インタビュー #睡眠

【ねんねの専門家監修】赤ちゃんの「夜泣き」原因&効果的な対処法

2023年8月14日 16:03

お腹が空いているのでもなく、おむつが濡れているわけでもないのになぜ泣くの?赤ちゃんの夜泣きの対処法がわからず、頭を悩ませているママ、パパは多いでしょう。

そこで今回、ねかしつけのプロ・三橋かなさんに、夜泣きの原因や対策についてお話をうかがいました。

そもそも赤ちゃんの「夜泣き」とは

「夜泣き」には決まった定義はありませんが、一般的には、お腹が空いていたりおむつが濡れていたりといった生理的欲求が満たされていて、かつ痛みや病気などの体調不良がないにもかかわらず、就寝してから起床までのあいだに赤ちゃんが突然起きて泣き止まない状態を、夜泣きといいます。

夜泣きが起こる時期は、生後3か月から2歳半くらいまでが多いといわれています。しかし、これにはかなり大きな個人差があるので、この範囲から外れているからといって心配することは全然ありません。現にうちの子は4歳半まで夜泣きがありました。

月齢ごとの赤ちゃんの睡眠リズムと夜泣き

①生後0か月~3か月

この時期の赤ちゃんが泣くのは、お腹が空いていたり暑すぎたりといった生理的な欲求が原因であることがほとんどです。赤ちゃんが昼夜の区別がわかるようになるのは生後3か月くらいからなので、この時期はまだ睡眠のリズムが安定していません。生活のリズムが整うように、お昼寝は生活音がある明るい部屋がおすすめです。

②生後4か月~10か月

夜中に何度も起きたり、お昼寝が短くなるといった睡眠退行が起こります。これは、成長過程で赤ちゃんの五感が敏感になってくるためです。この時期の赤ちゃんも不快が原因で泣くほか、眠たいのに眠れなくて泣くこともあります。よく眠れるように生活のリズムや睡眠の環境を整えてあげるとよいでしょう。

③生後10か月〜1歳半

夜泣きのピークを迎える時期です。育児書などには夕寝がなくなる頃だと書かれているため、それに従って寝かさないようにすると、子どもによっては午後から就寝までの時間が長くなりすぎて、夜泣きの原因となってしまうこともあります。

また、分離不安が強くなる時期で、普段から寝かしつけにおっぱいをあげたり抱っこしたり親が介入する癖がついていると、夜中に起きたときにも親の介入を求めて泣く原因となります。そのような場合は、睡眠環境の安全性を確保したうえで、すぐに介入せず3分から5分くらい様子を見てみましょう。

夜泣きの原因と対策

夜泣きの原因は、大きく分けると①生活リズムが整っていない②睡眠環境が整っていない③寝かしつけの癖がある、の3つがあります。

夜泣き対策の大前提として、まず寝床の安全性を万全にすることが必要です。1歳未満の赤ちゃんの寝床にはなにも入れないこと、赤ちゃんの寝る部屋は大人と同じで寝床は別にすることが大切です。

そのうえで、以下のような夜泣き対策に取り組んでみてください。

①生活リズムを整える

朝には日光を浴びるようにし、生活のリズムを整えてあげましょう。疲れすぎることも夜泣きの原因となるので、月齢ごとに推奨されている昼寝時間やタイミングを目安に、適宜寝かせてあげましょう。

生後3か月を過ぎたら、就寝の前のちょっとしたルーティーンを決めておくのもおすすめです。赤ちゃんが、この行動の次に寝るんだな、と予測ができるようになります。ルーティーンは、たとえば「お風呂→保湿→絵本を読む→ハグ→寝床へ行く」のように、簡単なもので構いません。

②睡眠環境を整える

乳幼児は大人よりも体温が高いので、赤ちゃんが寝る部屋は涼し目にしてあげます。具体的には、温度が20度〜22度、湿度が40%〜60%くらいがちょうどよいといわれています。ただし、25度設定で夜泣きもなく、汗もかいていない場合はそのままで良いとお伝えすることもあります。また、夜は真っ暗を推奨していますが、照明をつける場合は、足元に暖色系の薄暗い灯りをつけてあげましょう。

③寝かしつけの癖を見直す

寝かしつけるときにおっぱいをあげたり抱っこしたりしていたとしても、朝まで赤ちゃんがぐっすり眠ってくれているのなら、全く問題はありません。

しかし、夜中に赤ちゃんが何度も起きて、お母さんも赤ちゃんもストレスがある場合には、寝かしつけの癖を見直すことをおすすめします。赤ちゃんの寝床の安全を確認し、睡眠環境を整えたうえで、ひとりで寝かせてあげます。3分から5分ほど様子を見て、赤ちゃんが自分で寝つくチャンスを作ってあげましょう。それを繰り返すうちに、赤ちゃんが自分で寝つく習慣ができるようになります。

④スキンシップを大切に

心の満足度として親子のスキンシップはとても大切です。毎日5分でもいいので、目を合わせて一緒に遊ぶ時間を作ってあげると、赤ちゃんに安心感が生まれて、夜泣きが少なくなるはずです。

夜泣きしたときの対応

赤ちゃんが夜泣きをしてしまったとしても、それは別にかまわないと思います。赤ちゃんも泣いて感情を発散したいこともあるでしょう。しかし、泣き声を聞くお母さんは心理的なストレスを受けるので、おむつが濡れているなどの生理的欲求でなく、体調不良でもない場合は、赤ちゃんの寝床の安全を確保したうえで、いったん部屋から離れるのもよいでしょう。このときベビーモニターがあるとより安心できます。

パートナーに赤ちゃんのお世話を交代してもらったり、一時預かりなどを利用するのもひとつの方法です。お母さんに心の余裕ができるとそれが赤ちゃんに伝わり、機嫌がよくなったり寝やすくなったりすることはよくあります。周りに頼るということもとても大事です。

赤ちゃんは泣くもの!一人で抱え込まないで

赤ちゃんは泣くものです。そしてそれは、ママやパパを責めるために泣いているのではありません。

赤ちゃんの夜泣きでママがしんどい状況にあるのであれば、頼ることも大事です。ひとりで抱え込ますに、ベビーシッターや一時預かり、夜泣きの専門家を頼ってください。

実際、夜泣きの電話相談の申し込みをしただけで、安心感からママの心に余裕ができて、夜泣きが改善されたという例もあります。ぜひ相性のいい専門家を見つけて、頼っていただければと思います。

三橋かな

mihashikana

寝かしつけのプロ

アナウンサーとして活動後、結婚を機に退職。長男がまったく寝なくて苦労したことをきっかけに、乳幼児の睡眠コンサルタントの資格を取得。ねんねアドバイザーとして、赤ちゃんの睡眠に関する情報を発信し、保育系大学にて睡眠講義・メディア出演多数。 これまでに延べ2,000人以上のねんね相談実績あり。

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