インタビュー #マネー・就労
【FP監修】お小遣いは何歳から?子どもが身につけたいお金の知識
2023年4月2日 10:00
時代の流れも相まって、ますます関心が高まるお金の話。子どもには何歳からお小遣いを渡すべきか考えている親御さんも多いかもしれません。それに対し「お小遣いをもらう前に身につけてほしいことがあります」と教えてくれたのは、インスタグラムでも多数のフォロワーを持つFPのfumicoさん。気になる子どものお小遣いの話と身につけておきたいお金の知識について教えていただきました。
~目次~
お小遣いはいつから?どのくらいもらっているの?
お小遣いは、子ども自身がお金を何に使いたいか考えるきっかけにもなりますし、いくつも買いたいものがある場合は、何から買っていくかといった計画を立てる力にもつながります。
いつから渡すかはご家庭によってさまざまですが、小学校入学を一つのタイミングと考える方も多いかもしれません。個人的にはお子さんの特性や興味の示し方で渡す時期を決めてもいいと思います。例えば幼少期から数字に興味を持ち出したら、勉強を兼ねて早めに渡し始めるという考え方もあります。
それでは子どもが実際にいくらぐらい小遣いをもらっているかを見てみましょう。
<お小遣いはいくらもらっている?>
月に1回もらっている子は、ときどきもらっている子よりも金額が大きく、多くが1ヶ月に500円もらっていることがわかります。もうひとつ、次のデータをご覧ください。
<どのくらいの頻度でお小遣いをもらっている?>
低学年の6割近くは小遣いをときどきしかもらっておらず、学年が上がるごとに月額制にシフトしていくことが多いようです。
お小遣いの渡し方別メリットと注意点
ここではお小遣いの渡し方を4つご紹介します。
(1)定額制
もらえる日が決まっているので、子ども自身がお金の使い方の計画を立てやすいのがメリットです。未就学児の場合は、カレンダーを見たり覚えたりする習慣がつくのも良い点かもしれません。注意点は、次のお小遣いをもらう前に使い切ってしまう可能性があること。この場合どのようにするか、あらかじめルールを決めておくといいと思います。
(2)欲しい時に都度払い
何が買いたくていくら欲しいのか、どうしてそれが必要なのかなど、親に対して要望を伝える練習になるのがメリットです。ただし子どもによっては際限なく欲しがることもあるので、その場合の取り決めをしておくといいですね。
(3)お駄賃制
お手伝いをしたらいくらか渡すお駄賃制は、仕事をするとお金がもらえるという社会の仕組みを学ぶ勉強にもなりますが、個人的にはあまりおすすめしていません。子どもも家族のメンバーですから、お手伝いをするのは当たり前という感覚でいた方がいいと思うからです。お駄賃制にする場合は、普段の家事のお手伝いではなく、例えばパパママが困っている時に助けてくれた、というようなちょっと特別なお仕事に対して支払う方がいいかもしれません。
(4)報酬制
習い事を頑張ったり、良い成績を取ったりしたら特別にご褒美として渡すという方法もあります。子どものやる気や頑張りを引き出すという良さもありますが、結果を出せばお金がもらえるという感覚を幼い頃から身につけてしまう点には注意が必要です。報酬制を取る場合は、成果に対してではなく、頑張ってきた過程や努力に対して渡すという形にしてみてはいかがでしょうか。
幼少期に身につけておきたいお金の基礎体力
お小遣いを渡す前に、子どもにある程度身につけておいてほしいことがあります。それは、お金の基礎体力です。スポーツをするために体力が必要なように、お金を使うためにも基礎体力が必要なのです。
まずは子どもにも分かるようにお金とは何かを話してあげてください。例えば「何か欲しいものを買ったり、楽しいことをしたりするにはお金が必要なんだよ」「これを作ったり、お店まで運んだりするのにもお金がかかっているんだよ」「そのかかったお金で、物の値段が決まっているんだよ」といった感じに。
お金をどのように使いたいのか、使った後はどんな気持ちになったのかなども、普段から考える癖をつけておくといいと思います。さらに一緒に買い物へ行き、同じ商品でも値段が違う理由を考えてみるなど、日常の中にもお金について学べる機会はたくさんあります。
