子育てコラム

子どもの性格をも変え、後天的に天才へ近づける「褒め方」とは

2021年12月14日 5:00

天才たちの共通点

我が子が天才であれば嬉しいもの。

実際に天才と言われる人たちにはどのような共通点があるのでしょうか。

エジソンは電球を発明するまでに約1万回の失敗をしたそうです。「天才とは1%のひらめきと99%の汗である」と言い残しています。

ダーウィンは名著「種の起源」を書き上げるまでに、何年も調査を実施して、同僚や指導者達と何百回となく議論を交わし、草稿を幾たびも書き直し、半生をかけてようやく実を結びました。

モーツァルトも、作曲家としては10年以上の苦しみを経てようやく、今日たたえられているような音楽を生み出すに至りました。

野球のイチローやサッカーの本田選手も誰よりも練習することで有名です。

つまり誰よりも努力をし続けられる人が天才と言われる人たちなのです

しかし努力し続けることはなかなか難しいものです。

「性格が変わるほめ方」とは

「あきらめずに努力できる能力」と「心のあり方」との関係や、「子どものやる気について、長年研究しているスタンフォードのキャロル・S・ドゥエック教授が、子どもを対象に研究を進めるなかで、気付いたことがありました。

それは、学ぶことが大好きで、何にでも挑戦しようとする子どもがいる反面、失敗することをおそれ、新しいことに挑戦するのを、避ける子どもがいるということです。

そして、彼女が行った研究で、わかった衝撃的な事実は、親が子どもにどのようにほめるかで、子ども達の性格(努力型か、失敗回避型か)が変わってくるというのです。

褒めるべきポイントは成果か? 努力か?

彼女は、思春期初期の子どもたち数百人を対象に、実験を行いました。まず、生徒全員に、知能検査のかなり難しい問題を10問やらせた結果、ほとんどの生徒がまずまずの成績でした。終わったあとで、ほめ言葉をかけました。

ほめるにあたっては、生徒を2つのグループに分け、一方のグループでは、その子の能力をほめました。「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頭がいいのね。」

もう一方のグループでは、その子の努力をほめました。「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頑張ったのね。」というほめ方でした。

グループ分けをした時点では、両グループの成績は、まったく等しかったにもかかわらず、子ども達に、新しい問題を見せて、新しい問題に挑戦するか、同じ問題をもう一度解くのか、どちらかを選ばせるという実験を行いました。すると2つのグループの間で、明確に差が現れたといいます。

まず、頭のよさをほめたグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなりました。ボロを出して、自分の能力を疑われるかもしれないことは、一切やりたがらなくなったというわけです。

一方、努力をほめられた生徒達は、その9割が、新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃しませんでした

つまり、子どもが努力したことをほめると、子どもは努力することに喜びを感じるようになるのです。

努力を褒められるとより頑張るようになる

さらに、生徒全員に、なかなか解けない難題を出しました。

頭のよさをほめられたグループは、難問を解くことにフラストレーションを感じ、自分はちっとも頭がよくない、こんな問題を解いても楽しくない、と思うようになりました。そして、自分は頭が悪いのだと考えるようになったそうです。

努力をほめられたグループは、難問をだされてもいやになったりせず、むしろ、難しい問題の方が面白いと答える子どもが多く、なかなか解けない問題があったとしても、イライラしたりせず、「もっと頑張らなくっちゃ」と考えるようになりました。すなわち、努力をほめられた子どもは、積極的に難しいことに挑戦できるようになるということです。

その後のテストで難問が出されたあと、頭のよさをほめたグループは、成績ががくんと落ち、再びやさしい問題がだされても回復しませんでした。自分の能力に自信がなくなり、スタート時よりも更に成績が落ちてしまったのです。

一方、努力をほめたグループのできはどんどんよくなっていきました。難問に挑戦したことで、スキルに磨きがかかり、その後、ふたたびやさしい問題がだされたときには、すらすら解けるようになったのです。

ドゥエック教授の研究によると、能力をほめると生徒の知能が下がり、努力をほめると生徒の知能が上がったことになります。

すなわち、ほめるときは、子どもの能力をではなく、努力して成し遂げたことをほめるべきだということですね!

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