インタビュー

家づくりのプロが解説!子育てがしやすくなる間取りのポイントとは?

2022年5月25日 13:30

目次

    子育てがしやすくなる家づくりには、どのような点に注意するとよいのでしょうか。数多くの注文住宅を手がけ、上質で快適な家づくりにくわしい三井ホーム株式会社の髙見明博さんに間取りの選び方について伺いました。

    独立した子ども部屋はいつから、どう使う?

    子育て家庭にとって、「子ども部屋」をどのように確保するかは気になるところです。将来的に子どもは増えるかもしれませんし、家の間取りの変更は部屋の模様替えをするほど気軽にとはいきません。

    欧米などでは、かなり早い時期から一人部屋で寝かせることも多いですが、日本ではご家庭によってさまざまです。

    「子どもがまだ小さく、一人の部屋はまだ必要ないのでは」と考える場合や、「将来的に必要になるかわからない」という場合は、主寝室などを広めにとっておき、必要になったら部屋を分けることを考えてもいいでしょう。変更を考える目安としては「この先10年」を単位に考えると判断しやすくなります。

    また、きょうだいがいて、いずれはそれぞれの部屋として使うように用意しているなら、当面は“学寝分離”のスタイルを取り入れ、ひと部屋は勉強部屋、ひと部屋は寝室としてきょうだいで一緒に使い、受験の時期などが近づいたら、それぞれの部屋として使い分けてもいいでしょう。

    子育てに役立つ間取り選びの3つのポイント

    家事が楽になり、子育てにもプラスとなる間取りの工夫として3つのポイントを挙げてみましょう。

    ◎ランドリー
    子育て世代は、どうしても洗濯物が多くなり、共働きのご家庭も多いことから家事の効率化・時短に配慮した間取りの工夫が求められます。

    なかでも、「洗濯」における家事負担の軽減は重要なテーマとなります。

    これまで洗面室というと、洗面台と洗濯機を一緒に置くのが一般的でした。しかし昨今、「家事が楽になる」と評判なのが、その2つを分けた「ランドリー」のスペースです。

    お風呂の前に洗濯機を置き、その周辺に室内干しのハンガーを設けた上に、アイロンがけまでできるスペースを用意すると、洗って取り込むまでが一ヵ所で完結します。可能ならその脇に「ファミリークローク」を設けると、取り込んだ衣類をしまうことまでできるため、手間や負担がさらに減ります。

    ◎キッチン&ダイニング
    「勉強部屋でなく、リビングなどで勉強をさせると成績がよくなる」というのは広く言われており、実践しているご家庭も多いようです。

    そこに付け加えるなら、リビングよりもダイニングで子どもの宿題などをさせるのがおすすめです。リビングだと、どうしてもテレビをつけてしまったり、ほかのことに注意が向いてしまったりしがちですが、ダイニングなら親が食事の準備をしている間などに勉強をみてあげられます。

    また、キッチンで「親子で一緒に料理をつくる」のも、よいコミュニケーションになるでしょう。あるいは、料理でも他の家事でも、ご夫婦や家族で協力している姿を日頃から見せると、そこに子どもも参加しやすくなり、家の手伝いも自然とできるようになります。

    ◎ロフト空間
    屋根裏のロフト空間も、子育て世代にとってメリットが多く、だからこそ要望も多いスペースです。

    子育て世代には、兜飾りやひな人形など季節に応じたアイテムがいろいろあるものです。ロフトは本来収納空間ですが、物をしまいやすく、取り出しやすいのが魅力です。地域にもよりますが、固定階段で上がれるようにすると、さらに使い勝手がよくなります。

    屋根の勾配によって変化のある空間は“秘密基地”のようで、親子ともにワクワク感や冒険心を共有できる貴重な場所になるはずです。

    自由な間取りと快適さ、そして健康を支える「全館空調」

    これら3つのポイントとともに、近年人気なのが「全館空調」システムです。

    家全体の温度を管理するためには、真夏の過酷な日射熱などを遮断するための屋根や外壁の断熱性能が欠かせませんが、さらに全館空調を導入すると冷暖房から換気、空気清浄機能までがカバーできます。