そしてお金は自分のためだけではなく、家族のために使ったり、他の誰かのために使えたりすることも教えてあげられるといいですね。毎日の電気や水道にもお金がかかることを知らない子どもは少なくありません。募金や寄付をすれば知らない誰かのためにもなります。このようなことを知るのもお金の基礎体力につながるはずです。
お小遣いを渡す前に決めておきたいこと
それでは実際にお小遣いを渡す前に、あらかじめ決めておきたいことをいくつかご紹介します。
(1)渡し方を決める
定額制なのか都度払いなのかといったお小遣いの渡し方を決めます。どの渡し方が良いのかは、その子の特性やお金への理解度によって変わってくると思います。さらに足りなくなった時にはどうするのかといったルール決めもあるといいかもしれません。ルールを一度決めたら、特別なことがない限りは変更しないことも大切です。
(2)買うものの線引きをする
親が買うものと子どもが買うものの線引きをします。例えば補食としてのおやつは親が、子どもが楽しむためだけに買うおやつはお小遣いで。基本的な学用品は親が、コレクションが目的の文具はお小遣いで、といった具合に。何を親が買って何を小遣いで買うのかを明確にしておくといいですね。
(3)トラブルを防ぐための約束をする
小学生になると心配なのがお友達との金銭トラブル。人にあげない、貸さないということをしっかりと約束させてください。また小学生になると友達のお家がどうなのかも気になり始めるはず。人と比べない、低学年のうちはお金の話はお家の中でだけ、ということもルールにするといいかもしれません。
お小遣いを渡す時に気をつけたい声かけ
お金の使い方を考える、という観点からすると意外に感じられるかもしれませんが、私自身は子どもに「無駄遣いをしちゃダメ」とは言わなくていいと思っています。子どもが欲しがるものというのは、親からしてみると「本当に必要なの?」と言いたくなるようなものばかり。
でもそれが”無駄”になるかどうかは親が決めることではなく、子どもが購入後の体験によって感じることだと思います。例えばお小遣いを出して買ったものを全く使っていないというのはよくあることですよね。そこで初めて親は「せっかく買ったのにもったいないね」と指摘して、無駄になっていることを認識させればいいのです。
どんなことでも同じですが、お金に関しても子どもが自分で考えて行動し、時には失敗をしながら経験を積んでいくことが大切です。失敗も良い経験になるので、否定をしたり事前にブレーキをかけたりせずに見守るようにしてあげてください。失敗に気づいた後も「結局使ってないじゃない」とか「無駄なものを買わないで」と否定するよりも、どうしてそれを買ったのか、どうして使わなかったのか、これからはどんなものを買うのか、といった次につながるような声かけをしてあげられるといいですね。
そうは言ってもやはり子どもの”無駄”づかいは気になるもの。そういう場合は、渡す金額でコントロールしましょう。「これくらいの”無駄”なら許容できるな」と割り切れる金額にして、後は子ども自身に任せるようにしてはいかがでしょうか。
お金の基礎体力は現金で身につけて
子どもへの金融教育の必要性が盛んに言われるようになり、家庭でも何か始めなくてはと考えている親御さんも多いかと思います。ですが特に身構える必要もないですし、特別な学習をする必要もありません。お金の学びは日常生活の中にたくさん詰まっています。お金がどんな場面で役に立つのか、実際にどんな風に使うのか、それを見せてあげるだけでも十分な学びにつながります。
それと今はキャッシュレス時代です。だからこそ子どもにはできるだけ現金を使うシーンを多く見せてあげてください。現金で基礎体力をつけておけば、キャッシュレスはその応用で使えるはずです。ぜひお子さんと一緒に買い物に行った際は、値札などを見ながらお金の話をしてみてください。「同じりんごなのに、どうしてこっちの方が高いのかな」「これは1個だと100円だけど3個だと250円だね、どうしてかな」など。支払い時はキャッシュレスでも、まだまだこのように金額を目にする機会はたくさんあります。
マネーリテラシーという言葉もよく耳にしますが、難しく考える必要はありません。日頃からお金の話をして、現金に触れながらお金の基礎体力を養ってあげられるといいですね。