子育てコラム

さかなクンの母に学ぶ、子どもを信じる伸ばし方

2021年12月14日 5:00

目次

    幼少期、さかなクンの好奇心を徹底的に後押し

    東京海洋大学名誉博士・客員准教授のさかなクンは、幼いころからの好きなことを究め、豊富な知識と絵で、魚の魅力を伝え続けています。

    さかなクンは、小学校の卒業文集に将来の夢として「水産大学の先生になることです。研究したことを、いろいろみんなに伝えてあげたいからです」と書いており、東京海洋大学の前身の一つは東京水産大学なので、夢を叶えたことになります。

    「海洋立国推進功労者」として、内閣総理大臣賞を受賞し、東京海洋大学から名誉博士を授与されました。

    さかなクンは、4歳のころ、ゴミ収集車が大好きになったそうです。

    「ゴミ収集車が見たい」とせがまれたお母様は、車でゴミ収集車の後ろをずっとついて走ってあげたそうです。

    小学2年のとき、タコの絵を見て夢中になり、ぶつ切りでなく丸ごとのタコを母に買ってもらったとのこと。

    その日から、考えるのはタコのことばかり。お母様は嫌な顔ひとつせず、1ヵ月近く、味付けを変えてタコ料理を作ってくれたそうです。

    生きているタコを見たくなり、日曜日にお母様に水族館に連れて行ってもらうようになりましたが、お母様はタコの水槽から離れないさかなクンに「タコって面白いんだね。お母さんもタコが気になってきた」と言ってくれ、さかなクンは「タコの魅力に共感してくれ、感動を共有でき、すごくうれしかった」と、そのときの喜びを語っています。

    閉館までいてもタコが姿を現さず、ため息をついた日には、「残念だったわね。でも、魚はほかにもいるのよ」と、お母様が魚の下敷きを買ってくれたおかげで、魚全体に興味が移って、いまのさかなクンになりました。

    人と違っても「命がとられるわけじゃないんだから」

    小学校では、授業中も休み時間も魚の絵を描いていたので、授業についていけず、家庭訪問で担任の先生から「絵はすばらしいけれど、勉強もするようにしてください」と、注意されたそうです。

    ところがお母様は「あの子は魚と絵が好きだからそれでいいんです」といい、将来本人が困ると言われても、「成績が優秀な子もそうでない子もいていい。みんな一緒ならロボットになっちゃいます」と答えました。

    母の口癖は「命がとられるわけじゃないんだから…」

    その言葉にさかなクンは、「失敗しても大丈夫だ」と救われたといいます。

    さかなクンの個性を信じて伸ばしてあげたお母様は、本当にすばらしいですよね!

    小さな世界だからいじめが起こる…広い海へ出てみよう!

    最後に、変わり者と言われていたさかなクンの、いじめられている子どもたちへのメッセージが素敵ですので紹介します。

    「中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。

    でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。

    広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

    中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。

    ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。」

    さかなクンの言葉

    オタクは喜びを追及しているのに、自己満足だけしているともったいない。
    感動は共有しないともったいない。

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