インタビュー
夏休みのお昼ごはん 簡単に栄養のバランスを整える方法【看護師・栄養カウンセラー解説】
2023年7月28日 16:07
もうすぐ夏休み。長期休暇中の子どもの昼ごはんは毎日悩みの種ですね。そこで今回は、看護師/栄養カウンセラーのちはやさんに、夏休みのおすすめ昼ごはんメニューやしっかり摂りたい栄養素など、働くママが長期休みを乗り切るためのヒントについてお話をうかがいました。
~目次~
夏休みのお昼ごはん、糖質のとりすぎに注意!
現代人の食事は、お子さんに限らず大人も糖質や脂質に偏りがちです。とくにラーメンやチャーハン、そうめんなどの単品料理は、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素を十分摂取することができません。
糖質や脂質ばかりとっていると、カロリーは足りているのに細胞が健全に活動するために必要な栄養素が不足している「新型栄養失調」と呼ばれる栄養欠乏状態に陥ってしまうことがあります。
また、糖尿病でもなく、インスリン治療をしているわけでもないのに低血糖になってしまうことがあります。低血糖の中でも特に気を付けたいのが「反応性の低血糖」です。
「反応性低血糖」とは、食事をすると血糖値が急激に上昇します。そしてそれに反応する形で、今度はインス食事のあと、まず血糖値が急激に上昇します。そしてそれに反応する形で、今度はインスリンが異常に大量に分泌されます。その結果、急上昇した血糖値が今度は急激に降下して、もとの血糖値を大幅に下回ってしまうのです。
つまり「反応性低血糖症」というのは、血糖値が低い状態を指すのではなく、インスリンの分泌異常によって、血糖値が乱高下して正常範囲内に維持できない状態ということ
主に食べるスピードが速い、主食や甘い物の摂りすぎなどが原因でおこります。
食後にもかかわらず空腹感を感じたり、吐き気、疲れやすい、眠気、頭痛、キレやすい、イライラする、集中力低下、冷や汗、消化不良など症状は様々です
「反応性の低血糖」の場合は、食後の高血糖を起こさないようにすることが大切になります。例えば
・甘いもの、砂糖の多い食べ物を減らす
・早食いをやめる、よく噛んで食べる
・血糖値をゆっくり上げていくような食べ方(タンパク質、野菜、海藻、きのこから先に食べ始める=ベジファースト)
・精製度の低い炭水化物を適量とる
といったポイントが挙げられます。
給食がないと不足しがちな栄養素
文部科学省の報告書によると、給食のない日はとくにカルシウムと鉄が不足しやすいと言われています。
また、糖質の摂取量が多い人ほど意識して摂ってほしいのが、ビタミンB1とマグネシウムです。この2つは糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素で、不足しているとエネルギーを作ることができないのでず、その結果体がエネルギーを求め、糖質を欲してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
夏休みの昼ご飯に取り入れたい栄養素・食材
成長期のお子さんの場合は、エネルギー代謝を促進したり丈夫な骨をつくるためにも、ビタミンB1とマグネシウムにくわえて、タンパク質、カルシウム、鉄、ビタミンDなどもしっかり摂りたい栄養素です。
マグネシウムの多い食材
【穀類】発芽玄米・ライ麦パン
【海藻】干しひじき・あおさ・昆布・ワカメ・海苔
【豆類】納豆・豆腐・大豆
【魚介類】干しエビ・しらす干し・あさり・ししゃも
【野菜】切干し大根・ほうれん草・えだまめ・ゴボウ
【ナッツ類】アーモンド・カシューナッツ・ヘーゼルナッツ・ピーナッツ
ビタミンB1の多い食材
【肉類】豚の赤ヒレ肉・豚のもも・鶏レバー・豚レバー
【魚介】たらこ・うなぎのかば焼・かつお節
【穀類】米ぬか・小麦はい芽・そば・全粒穀物
【豆】大豆製品・豆腐・豆乳・ナッツ類
【野菜】夏野菜(とうもろこし・枝豆)
1回の食事で栄養素を摂らないといけないの?
これらの栄養素を摂取するには昔ながらの日本食が理想的ですが、平日のお昼ごはんに毎回用意するのは大変だと思います。1回の食事で全部摂らなくても、昼食で食べられない分は朝食と夕食で補ったり、あるいは週末の食事で多めに摂ったり、1日から1週間のあいだで総摂取量を調整すれば問題ありません。
また、無理なく継続できる方法でやってみるのもポイントです。あまり美味しくなかったり、値段が高かったりすると長続きしにくいもの。たとえば、ご飯を炊くときに「にがり」を混ぜる、おにぎりにゴマやのりをつけるなどは手軽にできるのでおすすめです。
お昼ご飯の献立を決めるコツ
体の材料となるタンパク質は、牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵、大豆をまんべんなく摂るのが理想です。たとえば朝に卵を食べて夜は牛肉の予定だったら、昼はそれ以外のタンパク質にするというように消去法で考えるとよいでしょう。メインのおかずが決まると献立が作りやすくなると思います。
作り置きのおすすめと注意点
おすすめの作り置きのおかずは?
作り置きのおかずがあると便利ですよね。我が家で常備している作り置きのおかずをご紹介します。
・ゆでたまご
・温泉卵
・蒸し鶏(鶏ハム)
・豚しゃぶ
・ゆで野菜(ブロッコリー、ほうれん草、オクラ、もやし、キャベツ、大根、人参、ジャガイモ)
・生野菜(キャベツ、トマト、パプリカ、アボカド、きゅうり、レタスなど、事前に洗ったり切ったりしておいたもの)
・具だくさんのスープ(みそ汁、豚汁、ポトフなど)
具だくさんのスープを用意しておくと、たとえばおにぎりと豚汁だけでも栄養バランスの取れたお昼ごはんになります。卵や肉類、野菜類は、カレーやパスタソースに足したり、麺類のトッピングにも使えます。レトルト食品にもちょい足しできて便利です。
買い置きしておくと便利なものは?
また、以下のものを買い置きしておくと便利です。
・ツナ缶
・サバ缶
・豆腐
・ちくわ
・しらす
・のり
・冷凍野菜
・石井のミートボール
冷凍野菜はカットしてあるのでそのまま使えて便利です。お子さんが好きな石井のミートボールは無添加で、普通のスーパーで手に入ります。
夏休みの昼ごはんおすすめメニュー
前の日の夕飯の残りをそのまま使ってもよいですが、ひと手間かけてリニューアルしてあげるとお子さんも喜びます。たとえば、豚の生姜焼きなら野菜を加えて丼にしたり、野菜炒めなら焼きうどんにアレンジしたりできます。
炊飯器に材料を全部入れてできるシーフードピラフなどのメニューもおすすめです。朝に仕込んでおけばお昼には出来上がっており、火も使わないので安心です。
缶詰を使った時短メニュー
サバ缶やツナ缶、焼き鳥缶を使って
・親子丼(卵とじ)
・炊き込みご飯
・野菜と炒める(味噌煮缶など味付きなら味付け不要)
・マヨネーズで和えてサンドイッチに
・そのまま食べてもおいしい
家族みんなで健康な食事を
お子さんが小さいうちはバタバタして、親御さんはついついご自分の食事がおろそかになってしまいがちです。しかし、わたしたちの体は全て、わたしたちが食べたものでつくられます。お子さんはもちろんのこと、ぜひお母さんお父さんもしっかり栄養を摂って、ご家族皆さんで元気に過ごしていただきたいと思います。