子育てコラム

ゲームでムキになる子ども…保護者はどう対応すべき?

2022年3月28日 10:46

目次

    【相談事例】自分が負けると癇癪を起こしてしまう子ども

    6歳の男児の父です。先日、家族でトランプで遊んでいたときの話なのですが、負けるとすごい勢いで怒り始めて、手が付けられなくなってしまい、「怒るのならゲームはおしまいね」と伝えたところ、今度は泣きだしてしまいました。幼稚園でも、ゲーム等で自分が負けると癇癪を起こしてしまうようです。一体、どうしたら癇癪がおさまるのでしょうか。

     先生の答えは…

    6歳の男の子ですね。この時期には勝ちたい気持ちが強く見られることが、よくあります。「メタ認知」と呼ばれる「自分のできていることを客観的に評価する力」が育ってきた表れではないでしょうか。

     

    幼児は自己中心性が高く、常に自分を中心に物事を見ていますが、発達が進むにつれ徐々にまわりが見えてくるようになります。同時に自分を客観的に見る視点が出てきて、「メタ認知」という重要な非認知能力につながっていくのです。

     

    それが、どうして勝ち負けへのこだわりと関係があるのかというと、自分を客観視できるようになったことで、勝ち負けが、より大きな意味を持って感じられるのではないでしょうか。

    「勝ちたいよね」と気持ちを認めてあげることが大切

    まわりが見えてくるのは、「自分以外の人には自分とは違う心がある」という「心の理論」の理解と関連しています。自己中心性の時代から、まわりと協調する力の発達へ移行していくわけですね。また前頭前野の発達により、衝動を抑制し感情をコントロールする力が育つ時期でもあります。

     

    これらの発達はつながっているのですが、個人差がありますので、まわりとの協調や感情をコントロールする力よりも、勝ち負けのこだわりの方が強いお子様もいるわけです。

     

    ですから、「勝ち負けにこだわる性格」として矯正しようとするのではなく、発達の一過程ととらえ、「勝ちたいよね」と気持ちを認めてあげることが大切です。勝ちたい気持ちは「がんばりたい」気持ちの表れでもありますね。

     

    心の面では勝ち負けにこだわりたい気持ちを認め成長を待ちたいですが、癇癪から起こる行動は別問題です。

     

    行動は、繰り返されると定着しやすい性質があります。「負けることが受け入れられない」のは今の姿でずっと続くわけではないので、「負けて癇癪」を繰り返さず、定着しないようにすることを心掛けましょう。

     

    わざと負けるのは良くないこと?

    「負けることもあるのだから、慣れるためにもわざと負けてあげるのは良くないかな?」とつい心配してしまいますが、この時期は大人が負けてあげてもいいのかな、と私は思います。

     

    子ども同士ではそうはいかないことも当然ありますので、そのときは良い経験となるように、「悔しいね」「気持ちはわかるよ」と気持ちを認めつつ、癇癪から起こる行動は続かないように対応すると良いでしょう。

     

    たとえば、物を投げるのなら投げられないように片づけるとか、大きな声を出すならその場から立ち去るようにするとか、そのようなことです。そのようにして困った行動が増えないように対応しつつ、少しおさまったところで「落ち着けたね、えらいえらい」とプラスの言葉をかけてあげたい所です。

     

    「負けて悔しい気持ちを持てること」=「長所」でもある

    負けて悔しい気持ちは、何事にも真剣に取り組むという長所でもあります。そのようなプラスの見方で、ちょっと手加減したくさん勝たせてあげてから、「お父さんもたまには勝ちたいな、ジャンケンなら勝てるかも」と最後にジャンケン勝負をするとか、それなら負けを受け入れられるかもしれません。

     

    受け入れられたら、「負けてもがまんできてえらいね」とほめてあげると良いでしょう。「トランプではがまんできないから意味がない」と思わず、今できる成功体験へつなげましょう。

     

    成長に伴い価値観は変化します。勝ち負けとは別の視点も出てくることでしょう。困った行動には適切に対応しつつ、「そんなに勝ちたいんだね」「がんばってるんだね」と今の姿を認め、待ってあげられるようになると良いですね。

    有元真紀

    Maki Arimoto

    発達支援スクール コペルプラス代表講師

    発達支援スクール コペルプラス代表講師。幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人の子どもたちの指導に携わる。また近年は指導員の育成にも力を入れている。