インタビュー #防災

【防災家監修】地震が起きたときどうすれば?子どもに伝えたい、身を守る方法と避難行動

2023年3月2日 10:00

地震大国、日本。東日本大震災や熊本地震はまだ記憶に新しく、今後も南海トラフ地震などの大地震の発生が予測されています。

地震が起きたとき、どうすればよいのか―とくに小さなお子さんがいるお父さんお母さんは、不安を感じられているでしょう。

そこで今回、防災士/防災共育管理士の松永りえさんに、地震が起きたときの対応や、普段から備えておくべきことについてお話を伺いました。 

地震が起きたときに取るべき対応とは

まず、住んでいる地域や住居の形態で地震の危険度は違います。たとえば、都心部なのか田舎なのか、断層の真上なのか、津波の危険がある海のそばなのか、土砂崩れの起きやすい崖の横なのか、あるいはマンションの上層階なのか下層階なのかによっても危険度は異なります。

①ハザードマップで危険度を確認

そこで、最初に取り組んでほしいのが、ハザードマップで自分の家の危険度を確認することです。津波の危険がある場所なら高台へ逃げるというように、地震が起きたときに取るべき行動がおのずとみえてくるでしょう。

②基本は頭を守る

また、実際に地震が起きたときの対応は、大人も子どもも変わりません。基本はまず頭を守ること。机の下に入ったり、寝ているときであるならば、布団を頭にかぶります。

③ブロック塀やガラス張りの建物から離れる

家の外にいるときに地震が起こった場合、ブロック塀やガラス張りの建物のそばからはすぐに離れましょう。かばんなどがあれば、それで頭を守ってください。

子どもと離れているときに地震が起こったら?事前の対応は?

子どもが保育園や幼稚園、学校にいるときに地震が起こった場合、基本的には学校や保育園の対応を信じるしかありません。しかし、普段から取り組んでおけることもあります。

①学校や保育園・幼稚園の先生と連携

ひとつは、学校や保育園の先生と連携しておくことです。災害時のための先生と保護者の連携は、地域によって差があります。子どもの「引き渡しカード」を取り入れたり、災害時のお迎え可否の確認を行っている学校もありますが、そういった取り組みがない地域も少なくありません。地震が起きてからでは電話がつながらないことも十分考えられますので、平常時に、地震が起きたときにはどうしたらよいのか学校や保育園に確認して、防災マニュアルがどうなっているのか教えてもらっておくとよいでしょう。

②自宅以外で家族が集まる場所を決める

何かが起こった場合に、自宅以外で家族が集まる場所を必ず決めておいてください。広域避難場所が近くにあればよいですが、遠い場合は子どもがひとりでも行ける公園などを集合場所に決めて、実際に足を運んでおきましょう。

③通学路や活動範囲を一緒に歩く

子どもの活動する範囲を一度一緒に歩いて、ブロック塀など地震が起きたときに近づいては行けない場所などを確認しておくのも大切です。登下校中に地震が起きた場合に備えて、家へ戻るのか学校へ行くのか、判断する基準となる地点を決めておくとよいでしょう。

子どもがしっかりした危機管理意識を持てるかどうかは、親自身の意識が大きく影響します。普段から、しっかり声かけしてあげてください。

避難?自宅待機?揺れがおさまったあとの避難行動

津波の危険があったり、家の真横が土砂崩れの恐れがある崖であったりとハザードマップで危険が予想される場合や、あるいは家が倒壊しそうな場合などは、すぐに避難しなければなりません。また、強い地震が二度来ることもありますので、一度目の地震で問題がなくても注意が必要です。

もっとも、すぐに避難しなければ危険である場合でなければ、基本的には自宅待機がおすすめです。当然のことながら、避難所は快適な場所ではありません。避難所へ行けば誰かが助けてくれるわけではないので、被災した人たちは自分たちで何とかしなければならず、救援物資が届くのもたいてい2、3日はかかります。プライバシーもありません。

そのため、災害時に家にいられるよう、普段から備蓄や安全点検をしっかり行っておきましょう。

避難所に避難することになったら、子育て家族でグループを作ろう

とはいえ、やはりどうしても避難しなければならないときはあります。とくに小さいお子さんは、避難所で何日もおとなしくしているのは大変です。少しでも気がまぎれるよう、トランプや絵本など遊べるものを持参しましょう。

また、小さい赤ちゃんがいる場合などは、避難所の運営に参加して、赤ちゃんが過ごしやすい環境作りをしていくのもひとつの手です。このとき、防災についての知識を持っていると、意見をよく聞いてもらえます。

もっとも、小さいお子さんを抱えて運営に参加するのは大変でもあるので、同じ小さい子どもを持つ保護者がグループを作って動くのがよいでしょう。そのためにも地域の防災訓練などに参加して、普段から地域の人たちと連携をとっておくことが大切です。

まずはハザードマップを確認し、危険を正しく知ろう

地震が起きたときにどうすればよいのか、不安に思っている方も多いと思いますが、地震の危険を正しく知って備えをすれば、不安を解消することができます。まずは、ハザードマップでご自宅の危険度を確認することからはじめてください。

ハザードマップは非常に正確なので、ハザードマップの情報をみれば、避難するべきかどうか、備蓄はどのくらい必要なのかなど、具体的にどう備えればよいのかがわかります。自分の住む地域の危険度を理解して正しく備えることが、安心安全な暮らしにつながるのです。

松永りえ

matsunaga rie

防災士/防災共育管理士/整理収納コンサルタント

豊かな暮らしのためには暮らしの基盤を整えることが重要だという考えから、整理収納コンサルタントとして独立。その後、熊本地震に被災したことをきっかけに防災にも力を入れ、防災収納インストラクターとしてメディアやセミナーなどで活躍中。著書3冊。2児の母。

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