    従来は冷暖房が効いている部屋と、それ以外の廊下やトイレ、洗面室などとの温度差は避けられないものでした。ところが全館空調になると、玄関を入って家の中すべてが一定温度で快適な空間になります。

    そのため乳幼児のいるご家庭なら、夜中に授乳のために起きて部屋を移動しても、室内が快適なのはうれしいものです。

    また、先の項目で挙げたランドリーのスペースも、これまでなら暑さ寒さにさらされながらの作業でしたが、全館空調なら作業が断然楽になりますし、換気がよいため室内干しでも洗濯物が乾きやすくなります。さらに適切に換気されていると家全体の空気が循環し、ほこりがたまりにくいため、掃除の手間も減るといいます。

    さらに、換気や温度・湿度の調節に加え、空気清浄の機能も備えられていることでインフルエンザウイルスの生存率低減を示すデータもありますし、カビやダニの繁殖を抑えられることもわかっています。これらの機能は家族の健康維持に大きな強みとなるものです。

    中には「便利なのはいいけれど、光熱費はどうなのか?」と心配する人もいらっしゃるでしょう。実際に断熱性・気密性に優れた住まいに全館空調を導入した人からは、それほど負担が増えるということはなく、多くは省エネにも配慮されており、メリットの多さを評価する声がみられます。

    また、全館空調では部屋のドアを無くしたり、リビング内に階段を設けたりするような開放的な間取りを採用するケースも多くなります。その際に注意したいのは、とくに階段は幼児にとっては危険も多いため、ベビーゲートを取り付けるなどの配慮を忘れないようにしましょう。

    ストレスを減らし、「家時間」をもっと楽しむ

    近年のコロナ渦の影響で、外に出たくても出られないという経験から、「自宅でどのように過ごすか」を考えさせられた人も多いことでしょう。そんな状況でストレスを感じるのは親も子も同じです。だからこそ、家の中でも楽しく過ごせるようなプラスαの家づくりを考えたいものです。

    家にはリビングやキッチンなど、用途に応じた部屋を配置することになりますが、とくに目的を定めない「多目的なフリースペース」を確保しておくと自由度が増します。

    たとえばリビングの一角に小上がりのスペースをとっておくと、子どもの遊び場にしたり、在宅ワークやちょっとした作業コーナーとしても使ったりすることができるでしょう。

    リビングなどから外部とつながる、屋根のある半戸外のテラスなどを設けると、室内とはちょっと違う雰囲気で食事をしたり、水遊びをしたり、非日常の過ごし方を楽しむこともできます。

    そして、その上で一度考えてみていただきたいのは、子どものいるご家庭では、何かにつけて「子どものために」と意識しすぎてはいないかということです。もちろんそれは大切なことですが、子どもはいずれ成長しますし、子育てのあり方も変化します。ですからもう少し親側の負担やストレスを減らし、楽しむことを大切にしてもいいのです。

    親が心身ともによい状態でいると、子どもにもきっとよい影響を与えます。無理に気負わず、それぞれのご家庭ならではの「家時間づくり」を考えてみてはいかがでしょうか。

    髙見 明博

    takami akihiro

    一級建築士

    三井ホーム株式会社 商品開発部 デザインマネジメントグループ長 チーフデザイナー 一級建築士。「憧れを、かたちに。」をブランドメッセージとする三井ホーム株式会社は、高品質な木造建築を手がけるツーバイフォー工法のリーディングカンパニーとして、安全・快適な独自技術であるプレミアムモノコック構法を確立。 2022年4月に発売された新商品「IZM(イズム)」では、「脱炭素社会のモダンデザイン」として、年を経るほどに味わいが増し、開放的で豊かな半戸外空間「ラナイ」を活かし、昨今の在宅ワークなど新しいライフスタイルにも対応した、人と地球環境にやさしい「木」の住まいを提案している。