ことばが遅いのはどうして?

子供の言葉はどうやって育つのか

「ことばがなかなか出ない」「遅いように思える」というのは、親にとって大きな心配ごとですね。

そもそもことばはどうやって育つのでしょう?

平均的には1歳ごろに初語(初めてのことば)が出るといわれますが、それまでにもことばの発達自体は、子どものなかで進んでいます。

コミュ二ケーションのはじめは、表情や仕草でのやりとりから。そのうちやりとりを楽しむようになると、相手の行動を期待したり要求したりするようになっていきます。このような「喜びの共有」や「他者への期待」はコミュニケーションの基盤となり、ことばの発達にも重要です。

そして、ことばをかけられる時、相手の注意がどこに向いているか理解するようになると、耳にした「りんご」の音を、赤くて丸い「りんご」と認識し、「理解できることば」(=理解語)を増やしていきます。

「出てくることば」(=発語)の前に、子どものなかにはたくさんのことばが蓄積されていくのですね。

そして、耳から聞いた音の模倣を繰り返し、反応から学習を重ね、いよいよ「ことば」が現れるのです。生まれてからたった1、2年で、誰に教えられることもなく、ことばを理解し話すようになるのは、とても神秘的で驚くべきことだといえます。

ことばの遅れが心配なとき、チェックすべきポイント

ことばの遅れが心配なとき、つい発語だけに意識が向きがちですが、そのほかにも以下のような視点で子どもを観察してみましょう。

・発声はあるか、多いか
・声かけに反応しているか
・かかわりを楽しむ様子があるか
・言っていることを理解しているか

上述した視点で見て、何か問題がありそうだと感じる場合は、発達障害による感覚の偏り、コミュニケーションや認知の難しさがあるかもしれません。

子どもが耳にする様々な音のうち、無意識に脳で重要な情報にチャンネルを合わせていますが、感覚に偏りがあるとそのチャンネル合わせがうまくいかなくなり、ことばのインプットが適切に行われません。

また、他者の注意がどこに向いているか理解すること(共同注意)は、環境から学ぶために欠かせないスキルですが、発達障害のためにそのような認知が難しいと、やはり適切なインプットにつながりません。ことばをかけられたときに、対象と音をリンクできないからです。

想像することの苦手や感覚過敏のためにかかわりを避ける傾向があると、おのずとことばのインプットも減ってしまいます。

発達障害のほかにも、耳や口、舌に器質的な問題があることも考えられますので、心配な場合は専門機関を受診し、苦手さへの専門的アプローチを行うのが良いでしょう。

問題が見当たらない場合は…

ここまで見たような様子は特に見られず、でもことばが出ていないという場合は、まさに個人差の問題だと思います。どの程度のインプットが必要かは、子どもによって違いますから、問題が特に見当たらなければ、あとは待つことです。焦って「いわせよう」としすぎるのは良くありません。

発達には個人差がありますが、特にことばについては顕著です。ことばの出方は、1つ、2つ、と少しずつ出て、その後加速するように増えていくことが多いですが、これも個性があり、ある日突然ことばが出たと思ったら、一気に文章で話し始めるような子もいます。

ことばがまだ出ていなくても、言っていることを理解していて、かかわる相手の行動を期待しているようなそぶりがあったり、やりとりを楽しむ様子があったりするのなら、少し待ってみるのもひとつの手でしょう。

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