インタビュー #整理収納

片付けのプロ直伝!子どもが片付け習慣を身に付けるための4つのコツ

2023年2月12日 10:00

遊んだおもちゃは出しっぱなし、収納棚はいつもぐちゃぐちゃ。どうしてうちの子は片付けができないのかしら……。そんなお悩みを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。

なぜ子どもは片付けが苦手なのか、どうしたら片付けが習慣になるのか。そんな気になるテーマについて片付けプロ養成スクールの校長としてSNSやメディアでも活躍中のみくろママさんに解説していただきました。

子どもが片付けられない理由とは?

子どもが片付けられない理由①:快適さを知らない

多くの子どもは、片付けることでスッキリ気持ちが良くなるとか、探し物のない状態の快適さなどを知りません。

子どもが片付けられない理由②:収納方法が複雑・物が多い

そしてご家庭の中でどこに何をしまうといった物の定位置が決まっていなかったり、逆に収納方法が複雑すぎたり、物が多すぎたりする場合などは、片付ける気持ちが失せてしまいますし、片付け切ることができません。

子どもが片付けられない理由③:強制や命令で子どものやる気を奪う

また、多くの親御さんがやってしまいがちなのが「早く片付けなさい」という強制や命令の声かけや「どうしてできないの?」「何度言ったら分かるの?」といった人格を否定するような声かけ。これらは子どものやる気を奪うだけではなく、子どもの心を傷つけることにもなるので注意が必要です。

子どもが片付けられない理由④:家庭内の価値観や習慣

そして最後に、親御さんの考え方や価値観の問題。物を大事にする理由を「高かったから」「誰々さんにもらったから」という親側の都合で押し付けてはいないでしょうか。また、そもそもご家庭の中に片付ける習慣がなければ、いくら言っても子どもは片付けることができません。

片付け習慣は0歳から

子どもの片付け習慣は、基本的には観察学習によって身に付いていくものです。子どもは首が座った頃から親のことを目で追っています。オムツやおもちゃを定位置から出して戻すという秩序ある習慣が送られている場合は、それを見て学んでいきます。

そして、できるだけ早い段階から片付けの仕組みを作っておくことも大切。乳児の時というのは親御さんもお世話で忙しいので、どうしても1つのカゴなどにボールもぬいぐるみもブロックも全部投げ込むというような収納方法を取りがちです。ここをせめて3分類にしてみてください。ぬいぐるみのおうち、ボールのおうち、ブロックのおうちなどに分けてあげて、子どもが指でつまむという作業ができるようになったら一緒に遊びながら戻していきます。

産まれてからは時間もありませんから、できれば出産前に簡単な収納の仕組みが作れておくといいかもしれませんね。

片付け習慣を身に付けるためのコツ4

片付け習慣が身に付くことによって、これからの時代に必要とされる非認知能力や生きる力が育まれると考えられます。具体的には、必要・不必要を判断する力、モノを大切にする心、他者を思いやる気持ち、手持ちの物で工夫する力、物に対する責任感などにつながります。

ここからは子どもが片付け習慣を身に付けるためのコツをご紹介します。

達成感を持たせてあげる

子どもが片付け習慣を身につけるために一番大事にしたいのは、達成感を感じられるようにしてあげることです。

たとえば次のような場面をイメージしてください。部屋に大量のおもちゃが散らばっています。片付ける時間が来たので「早く片付けなさい」と声かけをしますが、親御さんから見てもちょっと大変そうな分量です。

このような場合にありがちなのが、子どもが片付け始めたものの集中力が切れたり飽きたりして中途半端で終わってしまい、親御さんが渋々引き継いで最後まで片付けるというパターンです。達成感を感じさせるためには、ここを逆にすることがポイントになります。

つまり親御さんから見て片付けに10分以上かかりそうだと感じた場合、最初から片付けに参加してあげてください。ゲーム感覚など一緒に楽しみながら片付けを進め、あと少しで終わるという段階で、残りを子どもに任せます。すると、子どもは「自分で全部片付け切った」という一種の錯覚を起こし、達成感と共に片付けを終えることができます。これが習慣化にはとても大切。最初から最後まで子どもに片付けさせることを目的にせずに、最後の1個を任せるつもりでもいいのです。

