インタビュー #ペット
【獣医師監修】子どもが「ペットを飼いたい」と言ったらどうする?ペットが子どもに与える影響とは
2023年5月1日 16:10
私たちの心を癒してくれるペットの動物たち。でもいざお子さんから「ペットを飼いたい」と言われたとき、ちゃんと飼えるのかなと頭を悩ませる親御さんもいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、子育て世帯がペットを飼うメリットやデメリット、ペットを飼うときの注意点などを獣医師のシワ男先生にお聞きしました。
~目次~
子育て世帯がペットを飼うメリット
動物を飼うという経験は、精神的にも身体的にも、お子さんにいろいろな良い影響を与えてくれます。
精神的なメリット①:愛情・責任感
動物の世話を通して、愛情や責任感、命をいたわる気持ちや相手を思いやる気持ちを育むことができます。
精神的なメリット②:社会性を育む
動物はいつも自分の言うことを聞いてくれるとはかぎりません。そこから、自分の思い通りにならないこともあるという事実を学び、人間社会での他人との接し方や譲り合いの心など、社会性を身につけることができます。
精神的なメリット③:リラックス効果
動物をなでると癒されると感じる人は多いと思いますが、犬や猫の毛はふわふわで触ると気持ちがよく、心を落ち着けリラックスさせてくれる効果があります。
精神的なメリット④:子どもの心の支え
動物の存在がお子さんの心の支えになってくれることもあるでしょう。とくに一人っ子のお子さんの場合は、犬や猫と兄弟のような関係を築けるかもしれません。また、幼稚園などでなかなか馴染めないというお子さんも、動物と触れ合うことで心を落ち着かせたり、仲間意識を育てたりすることが期待できます。
精神的なメリット⑤:命の大切さを学ぶ
ペットの動物たちともいつかはお別れの日が来てしまいます。それは命について学ぶ貴重な経験となるでしょう。
身体的なメリット:体力や免疫機能の向上など
動物と遊んだり、運動したりすることで、体力がついたり、外で遊ぶことでビタミンDの合成ができたり、肺活量が鍛えられたり、菌と触れ合うことで免疫機能が高まったりします。また、これまでの調査結果から、ペットと暮らすことはアレルギーやぜんそくの予防や、腸内細菌の改善に効果があると考えられています。
このように、ペットを飼うことのメリットはたくさんあります。
子育て世帯がペットを飼うデメリット
デメリット①:費用がかかる
ペットを飼うデメリットのひとつは、費用がかかる点です。食事や医療費など、動物の飼育に必要なお金は少なくありません。小さなお子さんがいる場合は教育費もかかるので、経済的な観点からも責任をもってペットを飼育できるのか検討が必要です。
デメリット②:育児と動物の両立でストレスになる可能性
親御さんが育児と動物の世話を両立できないと、ストレスになってしまう可能性があります。親御さんに動物を飼う心の余裕があるかどうかもよく検討してみてください。
デメリット③:感染症の可能性
動物に噛まれたり引っかかれたりしてけがをすることや、人畜共通感染症がうつる可能性があります。
デメリット④:アレルギー症状の可能性
猫アレルギーに代表されるようなアレルギー症状が出ることもあります。たとえば猫を飼う前に猫カフェに行ってみたり、保護猫をもらう場合は里親のお試し期間を利用したりするとよいでしょう。
ペットを飼いはじめるのにちょうどよい年齢は?
子育てするお母さんお父さんに余裕があるのであれば、赤ちゃんのときから一緒でも問題ありません。犬や猫はお子さんの相手をしてくれます。
しかし、赤ちゃんの世話と動物の世話の両立が大変な場合は、お子さんが身の回りのことを自分でできるようになりはじめる3、4歳くらいから飼うのがおすすめです。またその時期から飼いはじめると、犬や猫の場合平均寿命が15歳くらいなので、お子さんが十分理解できる年齢になってからお別れのときを迎えることができます。
一方で、お子さんが生まれる前から犬や猫がいる場合、お子さんの誕生時に犬や猫が3、4歳になっていれば、落ち着きはじめる年齢なので、育児と両立しやすいでしょう。
小さい子どものいる家庭でペットを飼うときの注意
お子さんのために注意をすることは、デメリットのところで述べたように、噛まれたり引っかかれたりしないように気をつけることです。
一方、動物のために注意することは主に2つあります。
注意点①:床の上を片付ける
ひとつは、小さなお子さんがこぼした食べかすや、小さいおもちゃが床の上に落ちていると、犬や猫、ウサギが誤飲する危険があります。床の上を片付けるよう注意しましょう。
注意点②:力加減の調整
ふたつめは、小さなお子さんは力加減がうまくできないので、動物を強く握ってしまう可能性があります。動物が驚いて反射的に噛みついてしまったり、ウサギなどの場合は骨折したりすることもあるので、お子さんが動物と触れ合うときには、親御さんが一緒に力加減などを調節してあげてください。
子どもに「ペットを飼いたい」と言われたら
お子さんに「ペットを飼いたい」と言われたら、どうすればいいでしょうか。もちろん、家族でよく話し合うことが大切ですが、そのときに、ペットを飼うことについてお子さんと一緒に調べてみるのがおすすめです。
たとえば犬だったら、どんな犬種がいるのか、どんな世話が必要なのか、どんな病気にかかる可能性があるのかなどを調べてみます。お子さんの年齢によっては、自分で調べたことをまとめて、発表してもらいましょう。それによって、ペットを飼うとはどういうことなのかが理解できると思います。
子どもの初めてのペットとしておすすめの動物は?
幼稚園や小学校低学年のお子さんで、自分で世話をするのであれば、ハムスターやウサギ、鳥、金魚などが飼いやすくおすすめです。トカゲやカメ、ヒョウモントカゲモドキなどの爬虫類も問題ないでしょう。
しかし、経済的、精神的に余裕があって、家族でペットを迎えるのであれば、犬や猫がよいと思われます。お子さんにとって、兄弟や友達のように親近感を持てる存在になってくれるでしょう。犬や猫でも、犬種や猫種によって飼いやすさが違うので、専門家に相談してみてください。
反対に、飼育の難しいリスやハリネズミ、モルモット、チンチラなどは避けるのが無難です。モルモットは神経質なので扱いが難しく、またチンチラはよくてんかんを起こす動物なので、お子さんがショックを受けてしまうかもしれません。
ご家庭の状況に合わせたペット選びを
私自身6歳の頃から犬を飼っており、ひとりっ子だったこともあって、犬のことを兄弟や友達のように感じていました。また心の支えでもありました。
動物がいると毎日が楽しく笑顔になれます。一方で病気になったり亡くなったり、辛いこともあります。それらを合わせて、動物がいるからこそ経験できるかけがえのないことがたくさんあります。
ぜひ動物と暮らしてほしいと思いますが、それぞれのご家庭にいろいろな状況があるでしょう。たとえば親御さんが共働きでお子さんは保育園だと、昼間動物はひとりで留守番しないといけません。ぜひご家庭の状況にあったペットを選んで、人も動物も幸せに過ごしていただけたらと思います。
シワ男先生
shiwao
獣医師
埼玉県新座市のふじわら動物病院院長。人間より動物が好きな獣医。西洋医学はもちろん、動物の体にやさしいホモトキシコロジーや漢方薬などを組み合わせた統合医療を軸とした診療を行うふじわら動物病院の院長。獣医師として動物に関するさまざまな情報を発信。
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