お悩み相談室 #睡眠
子どもを上手に寝付かせるためのポイント
2022年2月1日 18:00
新生児のころは一日中寝ていたり、昼夜問わず泣き出したりする赤ちゃんも、成長するにつれて、徐々に睡眠のリズムを覚えてきます。本記事では、保護者の方から寄せられた事例から、赤ちゃんが上手に寝られるようにするための「ねんねトレーニング」、いわゆる「ねんトレ」について考えていきます。
【相談事例】子どもがなかなか寝付いてくれない…
2歳の男の子を持つ母親です。夜、子どもがなかなか寝付いてくれず、マンションなので「近所迷惑になっているのでは……」と不安に感じています。私も夫も、なんとか寝てもらおうと絵本を読んでみたり、お昼寝の時間を減らしてみたりしていますが、あまり効果がみられません。
睡眠を促すコツは「生活のリズム」を整えること
睡眠のお悩みは、お父様、お母様の生活において大きな問題ですよね。夜は、大人も疲れているので、お子さんが決まった時間に寝てくれるようになると、気持ちも楽になるでしょう。
睡眠を促すコツは、生活のリズムを整え、眠る前のルーティンを守ることです。
太陽の光を目が感じると、私たちの脳内では「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。セロトニンとは、精神の安定を促す“幸せホルモン”で、日中前向きに活動する助けにもなります。そして、セロトニンが分泌された約14時間後、睡眠ホルモン“メラトニン”が分泌され、眠気を誘います。
「朝起きて朝日を浴びる」「朝食を摂って一日を始める」といった生活のリズムを整えることで、“幸せホルモン”セロトニンが分泌され、活動的になります。このセロトニンが、夜に眠気を誘うメラトニンを分泌させ、自然に睡眠リズムが作られていきます。
寝る前のルーティーンを「見える化」すると…
さらに、寝る前のルーティンを作ってみてください。
お風呂に入る→パジャマを着る→はみがき→ベッドに入って読み聞かせ→電気を暗くする
このように、睡眠前のルーティンを儀式のように決めてみましょう。
ルーティンを1枚のポスターにまとめて、見える場所に貼っておくと効果的です。イラストや子どもの写真などを順番に並べて、全ての行動がひと目で分かるようにしてください。こうやってルールを「見える化」することで、子どもは視覚的に寝る前のルーティンを理解し、次の行動がわかりやすくなります。親も、口で何度も伝えるのは大変ですが、作成した絵を見ながら“次は何だったかなー?”と伝えることができるので、楽になりますね!
「ひとり寝」の練習で重要なポイント
そして、睡眠のリズムが整ってきて、自然に眠れるようになったら、今度は自分で眠る練習にチャレンジしてみましょう!
子どもが布団に入って10分くらい様子を見た後、まだ寝付いていなくても、パパやママは一度、「また、来るからね」と言って退室します。そして、1~2分したら寝室に様子を見に行きます。もし、泣いていても慌てて抱っこせず、「すぐ来るから大丈夫よ」と、背中をトントンしたりして愛情を伝えましょう。そして、「また来るからね」と再度退出し、1〜2分したら寝室に様子を見に行く……という流れを繰り返してみましょう。
通常、睡眠のリズムが整っていると、数日から1週間程度で、一人で眠れるようになるといわれています。1週間過ぎてもうまくいかないときは、一度リセットし、時期を見直してみるとよいでしょう。一人で眠れるようになると、親のストレスが減るだけでなく、子どもも十分な睡眠がとれるので、いいことがいっぱいですね。
毎晩同じ時間に寝ている子は、問題行動が少ない!?
親がねんトレで焦ってイライラすると、その気持ちが伝わり、逆効果になることもありますので、注意してください。特に2歳のころは、「秩序期」と呼ばれるほど、“いつもと同じ”であることを好む時期です。いつもと同じルーティンを心がけることで、睡眠の問題だけでなく、癇癪からも解放されます。
イギリスの研究では、毎晩同じ時間に寝ている子は、問題行動が少ないということが明らかになっています。日本でも、文部科学省が子どもの健康のために、「早寝早起き朝ごはん!」運動を行っています。健やかな子どもの脳と心に欠かせない早寝早起きの習慣を、小さなころから練習していきましょう!
大坪可奈
幼児教室コペル代表講師・ペアレントセラピスト主宰
幼児教室コペルの代表講師として、30年間で10,000人以上の子どもたちとお父様・お母様を指導。近年は、日本全国や中国での『幼児教育の重要性』を伝えるセミナーが人気を集めている。 「子どもが自立するまでは親からのサポートが必要であるように、親が子育てを学び実践するまでは専門家からのサポートが必要だ」という信念に基づき、日常で実践できるようなほめ方・しかり方や、ケースバイケースの指導を大切にした母親勉強会も評判。 現在も、新宿ミライナタワー教室で、胎教・ベビーコースを行い、幼児教育を通じて、幸せな親子が増えて世の中がよくなることを願っている。 著書「自己肯定感を高める最強の子育て」(PHP出版)