インタビュー

現役保育士に聞く!「保育園選び」のポイントと見学時にチェックしておきたいこと

2023年3月13日 11:35

出産後も仕事を続けるママにとって、最大の関心事とも言えるのが保育園選びかもしれません。今回は2児のママであり、保育士歴13年のキャリアを持つはるさんにインタビュー。保育士と保護者の両方の視点から見た保育園選びについてお話を伺いました。

認可保育園と認可外保育園の違いとは

保育園には、国の基準をクリアし認可されている「認可保育園」と「認可外保育園」があります。

1)認可外保育園

施設の広さや設備に関して国が定める基準を満たしていないため認可を受けていませんが、24時間保育を行なっていたり、英語や体育に力を入れていたりと、特色ある保育を提供する園も多く、保護者の多様化するニーズに対応しています

認可外保育園には最近増え始めてきた企業主導型保育園や、自治体が定めた基準を満たした保育園(東京都認証保育園や横浜保育室など)の他にも、院内保育園やインターナショナルプリスクールなどもあります。

2)認可保育園

「公立」「私立」「認定こども園」「小規模保育」に区分されます。認定こども園は幼稚園が担っていた教育と、保育園が担っていた保育の両方の機能を併せ持った施設です。

認可保育園は、保護者が働いている場合や病気、親族の介護にあたっているなどの理由で、自宅での保育が困難な場合に利用することができます。産休明け(生後57日)から小学校入学前まで利用でき、保育園によっては1歳からや生後6ヵ月からといった年齢制限があることも。認可外保育園は直接施設に申し込みをし、対象年齢に空きがあればいつでも利用ができます。

保活のスケジュール(4月入園の場合)

ここでは「認可保育園」に4月入園する場合の保活スケジュールをご紹介します。

1)入園希望前年の4月〜5月頃:保育園の情報収集

最初に行うのは保育園の情報収集です。これは入園希望の前年の4月、5月頃から始めましょう。まずはお住まいの自治体で配布している保育園マップで通える園や通いたい園をピックアップします。Googleマップなどを利用するのもおすすめです。認可保育園の入園選考は、家庭の状況に応じた点数で行われるので、ご自身の点数を把握しておくことをおすすめします。自治体の保育課や子ども課などに相談に行くと、希望保育園の入園最低点数を教えてくれるところもあります。

2)入園希望前年の6月〜10月頃:保育園見学

ある程度情報収集が進んだら、次は実際に保育園見学へ行ってみてください。多くの園で6月から10月頃まで見学を受け付けていますが、おすすめは早めの6、7月です。申請締め切りが近づく9、10月に見学をする方も多いですが、この頃は保育園の行事と重なることが多く、見学日が限られる上、希望日に通らないことも。ゆったりと余裕を持って見学するためにも、ぜひ早めに申し込んでみてください。

3)入園希望前年の11月頃:入園申請

4月入園の申請締め切りは、どの自治体も概ね11月になります。ですから入園希望の前年の11月までには保育園の候補を決めておく必要があります。

保育士が考える保育園選びのポイント

保育園の候補は、立地や保育時間などの条件である程度絞られてくると思います。その他にも施設の状態や園内設備、保育方針など検討ポイントはいくつもありますが、それらはご家庭の考え方によって本当にさまざま。そこで実際に保育士として働いている立場から、保育園選びにおいてぜひ考慮していただきたいポイントをご紹介します。

ポイント①:保育士の人数

それは保育士の人数です。保育士の配置人数には基準があり、自治体によって多少の差はありますが、

・0歳児:3人に対して保育士1人
・1,2歳児:6人に対して保育士1人
・3歳児:20人に対して保育士1人
・4,5歳児:30人に対して保育士1人

この人数のまま配置されているよりは、ある程度人数にゆとりがあった方が、丁寧な保育もできると思いますので参考にしてみてください。

ポイント②:保育士の年齢層

また、幅広い年齢層の保育士さんが揃っている園もおすすめです。若い保育士も子育て経験のあるベテラン保育士もどちらも揃っていて長く働き続けられる園というのは、子どもにとっても良い園といえると思います。

2018年に保育所保育指針が改定され、それまでの大人主導の一斉保育から子ども一人ひとりの主体性を尊重する保育にシフトしてきています。例えばあるクラスが散歩に出かけるとします。これまでは全員を散歩へ連れ出していましたが、中には別のことをやりたい子もいるはずです。そのような子の意志を汲み取って対応するのが主体性保育ですが、これも保育士の人数的余裕がないとなかなか難しいのが現実です。

