インタビュー #アウトドア

子どもが溺れてしまったら…?子どもの水難事故の予防と対策を救急救命士が解説!

2023年7月18日 17:46

夏の楽しみといったら海や川などでの水辺のレジャー。しかしその一方で、水難事故で亡くなる子どもも急増する季節です。悲しい事故を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?

今回はご自身も救急救命士として活動されてきた加藤明仁さんにインタビュー。水難事故を防ぐ方法から事故後の対処方法まで解説していただきました。

水難事故はどのくらい起きている?

令和4年版 消防白書によると、消防が救助活動を行なった水難事故は令和3年で2,731件ありました。その中で子どもについては、海と河川・湖沼地でそれぞれ毎年平均約30名ずつが水難事故で亡くなっていることがわかっています。

海での水難事故はマリンレジャーを楽しんでいる最中に起こることが多く、毎年7月、8月に死亡事故が急増しています。

危険な水辺の5つの特徴とは?

危険な水辺の特徴①:深くて流れの早い場所

河川の急流地や潮の流れが強い海岸地域、水深が予測できないような場所は溺れるリスクが高いです。海では離岸流が起こりやすい場所は特に危険です。

危険な水辺の特徴②:水中に障害物がある場所

水面から見えなくても沈み木や流木、岩などの障害物が水中に沈んでいる場合があります。これらの障害物はぶつかったり足を引っ掛けて怪我や溺水の原因にもなります。

危険な水辺の特徴③:水質汚染された場所

汚染された水や有害物質によって、感染症や皮膚刺激などの健康被害につながることもあります。

危険な水辺の特徴④:安全設備が不十分な人工施設

プールや人工の水辺でも安全対策や施設管理が不十分な場合があります。監視体制が不足していたり、浮き具やAEDが置かれていない場所では、水難事故のリスクが高まります。

危険な水辺の特徴⑤:気候によって状況が変化しやすい場所

強い風や突然の豪雨などで高波になったり、河川増水が起こることもあります。過去に増水被害のあった河川で遊ぶ場合は、特に注意が必要です。

子どもが水難事故にあうのはどんなとき?

誰にも見られていないとき

子どもが誰からも監視されていない状況でプールやビーチで遊んでいると、事故にあう可能性が高まります。特に幼い子や水の経験が少ない子は危険に気づきにくいです。

水深が予想以上に深かったとき

水辺には、浅瀬から急に深くなる場所もあります。特に子どもは水深を正しく判断できず、突然の深さにパニックになり溺れてしまうこともあります。

適切な浮力具を使っていないとき

水中での浮力を保つために、浮具やライフジャケットの着用は欠かせません。これらを使わずに水に入っていると、疲労やパニック状態になって溺れるリスクが高まります。

無理な飛び込みをしたとき

子どもは冒険心が旺盛で、水中で無謀な遊びをしたり飛び込みをすることも。それによって水深や障害物の存在を正しく判断できずに、怪我をしたり事故の原因になります。

港や防波堤などで遊んでいるとき

港で遊んでいたり釣りをしているときに防波堤から落ちたというケースもよくあります。

子どもの水辺の事故を防ぐためには?

ライフジャケットを着用する

何よりも救命道具の着用がいちばんです。水難事故にあったとき、ライフジャケットを着用している場合ですと非着用時に比べて生存率が倍以上になります。泳ぐときだけではなく、釣りなどを楽しむときも着用をお忘れなく。 

しっかりと監視をする

子どもが水辺で遊んでいるときは、一人きりにさせず、常に監視をしましょう。

水辺で遊ぶときのルールを指導する

飛び込みや危険な遊びはしない、水の深さを確認する、底が見えない場所や深さが変わる場所で遊ばないといったルールを徹底させましょう。また溺れたときの対処方法についても事前に指導しておくと安心です。

応急処置の知識を身につける

万が一の事故に備えて、親御さんが救命方法の知識を持っておくことも大切です。溺れた子どもを救助する方法などについて、消防署の無料講習を受けに行ってみることもおすすめです。

家庭での水の事故を防ぐための4つのポイント!

水難事故は、海や河川以外に限らず家庭内でも起こりえます。特に幼いお子さんは注意が必要です。ここでは家庭内の水難事故を防ぐためのポイントをご紹介します。

ポイント①:お風呂は大人と一緒に

子どもだけで入浴しないこと、浴槽の中に一人きりにさせないことが大切です。親御さんがシャンプーで目を離した隙に溺れることもあるので、面倒でも浴槽から出させましょう。

ポイント②:水を溜めっぱなしにしない

お風呂に入らないときは水を抜くようにしましょう。また水を張った洗濯槽やバケツなどで溺れるケースもあるので、使用していないときは必ず水を抜いておいてください。

ポイント③:ビニールプールでも監視を

どんなに浅くても子どもは溺れる可能性があります。家庭で水遊びをするときも必ず監視をして、使用後は子どもが近づけないようにカバーをしたり、場所の施錠をしましょう。

ポイント④:家の周りの水場にも注意する

近所にある水路やどぶ、小さな水たまりにも注意が必要です。危険な場所には近づかないよう指導しましょう。

もしも子どもが溺れてしまったら?

どれだけ注意をしていても、万が一子どもが溺れたり流されたりした場合、まずは冷静になることが大切です。パニックにならずに落ち着いて状況判断し、次のような対処を試みてください。

助けに行かず浮いて待たせる

周囲の大人が慌てて飛び込むと二次被害につながります。まずは周囲に浮くものを探しそれにつかまらせてください。ペットボトルなどがあれば、首の下に当てると顔が浮いて呼吸しやすくなります。

何もなければ息を大きく吸って肺に空気を溜めて、水面に仰向けになって「背浮き」の姿勢を取るよう伝えてください。手を上げたり無理に陸地に向かおうとするとかえって溺れる危険性があります。

浮き具を投げる

周囲に浮き具やロープなどがあれば、それを投げてつかまるよう指示してください。

周囲に助けを求める

陸地にいる人は周囲に大きな声で溺れている子がいることを伝え、救助を求めてください。

通報する

海の事故は118番(海上保安庁)、河川や沼、湖などは119番(消防)に通報して救助を要請しましょう。

事故予防や救助の方法を親子で学ぼう

子どもの水難事故の対策は、予防と教育が大切です。予防については、大人の監視とライフジャケットの着用。教育については、水泳や背浮きの練習をやってみること、そして地域の消防署で救命講習を受けてみるのもおすすめです。

消防署では水辺での安全な遊び方から水難者の救助方法、心肺蘇生法や人工呼吸法、AEDの使用方法などを分かりやすく指導してくれます。最寄りの消防署に問い合わせて、ぜひ親子で楽しみながら学んでほしいと思います。

水に入って遊ぶことは子どもにとっても楽しく、必ず経験することです。怖いから、危ないからと水遊びを避けるのではなく、いざというときのことも想定しながら遊ぶことが大切だと思います。そのためにも安全な遊び方や、もしも溺れたらこうしよう、といった予防と対策について、普段からご家庭で話し合っていただけるといいと思います。

加藤明仁

katou akihito

救急救命士

高校卒業後、消防士になり、当時所属していた消防本部の歴代最年少26歳で救急救命士国家試験に合格。その後、自身の勉強方法を活かした救急救命士学習塾を開講。救急救命士を目指す候補生の支援と指導に励んでいる。

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