インタビュー
子どもの癇癪(かんしゃく)どうすれば…。癇癪の原因や対処法を専門家が解説
2023年11月18日 15:00
子どもが店の中などで癇癪を起こすと、親のほうが泣きたくなりますよね…そんなとき、どのように対処したらいいのでしょうか。
そこで今回は子どもの癇癪について、原因から対処法、注意点などを、保育士で子育て講師のでんちゃんにお聞きしました。
~目次~
そもそも癇癪とは?
癇癪とは、わかりやすく言えば「子どもが泣いてどうにも手が付けられないような状態」のことです。
では、どのくらい泣いたり暴れたりすれば癇癪なのかというと、それはママの主観で決めていいと考えています。つまり、ママが「もう手が付けられないな」と思ったら、それは癇癪です。
そのうえで、具体的にどのような行動がみられるかというと、親が何を言っても「いや」と言って聞かない、泣き続ける、激しい子だと床を叩く、頭を床や壁にぶつける、物を投げるなどがあります。
子どもが癇癪を起こす原因
子どもが癇癪を起すのは、やりたいことができなかったり、反対にやりたくないことをやらされたり、自分の思い通りにならなかったときです。
まだ心身の成長段階にある子どもは、まず自分が何をやりたいのかがよくわかりません。また、自分のこだわりや要求が通らなかったときの気持ちをどのように扱ったらよいかもわからず、感情が爆発してしまいます。
したがって、成長とともに子どもが自分の気持ちを理解できるようになり、自分で問題を解決する力が身について、また脳の前頭前野が発達して感情を制御できるようになっていくと、癇癪は自然とおさまっていきます。
子どもが癇癪を起こしてしまったときの対処法
では、癇癪を起してしまった場合は、どうすればよいのでしょうか。
まず、抱っこさせてくれるかどうか、試してみてください。子どもの癇癪がどの程度なのかを判断する手がかりになります。
①抱っこさせてくれる場合
子どもは癇癪を起しているものの、冷静な部分もあるので、抱っこしてあげれば落ち着きます。落ち着いたら、声掛けしてあげてください。子どもは、自分の気持ちがよくわからずに癇癪を起しているので、子どもがやりたかったことを具体的に言葉にして声掛けしてあげます。
「エレベーターのボタンを押したかったんだね、じゃあもう一回押してみようか」「喧嘩しておもちゃを取られたから怒っているんだね」と親御さんが言語化してあげることで、子どもは自分の気持ちに気づくことができます。
②抱っこさせてくれない場合
落ち着かせようと無理やり抱っこすると逆効果なので、いったん子どもから離れてみましょう。これは親御さん自身の心を整えるためなので、少し離れるだけで心が整えられるのであれば、お皿洗いでもしながら様子を見てあげてください。しかし、泣き声を聞くだけでもママにとってストレスで、怒鳴ったり手が出そうになってしまうような場合は、子どものいる部屋から外へ出て、心を落ち着かせてください。ママが自分の心に傷をつけないということを一番大切にしてほしいと思います。
癇癪を起していても、子どもは必ずいつかはママに抱っこしてほしくなります。そのタイミングを待って、抱っこしてあげてください。このとき大事なのは、親が自分のタイミングで抱っこしないことです。子どもが抱っこしてほしくなったタイミングで抱っこしてあげて、落ち着いたら①と同じように、子どもの気持ちを言語化してあげてください。
外で癇癪を起したら
たとえばお店の中で子どもが癇癪を起したら、周りの人に迷惑が掛からないよう、抱っこして落ち着かせようとしたり、外に連れて行ったりする親御さんはたくさんいらっしゃると思います。
それでは親御さんが大変なので、ひとつの考え方として、子どもが落ち着くまでその場で待ってあげるのもありだと思います。おそらく、周りにいるほとんどの人は、子どもは泣くものだと理解されているでしょうし、世界はみなさんが思っているよりも温かいということを知ってほしいと思います。
癇癪をクールダウンさせる裏技
それでもやっぱり、人の目が気になったりすることがあるかもしれません。そのようなとき、応急処置的に子どもの癇癪を収める方法のひとつが、笑わせることです。子どもが泣きつつも、くすっと笑ってしまうような状況に持っていきます。癇癪を起しているときに笑わせるのもなかなか難しいかもしれませんが、普段から子どもがいつも笑ってくれるような「持ちネタ」を用意しておくと、いざというときに役に立つかもしれません。
子どもが癇癪を起したときに気をつけること
①子どもの話を聞いてあげる
たとえば兄弟げんかが起きると、けんかをやめさせようと、つい「お兄ちゃんだから我慢しなさい」などと言ってしまうことがあると思います。でも、子どもにも言い分はあるので、まず、子どもの話を聞いてあげてください。そのうえで、親御さんの気持ちを伝えてあげるとよいと思います。
②怒鳴らないようにする
子どもは、よいことも悪いことも親の真似をして育っていきます。したがって、親が怒鳴ると、子どもは怒鳴ることをコミュニケーションの手段として真似してしまう可能性があります。とはいっても、親御さんも人間ですから、つい怒鳴ってしまうことはありますよね。それは仕方のないことだと思います。心に余裕があるときは、怒鳴らないということをちょっと意識してみてください。
癇癪を起さないためには
癇癪には、突発的に起こるものと、モヤモヤが積み重なって爆発するものの2つがあります。
①突発的に起こるもの
たとえば、エレベーターのボタンを押したかった、服がうまく着れないといったことが原因であれば、ボタンを押させてあげる、着やすいように大きめの服を用意してあげるというように、子どもが癇癪を回避できるようにしてあげるとよいでしょう。
もっとも、子どもの要求を通すとほかの問題が生じてしまう場合は、ママがストレスを感じないほうを優先してもらったらいいと思います。育児では、ママの心が傷つかないことを一番大切にしてほしいと思います。
②モヤモヤが積み重なって起こるもの
たとえば、兄弟げんかでモヤモヤが積み重なって、おもちゃを投げるという癇癪につながることがあるかもしません。この場合、兄弟げんかの時点で、何が嫌だったのか話をよく聞いてあげると、そこでモヤモヤが解消されて、そのあとおもちゃを投げるという行動にはつながらない可能性があります。常日頃からよく話を聞いて、モヤモヤをその都度解消してあげると、癇癪が起きにくくなるのではないでしょうか。
癇癪に困ったら
癇癪をはじめ子育て関する悩みを相談したいときは、自分が信頼できると思う人、自分の考えをわかってくれる人に相談することをお勧めします。それは保育園の先生でも家族でも友人でも構いません。大切なのは、自分が信頼できる人に相談することで、心に余裕が生まれることです。それが結果的に癇癪への対応につながっていきます。
パパ・ママ自身の心を大切に
子どもが癇癪を起して泣いているとき、もっと泣きたいのは親御さん自身ですよね。世の中には育児に対してこうするべきだという考えもありますが、それよりも一番大事にしてほしいのは親御さん自身の心です。親御さんが自分の心を大切にすることが子どもの癇癪への対応へとつながります。
子どもの癇癪に対して困った顔になったり、涙が出たりすることもあるでしょう。でもそれは子どもを大切に思うからこそであることを、子どもはわかってくれるはずです。だから大丈夫だということをお伝えしたいと思います。