子育てコラム
子どもの幼児教育の投資収益率は?
2021年12月14日 5:00
「教育の収益率」が一番高いのは、いつ?
「幼児教育をはじめるのは、早ければ早いほどよい。」これは、幼児教育の重要性を語るときによく使われる言葉です。
でも、
「教育を幼いころからはじめることで、どのくらい効果に差が出るんだろう。」
「大きくなってからでもしっかりと勉強をすれば、それなりの効果が出るのではないかしら。」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
そこで今回は、最近話題を集めている『「学力」の経済学』(著:中室牧子さん)という書籍から、データでわかる幼児教育の重要性をご紹介したいと思います。
教育の収益率の調査研究
「教育の収益率」という言葉があります。これは、「一定期間に同じだけ教育への投資をおこない、どれだけ効果があるか」を測定する指標です。
ノーベル賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン教授は、「ペリー就学前プロジェクト」という調査をおこないました。
調査対象の子どもを“幼児教育を受けたグループ”と“そうでないグループ”に分け、その後40年にわたって追跡調査を続けました。
40年後の調査結果を見てみると、幼児教育を受けたグループとそうでないグループの経済状況や生活の質に関する指標は、幼児教育を受けたグループのほうがはるかに高い数値を示していました。
この研究は、アメリカで幼児教育の重要性が見直されるきっかけになったそうです。
早期教育で非認知能力に大きな差
ここで特筆すべきは、幼児教育を受けた子どもたちは、その時期に「学習意欲」や「続ける力」といった非認知能力を身につけており、そのことが、のちの人生の長きにわたって効果をもたらしていたということです。
就学前の敏感期を過ぎてしまうと、この「学習意欲」や「続ける力」といった非認知能力を伸ばすことが難しくなるともいわれています。
就学前教育が最も収益性が高い
幼児教育を受けた子どもたちの「教育の収益率」は15~17%で、通常の公共投資とは比べ物にならないほどの高い数値を示しています。
その結果として、ヘックマン教授は「最も投資に対する収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育である」と結論づけたのです。
日本でも、2019年10月から全面実施された幼児教育・保育の無償化など、就学前の教育を重視する動きがはじまっています。
幼児期はたった数年ですが、幼児教育は子どもの一生にわたってすばらしい効果をもたらします。
かけがえのない短い時間に、できるだけ子どもの潜在能力を伸ばす教育を受けさせてあげたいものですね。
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