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【小児理学療法士監修】赤ちゃんのハイハイ時期とおすすめ練習法!どうしてハイハイ大事なの?

2023年3月7日 10:30

子どもがなかなかハイハイしないと、お母さんお父さんは心配になりますよね。

そこでこの記事では、小児理学療法士のこどもリハビリかめきちさんにハイハイについての基礎知識や、ハイハイしない原因、おすすめの練習法などについてお話を伺いました。

ハイハイの成長過程

ハイハイしないということを非常に心配される親御さんはたくさんいます。また、インターネットなどには、不安をあおるような情報もあります。しかし成長の個人差もあるので、ハイハイしないことに神経質になりすぎる必要はありません。そのことを前提にお話しいたします。

子どもの発達は、順番に進んでいきます。お母さんのお腹の中にいたところから、急に外の世界に順応しなければいけないので、ゆっくりと順々に成長していきます。まず目が見えるようになり、追視が始まります。目の動きに伴って首が動くようになり、首がすわってきます。寝返りを習得するとうつ伏せの姿勢がとれるようになり、うつぶせで遊べるようになってきます。その後おもちゃなどに向かって手を伸ばして前へ進もうとし、ずりばい・ハイハイへとつながります。

最初は、お腹を床につけたまま肘で体を支えて進む「ずりばい」ですが、そこからお腹を浮かせて効率的に進むハイハイの姿勢へと発達していきます。ハイハイを獲得するのは、だいたい生後8か月から10か月くらいの時期です。

ハイハイをするメリットとは?

ハイハイには大きく3つの要素があり、それぞれに基づいたメリットがあります。

ハイハイのメリット①:自分の体を支える基礎的な運動

ハイハイは、手のひらとひざ下で体を支え、お腹を床から浮かせながら前に進む移動手段です。そのため、ハイハイをして移動をすることで自分の体を自分で支えるという基礎的な力が備わります。

ハイハイのメリット②:リズミカルに重心を左右に移動させる練習

ハイハイは、左右の手足を交互にリズミカルに動かして、重心を移動させていく移動手段です。このハイハイのときに培った左右・交互の重心移動の経験が先々、伝い歩きや独り歩きに重要な体の使い方になります。

ハイハイのメリット③:原始反射から姿勢反射への切り替え

赤ちゃんには、自分の命を守るための「原始反射」が生まれながらに備わっています。ミルクやおっぱいを吸うための哺乳反射や、大きな物音にびくっとするモロー反射などがそうです。この原始反射は一定の時期に消失し、運動の経験を積むことによって「姿勢反射」に統合されていくといわれています。姿勢反射とは何かというと、つまずいたときに「おっと!」と転ばないよう足が出たり、転んだときに手をついたりする反射です。自分でバランスを取りながらハイハイをすることで、この姿勢反射が育っていくと考えられます。

ハイハイしない原因とは?

世の中には一定数、ハイハイしないで立ってしまうお子さんや、ずりばいからなかなかハイハイに移行しないお子さんもいます。また、先にお座りを獲得してしまった場合、ハイハイをしないことがあります。

まだ自分でお座りができない子どもを大人が「よいしょ」とお座りさせてしまうと、自分で姿勢を変換するやり方がうまく身につきにくくなったり、うつぶせで顔をあげるのが大変なお子さんはお座りのほうが安定して楽ちんなので、そこから動かなくなってしまうこともあります。「絶対に座らせてはいけない」というわけではなく、大事なことはそこから自分で姿勢を変えられるかどうかです。大人が座らせてあげた場合は、座った姿勢から自分で体をねじって寝る姿勢に戻る練習をさせてあげましょう。

神経発達症脳の先天的な病気が疑われることも場合によってはあります。ほかにも乳幼児健診で発達の遅れを指摘された場合や、離乳食が全然進まなかったり物に興味がなかったりといったことが見られた場合は、専門の医療機関を受診してください。

ハイハイしないとどうなるの?

ハイハイしないと、先に紹介したハイハイの3つの要素
①自分の体を支える基礎的な運動
②リズミカルに重心を左右に移動させる練習
③原始反射から姿勢反射への切り替え
によって培われる機能がうまく育たない可能性があります。

すなわち、
安定した体の使い方が身につきにくい
重心移動の経験が少ないので、ぎこちない歩き方になる
姿勢反射がうまく起こりにくく、転びやすかったり転んだときに手が出ない
ということがあります。

おすすめのハイハイ練習法

ハイハイしない子には大きく分けて二つのパターンがあります。

ハイハイしない子①:ずり這いはするのにハイハイしない

このパターンの子は、手のひらで自分の体を支える力やお腹を持ち上げる体幹の力が弱い場合が多いです。ハイハイで難しいのは手のひらや膝で体を支えることなので、マットなどで少し高さを出して手のひらをつく練習や、膝立ちの練習をしましょう。練習には大型家具店などで入手できる折り畳みマットがおすすめです。

また、親御さんの伸ばした足の上や重ねたクッションなどを乗り越えて進む練習や、段差を登る練習も効果的です。

ハイハイしない子②:うつぶせ自体が嫌い

もうひとつのパターンはうつぶせ自体が嫌なケースで、うつぶせに慣れるところからはじめましょう。親御さんが足を伸ばして床に座り、子どもを向かい合わせに抱っこします。子どもの足は床に下ろしておきます。親御さんがゆっくりあお向けに倒れていくと、子どもは自然と胸の上でうつぶせになります。

歌を歌ってあげるなどして、子どもが首を持ち上げるようにしましょう。子どもがだんだん嫌がってきたら、親御さんの横に下ろします。そうすることで、子どもが床面に手のひらをついて、自分の体を支えながら降りる練習になります。

なかには、親御さんが少し体を倒しただけでも背中を反らせて嫌がる子もいます。そういう場合は、背中が反らないように丸い抱っこの姿勢を作ってあげてから、練習してみてください。

ハイハイ時期の注意点

子どもは口でさまざまなものを確かめながら成長していきます。ハイハイをするようになり、いろんなものに興味を持ってきたお子さんはなんでも口で確かめて「学習」していきます。そんなとき生活の中で注意したい、危険なものとしては”誤飲”です。

子どもが飲み込む危険のある物は、決して床に置かないようにしましょう。一般的には、トイレットペーパーの芯を通るものは、子どもの気道に入ってしまうといわれています。(厚生労働省のHPを参考にしてください。)

また、転落にも注意が必要です。つねに大人の目の届く範囲で遊ばせて、目を離すときはベビーサークルをしっかり立てておきましょう。

ハイハイしない原因を考えよう

ハイハイしないからといって、「うちの子は障がいがあるのかな」「発達が遅くて大丈夫かな」と極端に心配する必要はありません。ただし、中にはもしかしたら病気が原因の場合もあるので、ハイハイ以外でも発達が遅れている場合は、早めに専門の医療機関を受診してください。

ハイハイしないことよりも、なぜハイハイしないのかという原因を考えるのが重要です。しかしご家庭ではなかなかわからないこともあります。そんなときは、専門のリハビリの先生や理学療法士、発達相談ができる支援センターなどに相談してみてください。私もオンラインで全国どこでもご相談をお受けできますので、ひとりで悩まずお気軽にご連絡ください。

こどもリハビリかめきち

kamekichi

小児理学療法士

理学療法士国家資格取得後、脊椎脊髄難病センターに勤務。その後、世界を旅し、戦争や地雷の被害で体が不自由になった子どもたちを見て、小児の道へ進む決意をする。こども病院等の勤務を経て、こどもリハビリかめきちとして開業。オンライン相談やセミナーなどで活躍中。

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