を心がけてみてください。

食べる時間は食事に集中すること

テレビなど子どもにとって気が散るものを出来るだけ食事時間は避けてください。学校給食は食べる時間が決められており、時間内で食事を済ませる力も必要となってきます。

食べ遊びや注意散漫になってしまう事を防ぐためにも食べる時間は、食べることに意識してもらえるように工夫してみましょう。

学校給食が楽しみと思ってもらえるような心づくりを作ること

学校給食のように普段の食事においても予め夕ご飯などのメニューを共有しましょう。学校によって異なりますが、学校給食では、1週間分の献立などが公開されています。

そのため、「明日の給食はなんだろう」「〇曜日の給食は楽しみだな〜」とお子さんが給食の時間が楽しみに思ってもらえるように、一緒に献立を見て会話をすることもおすすめです。

また、家庭でも給食のメニューを少し真似して一緒に作ってみることで更に学校給食への関心が高まり、学校に行く楽しみや給食時間を楽しみに思ってもらえることに繋がりやすくなるでしょう。

好き嫌いやアレルギーはどうするの?

親御さんの1番の悩みとして多いのは、好き嫌いやアレルギーがあることに対しての不安です。「しっかり給食を食べてくれるだろうか……入学前に全て食べられるようにしなければいけないのか」と悩みはつきものですよね。

ですが、ここで大切なことは未就学児の時点で少なからず好き嫌いやアレルギーがあったとしても、子どもは成長過程においていつの間にか食べられるようになっていることは大いにあります。

学校給食が始まる前に、全ての好き嫌いを克服しようと焦らなくて大丈夫です。むしろ、子どもによっては学校給食のメニューなら食べることができた、など少しずつ学校給食を通して克服していくこともあります。

親御さんが想像している以上に、子どもは学校給食を通して大きく成長していきます。現時点の目標は、好き嫌いを早急に克服する事よりも、まずは食べることへの楽しさや食への興味関心を持ってもらう事が何より親御さんからお子さんに伝えていきたい大切なポイントとなります。

アレルギーに関しては、どの食材でどの程度の症状が出るのかなど、子どものアレルギーの状態を把握し、学校と連携して予防と対策を行なっていく事をおすすめします。決して1人で悩まずに分からないことがあれば事前に相談することもとても大切です。

味覚の成長を見守ろう

学校給食とは子どもの成長過程において社会性を学ぶうえでとても意味のある時間となります。家族以外の人と食の時間を過ごすことで、さまざまな感受性や人との関わり方を学べる環境となります。

大切なことは、不安な気持ちを持ち続けるのではなく自分の子どもの可能性を信じ応援し見守ってあげることです。新しい環境に対して、きっと自分なりに頑張ろうと思っています。そんなお子さんの姿を温かく見守ることが何より大切ですね。

林美穂

hayashi miho

管理栄養士

病院給食を作る委託会社、福岡糖質制限クリニック、宗田マタニティクリニックに勤務後、独立。各院に勤務中2,000人以上の糖尿病や鬱、高度肥満、妊産婦へ栄養指導を行う。宗田哲男氏の「赤ちゃんのための妊婦食本」を始め、「体、知能が育つ離乳食本」のレシピ考案・栄養監修として制作に参加。現在はフリーランスとしてセミナー講師・本の執筆協力・新栄養学講座開設など幅広く活動を行っている。