自主性を引き出す声かけ

子どもが自ら進んで片付けるためには、親御さんによる声かけも欠かすことができません。子どもの心は急にブレーキをかけることはできませんから、事前に片付けるタイミングを知らせてあげたり、途中でも告知をしてあげたりと、具体的な指示を出してあげることも大切です。

また片付け終わった後は、結果ではなくプロセスを褒める、感謝や驚きを伝える、「スッキリして気持ちがいいね!」というようなメリットを伝えることで、次もまた片付けよう、という自主性を育てることにつながります。

お子さんのいるおうちでは24時間ずっと片付いている状態はなかなか難しいので、定期的にお片付けタイムを設けておくといいと思います。例えば食事の前、出かける前、寝る前など、何かをする前の10分間をお片付けタイムにして、声かけをしてみてはいかがでしょうか。

おもちゃを「1軍」「2軍」「3軍」に分類

片付けやすく分かりやすい収納の仕組みを作ることも習慣化するためのポイントです。まず、よく遊ぶおもちゃを「1軍」として厳選してください。親子でストレスなく10分で片付けられる分量が適正量です。これをアイテムごとにボックスに分類し、普段過ごす場所に置いたラックに収納します。個々の収納ケースには分類表記をしますが、文字だけではなく写真も一緒に貼っておくと子どもにも分かりやすくおすすめです。この他にも記号やアルファベット、動物などでラベリングをしてゲーム感覚で片付けをするのも楽しい方法です。

【1軍おもちゃの収納方法】

次は「2軍」のおもちゃです。これらは普段はクローゼットの中などにしまっておき、週末だけ持ち出して遊ぶものです。週末の最後の夜に子どもたちで元の場所に戻すといったルールを設けておけば、平日は片付いた部屋で過ごすことができます。

最後に「3軍」のおもちゃですが、これは基本的にはもう不要なものたち。子どもにとっておもちゃを手放すのはとても難しく、捨てることを強要してしまうとお片付けに恐怖感を持ってしまう場合も。そうならないように3軍として一応保管しておき、新しいおもちゃを手に入れるなど、節目のタイミングで心の折り合いを付けさせ、手放していきます。

仕組みづくりに参加させる

例えば新しい収納方法を考える時、ネットなどで調べて候補がいくつかに絞れたら、それを子どもに見せて選ばせてあげてください。また収納のラベリングなども、自分で貼った方が早いかもしれませんが、そこをあえて子どもに貼らせてみてください。

そうすることで片付けを「やらされる」ではなく、自分で作った収納に「自分で片付ける」という意識が芽生えてくるはずです。

もしも子どもが選んだ収納が片付けにくそうだとしても、親御さんは先回りせずに、あえて子どもに失敗を体験させることも必要だと思います。

片付けられない性格はない

私たちは感情の生き物なので、子どもに対して命令口調になってしまったり、怒鳴ってしまったりすることもあるかもしれません。それは仕方ないことですし、悪いことでもありませんが、もしも「間違った声かけをしてしまった」と感じた場合は、子どもに対して謝ることも忘れずにしていただければと思っています。

私は片付け塾で多くの方と関わらせていただいていますが、片付けられない性格というものはないと感じています。仕組みを作り、性格や特性に合わせた声かけをすれば、どんな子でも必ず片付けられるようになります。

片付けを通じたコミュニケーションで子育てはうまく行きます。ぜひ親子で笑顔になれることから始めてみてください。

みくろママ

mikuromama

整理収納アドバイザー

整理収納アドバイザー、子ども家事力支援士認定講師、片付け遊び指導士認定講師、他。コンパクトな賃貸アパートに家族6人で快適に暮らすための情報をSNS発信し話題に。実践型オンライン片付け塾「美心家塾」を主催し、片付けプロの養成やセミナー、講演などを開催。大学生から小学生まで3男1女のママ。

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