保育園見学でチェックしておきたいこと

候補の保育園をピックアップしたら実際に見学に行ってみましょう。ここでは見学の際に施設面で見ておいた方がいいポイントをいくつか紹介します。

チェックポイント:チラシや掲示物が整えられているか

まず目につくのが施設の印象ですが、個人的には新しいかどうかよりもきちんと整えられているかどうかを見ておくといいと思います。たとえば、期日が過ぎたチラシが置きっぱなしだったり、掲示物が先月ものがそのままだったり、という園は保育士に余裕がない可能性があります。

チェックポイント:おもちゃの配置

子どもの手の届く位置におもちゃがあって好きな遊びができるかどうかは、子どもの主体性を尊重しているかどうかにつながります。

チェックポイント③:子どもの制作物

また、掲示されている子どもの制作物からも保育園の方針が分かります。みんなが同じような絵を描いているのか、一人ひとりの個性が発揮されているかも見てみるといいかもしれません。

チェックポイント④:園庭の利用頻度

そして多くの親御さんが園選びの優先順位の上位にあげる園庭について。園庭の有無や広さだけではなく、実際にどのくらい園庭で遊んでいるのか、どのように利用しているのかも確認してみることをおすすめします。中には01歳児は使用不可だったり、逆に0歳児が遊んでいる隣で5歳児が鬼ごっこをしていたりなど、危険な使い方をしているケースも。園庭が気になる親御さんは、ぜひ細かく質問をしてみてくださいね。

見学では子どもたちが遊んでいる様子も

もう一つ見学の際に確認してほしいのが、子どもたちの遊び方についてです。園庭がなかったり狭かったりした場合、外遊びはどうしているのか気になりますよね。頻繁に散歩に出かけたり、近所の公園などで代用したりという場合もあるので、質問をしてみてください。

園庭も大事ですが個人的には、雨の日や夏の猛暑日など、外に出られない日の遊び方についても確認しておくといいと思っています。ホールがあるなど、保育室以外にもちょっとした遊べるスペースがあると遊びの選択肢が増えてきます。雨の日の見学は億劫になりがちですが、室内活動の様子が見られるチャンスですので、ぜひ見学に行ってみてください。

また保育園の見学以外でも、お散歩中や公園で遊んでいる様子を見てみると、色々な気づきがあると思います。見学の時よりも保育士のの姿が見られる場合も(笑)。保育園見学であれ、公園遊びの時であれ、何より重視していただきたいのが、子どもがありのままの感情を出せているかどうかです。癇癪を起こしていても騒いでいてもいいので、子どもらしく笑ったり泣いたりできているかどうかもぜひご覧になってみてください。

入園前にできるようになった方がいいこと

保育園の入園までに「あれもこれもできない、やっておかないと」と焦ってしまう親御さんもいらっしゃいますが、あれこれ練習をしておく必要はありません。0歳入園に関しては2つだけ。

①離乳食をすすめる

まずは離乳食をすすめておけるといいと思います。というのも基本的にはご家庭で食べたことがないものは園で提供することができないからです。初めての食材は病院の開いている時間帯に試すのが安心なので、時間があるときにすすめておけるといいですね。

②哺乳瓶で飲む経験をする

0歳入園でもうひとつ、完全母乳の赤ちゃんは哺乳瓶で飲む経験をしておいてください。無理に断乳する必要はありません。保育士の立場からは、これ以外は特にないと思っています。オムツもスプーン食べもお昼寝も、保育園に入ってからで何とかなるもの。それよりも大切にしてほしいのは、残り少ない育休をお子さんとの楽しい時間に当ててほしいなと思います。

保育園に何を求めるかを明確に

ご家庭によって考え方や子育て方針がそれぞれあるように、保育園の保育方針もさまざまです。勉強を重視したい、外遊びをたくさんさせてあげたい、英語で育てたいなど、保育園に何を求めるのかを明確にしておくと、園選びのポイントや見学で見ておきたいことも自ずと定まってくると思います。

すでに申し上げたように保育園の希望条件や優先順位はご家庭によって違いますが、最終的な決め手になるのは親御さんの直感だと思っています。実際に見学に行ったり園長と話をしてみたりして「ここに子どもを預けたい」と思える園を探してみてください。

最後に、もし可能であれば保育園見学はパパもご一緒に。ママ一人では気づけなかった点に気づけたりなど、保育園について理解を深めるためにもパパも見学に行ってみることをおすすめします。

はる

haru

保育士

大学卒業後、保育士の道へ。学生時代も含めて5ヶ所の保育園を経験するキャリア13年目の現役保育士。保育士と保護者の認識の違いを感じたことから、保活や保育園についてインスタグラムで情報発信を始め、現在フォロワー3.4万人の人気アカウントに。

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